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〈無料〉 接客される技術 「防げ!宿とのミスマッチ」 成功する宿選びに必要なのはまず自分を知ること

答えを先に書いときますね。

成功する宿選びに必要なのは「まず自分を知ること」

はじめに 実は難しい宿泊施設の選択

自分に合ったホテル選び(旅館含む)って難しいですよね。すべての旅は一度きりですし、それぞれに大切な旅、どうでもいい旅なんかひとつもありませんから。

そうやって考えるとこれだけ場数を踏んできたわたしでも、未だに宿泊施設(ホテルや旅館)を選ぶ作業はかなりのストレスです。失敗すればその結果を慣れない土地で全て自分で引き受け、かつ後始末までするのだと考えると冗談抜きで毎回ホテル選びの作業は胃が痛くなるほどです。

それに誰かが宿泊代を払ってくれるわけでもなく、全額自腹で身銭を切って泊まりますから、つい手を抜いたり面倒だと思って雑な宿選びをしてしまったせいで、大切なお金をドブに捨ててしまうことは避けたいですし、お金よりも何よりも自分の人生の大事な時間を、せっかく泊まりに行くのに無駄にしたくないですからね。

「失敗出来ないな」と思うと安易に宿を選択できなくなるので、わたしにとって宿選びはすっごく楽しくもあり、同時に毎回めちゃくちゃストレスのかかる作業でもあります。

ホテル遊びを開始してウン十年経つわたしでも、いまだにかなりのプレッシャーがかかるこの宿選びですので、一般的で旅経験値が多くない人が正解にたどり着くのは、かなりハードルの高い作業と言えるでしょう。

とくに経験値ゼロから適切な宿を選べというのはかなり無理があると思います。普段旅行し慣れない人が、よく分からずにホテルや旅館を選んでも「当たり」を引くのは難しいというか、不可能の域かもしれません。


宿選びの失敗の原因はミスマッチ

宿選びを失敗するもっとも大きな理由は、ホテルや旅館と自分が合わないマッチングの失敗、そうミスマッチです。

例えば犬と一緒に泊まりたいのにペット禁止の宿を選ぶ人はあまりいませんよね。さすがに事前に「犬と泊まれるかどうか」くらいは調べます。

タバコ嫌いなのに禁煙部屋設定してない宿を選ぶのはミスマッチですし、そこで「部屋がタバコ臭いとか信じられない」と言っても宿の選択をミスっただけですね。

犬と泊まりたいなら正しくペットと泊まれる宿を選ぶべきだし、タバコが嫌いなら全館禁煙宿を探せば良いのです。

こんなことは当たり前でみんなわかってる筈です。今更何言ってんの??でしょう。でもですね「犬や煙草」と書けばわかりやす過ぎて失敗するひとは少ないでしょうが、なぜか多くの人はしばしばミスマッチなホテルや旅館に泊まってしまって失敗します。


何故だかわかりますでしょうか?

これは自分で自分のことを分析できてないからです。

それくらい人って自分のことを後回しにしてるとも言えます。自分のイヤに向き合うことは自分を大切にすることなので、普段自分のことを無視してると、この「自分のイヤ」は自覚せず過ごしてる状態だってことです。

旅の宿選びでミスマッチを起こさないためには、まず自分のことをよく知りましょう。人は思っている以上に自分がどんな人間なのか把握できていませんので。


旅で嫌なことを自分に聞いてみる

さて、どうやって自分がどんな人間なのかを把握するか?その方法について書きますね。

旅の計画段階では「こうしたい」等希望のほうをリストアップしがちです。一緒に行く同行者にも「ねえ何したい?」とか「どんなホテル泊まりたい?」とか希望を聞いてませんでしょうか?

まずこれやめましょう。

そして「こんなホテル(旅館)は嫌だ」リストを作ります。

旅を成功に導きたいならば「絶対にこれはイヤ」みたいな「受け入れられないこと」を先に自分で自分に聞いてみたほうが宿選びが当たる確率があがります。

例えばいまなら、朝食がbuffet式だと感染の危険があるので、buffet方式に早々に戻しちゃったホテルは嫌かも。とか、逆に感染対応のせいでbuffetが中止でお仕着せの「選べないセットメニュー」になってるホテルは嫌だ〜buffetがよい。とか、それぞれに好みがありますよね。

でiPhoneのメモ帳なんかでいいので思いついたらいちいち書き出します。

「シャワーだけしかない部屋は嫌、旅の宿で絶対に浴槽がないことはありえない、バスタブ最高、バスタブ必須」

とかね。

そうやって自分と対話しながら「今度泊まるホテルがこうだったら嫌だよね」を全て自分に聞いてあげて把握します。(同行者がいる場合は同行者にも聞きます)

で、わたしもある時迄、これだけ旅に出ておきながら「こうしたい」って希望を書いてリスト化したことはあっても、「こうだったら嫌だ」とか「これは許せん」ってものは積極的にリストにしたことはありませんでした。

でも15年前の苦い経験で

せっかくエキストラの料金払って時間に課金してる状態の旅で自分がしたくないことをするのとか、要求を満たせてないホテルに泊まるの馬鹿げてない?

って気がつきました。

その「ばかげてる」と思ったきっかけは、ステキホテルに泊まったのに全然楽しくなかったどころか体調を崩した経験からでした。

たまたま雑誌かなんかでみた南の島のステキなヴィラ、専用庭にはジャグジーもあり、部屋には露天風呂、星を見ながら湯船に漬かり、日がな一日ヴィラの庭にある、自分たちだけのためにあるガゼボでうとうとしながら、専属バトラーの運んでくる食事を庭のテーブルで楽しむ、こんな優雅な滞在をしてみたい。

で、行きました。
散々でした。

夜な夜な出てくるオオトカゲ。室内まで入ってきてトイレに行こうとすると洗面所の前で佇んでいます。無理

露天風呂に入ると無数の虫がよってきて、湯船から出てる部分を毒虫に刺される。これで結局わたし、帰国後成田から病院直行する羽目に。

やりたいことや夢は叶いましたが、最後ストレスで蕁麻疹まで出ました、何故ならわたし虫もトカゲもとにかく苦手。自然が嫌いだったんですね。雑誌には良いことしか書いてないし、虫害が酷いとかネガティブな情報など載ってるわけがありません。

でも「こんなホテルはイヤ」リストを書いてたら

*虫が無理
*トカゲも無理
*自然苦手

の項目を見たときに

はてこのホテル、専用庭があるなんて自然の中で虫いっぱいなのでは?露天風呂って夜入れないのでは?

とアラートがかかったと思うのです。

「こんなホテルイヤだ」を書き出していれば雑誌の飾った情報に踊らされることなくミスマッチは事前に防げたんですね。

これをやらかしたことで

よく結婚相手に選ぶのは「好きなものが一致するより、許せないことや嫌いなものが一致してること」って言いますが、これと同じで宿との良いマッチングを得るには「嫌なことやもの」にフォーカスしてそれを選ばないように宿選びをするほうが、望んでいたものをつかみやすいのでは?と思いました。

そこでそれからは具体的に旅で「やりたくないこと」や旅で泊まるのに「こんなホテルは無理」ってのを書き出してみたところ、希望を書き出すより自分のホテルに対する好みがよりはっきり見えるようになりました。

わたしこういうホテルでは寛げないんだ、みたいなことが実はあんまり自覚なかったんだなとか、これだけホテル泊まっててそこで改めて気付いた感じです。

そしてこれはよく知られた常識ですが、人は思ってるより自分のことをわかってないんですよね。

なのでこの「自分のイヤだを自覚する」は自分を大切にすることでもありますので、旅行の計画の前に、まずじっくり自分に「何がイヤなのかな?」って聞いてあげるやさしい人になりましょう。



宿選びではトラウマもいたわる

例えば一つの具体的なお話。

わたしの場合、自分のことを全然わかってなかったなと思うのが、部屋から見える景色へのこだわり。

これは完全にエアラインクルーだったときの後遺症なのですが、ステイ先で割といいホテルに泊まれていたのに、そこはクルーなのでとことん眺めの悪い部屋に入れられることが多かったのです。

駐車場ビューとかは当たり前、駐車場でも見えたらまだいい方で、中には波の音は聞こえるのに隣のビルの室外機ビューとか、女中部屋などと揶揄されていた完全なる窓からビューなし部屋とか。

で、エアラインをやめた後プライベートの旅でホテルに泊まりに行って、ビューを拘った筈なのに窓からビューが外れにされるととことんテンションが下がるのです。自分でもびっくりレベルで落ち込む。

クルー時代の一種のトラウマ起動もあったのでしょう。けれどあんまり自分でテンションが下がる理由を深く考えていませんでした、自分のことはなかなかわからないものです。

で、こんなホテルはイヤだリストで「外れビューが嫌、許せな〜い(ぷんぷん)」ってメモ帳に書いた途端に「窓からビュー」での失敗が明らかに少なくなりました。

いままでは漠然と「景色の良い部屋に泊まりたい」って希望を持っていたのですが、とにかく悪いビューにならないようにちゃんと事前に工夫する行動をとるようになりました。

例えば、ホテルの中で眺めの良い部屋を予約するのではなく、MAPを見てホテルそのものの立地を確認し、いちばん良い景色が見えそうな場所に建ってるホテルを予約して外れ確率回避とか。

リクエスト欄には必ず「高層階で眺めの良い部屋希望」って忘れずに書くようにしました。

ホテルというのは、ベイビューってカテゴリでちゃんとその分料金払って予約しても、全て同じビューではないんですね、まず階数が違うと見え方も違います。そしてホテルの形によって真正面ベイビューと、尻尾しか見えないなんちゃってベイビューみたいな当たり外れトラップがあります。

海外ですと、白人様がこの真正面ビューを何も言わずともアサインされ、一人できたアジア人女などは何も言わないと低い階の外れベイビューにしれっとアサインする、みたいな意地悪はわりとナチュラルにされたりもしますので、そこは「そういうことはすんなよ」的な牽制の事前リクエストが必要だったりします。

要は「これは嫌リスト」に書いたことがきっかけで、外れビューにアサインさせないように、忘れずに積極的な防御行動を取るようになったってことです。

ホテルで快適に過ごすためには、こうやって自分の許せじポイントをしっかり把握するのは大事であるとしみじみ思った次第。


旅の計画は自分の現実と向き合う儀式

これまで書いてきたように、旅の計画や宿選びって、本気でやろうと思うとかなりハードモードになることは確かです。普段はなんとなくほっぽらかしてた自分の取り巻く現実ととことん向き合うことになるので、真剣にやるとしんどいんですよね。

予算を考える時には自分の稼ぎ等の現実を見ないと話になりませんし(無い袖は振れない)あとはさっき書いたように、「何が嫌いか」と自分に問いかける行為は、セルフカウンセリングみたいな作用もありますので過去のトラウマ引っ張り出すことになったりします。

食べ物に起因する条件も昔の嫌な思い出がよみがえったりすることもあるでしょう。そして、海外旅行での宿選びはアジア人差別がある現実から目を背けていると快適な滞在が得られなかったりします。

いまだったらどんな現実と向き合う必要があるでしょうか?

具体的には「都会から来るな!」って地元民に石投げられる場所ではないか?も調べる必要のある項目です。問い合わせた先の宿の人は商売なので「気にせずどんどん来てください」って言うかもしれませんが。地元の人の感情は別のところにあったりします。旅行者が全く歓迎されてないどころか忌み嫌われてるところに行っても楽しい旅にできるか不安です。

そしてこう言った条件や現実に向き合うのはしんどいからと言って放置すると、旅行に行ってから突如封印してた何かしらのトラウマが復活とか、差別じみたことをされてなんか楽しくない…みたいなもやもやした思いを抱きながら、大切な旅の時間を過ごすことになりかねません。

最終的には合わない宿を選んでしまい「宿選び失敗した〜」みたいに後悔につつまれてしまったりして…

自己完結できれば良いですが、メンタルがダメージを受けてるとちょっとしたことで悲しくなったりして、旅自体が台無しになる危険もあるので、やはり旅の計画段階で嫌でも、面倒でも、辛くても一度とことん自分と向き合うことをお勧めします。

旅とはそういう装置でもあるので。


あとがき

客が宿を選んでるのではない、宿が客を選んでいるのだ

ここまで読んでくださった方へ感謝を込めてあとがき

このツイートはあるツイートのオマージュです。

そのあるツイートとは「Go Toで少し高い旅館に泊まったら大失敗〜料理多すぎ」と意見してTwitterで相当な話題になっていたあれです。

騒ぎになっていたのでご存知のかたも多いでしょう。

そのツイートを見て
「こりゃマッチングの失敗だな〜」
ってまず思いました。

大失敗と言われた旅館は今回の「禍」のせいで壊滅的な打撃を受けてるであろうことは想像に難くありません。こんな状況でも来てくれるお客様に料理の皿数でもてなしを表現したかったのでしょう。

ところがそこに食品廃棄に心を痛めている人が来てしまうのは、お互いの思いが噛み合ってないゆえにおきた不幸です。

マッチングの失敗そのもの。

で、この失敗が起きるもう一つの理由をさらっと言っちゃうと、客がホテルや旅館を選んでるのではなく、ホテルや旅館が客を選んでるからなんですね。

どんなホテルも旅館も自分たちが来て欲しい客を設定してそこをターゲットにいろんなものを準備してるはず。

一番わかりやすいのが宿泊施設の料金設定です。宿は価格レンジを決めて食事だったり、サービスだったり、部屋だったりある程度のグレードを設定します。商売なので当たり前ですね。

そうすることによってフィルターが出来ます。

具体的に言うと、例えば一泊ひとり1万円の宿なら悩まず泊まれるけど、一泊ひとり100万円だと無理。これ一泊100万円の宿からは自分が選ばれてないってことになります。残酷ですけど現実なので受け止めると、自分が1万円の宿を選んだのではなく、100万円の宿から自分が選ばれてないって話です。

金額でフィルターされた!と思うとショックが大きいのでもうひとつ例をあげましょう。

最近話題になってたBarホテル。チェックインしてからチェックアウトまで酒を飲み続けられると好評ですので酒好きは行けば歓喜するホテルですが。宿のターゲットは酒飲みであり下戸では無いことが明確です。

この場合宿から選ばれたのは「酒豪客」であり、ちっちゃいグラスにビール半分でよっぱらう、もしくは下戸客は宿から客として選ばれていません。

利用者側はこの「宿に選ばれている」を気がつけないと、いつまでも合わない宿に泊まり続けることになります。

なのでホテルや旅館から客が選ばれてるのだ、というからくりに気がついたら、賢い利用者はホテル選びとか旅館選びは、ホテルや旅館側からはどのような客が客として望まれているのか?を読み取ってマッチングで失敗をしないように注意しましょう。

宿選びを「大成功」させるにはまず自分を知ることありきなのです。

食品ロスが気になる自分なのか、旅館の料理はどーんと皿数が無いと満足できない自分なのか、食べ物を残したら罪悪感で眠れなくなるほどセンシティブなのか、好きなものだけつまんで楽しみたいタイプなのか…などなど。自分をよく知って、マッチングの失敗を事前に回避し、楽しい旅にしましょう。

是非次の旅の宿を選ぶ時は「こんなホテルはイヤ」リストを同行者と楽しみながら作ってみてください。自分にも同行者にも新しい面が見えるおまけもついてくるかもしれません。

皆様の旅が楽しいものになりますように。

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