見出し画像

落語にも時代の流れは影響するんだなぁ:立川談春独演会 三ヶ月連続人情噺その一「子別れ(通し)」

20231022森ノ宮ピロティホール

午後一は妻の希望でシネ・ルーブル梅田で「AALTO」を観て、15時から僕の趣味に付き合ってもらって「立川談春独演会」。
三ヶ月連続人情噺をかける「その一」で、「子別れ」を通しで聴かせていただきました。

腕はあるけど、酒に溺れる大工の熊。
世話になった御隠居の葬儀の帰りに吉原に寄り、昔馴染みの女に再会したこともあって、三日居続けてしまう。
家に帰って、妻と喧嘩になり、仲裁も聞かずに開き直ってしまい、妻と息子は家を出ていく。
昔馴染みを後に入れたものの、長くは続かず、心を入れ替えて酒を断つ熊。
腕はいいので、酒さえ飲まなければ評判は高く、仕事では立ち直る。
妻が出て3年。
ふとした折に息子と再会し、その息子のおかげで出て行った妻とよりを戻すことに…



大筋はまあ、こんな話。
妻子が出ていくまでが「上・中」で前半なんですが、実にまあこの「熊」がどうしようもない。
「嫌われますよね〜」
と談春さんも言うくらいで、もちろん話としては、ここから「下」での<改心>の姿が聴きどころなんですが、それにしても
「こんな奴、いるかね?」
ってくらい<酷い>有様です。


まあ「時代」的なところもあるかもしれません。
「昭和」なら、まだもうちょっと「こう言う奴いるよな」ってところがあったかも。
でも今じゃぁ…。
ここら辺の塩梅が難しいところで、談春さんがそこここで挟むコメントや笑いが、なんとかこの設定を成立させてるようなところもあります。
そこが上手いっちゃあ、上手い。


「熊」の設定の中で、
「どうして酒を飲まずにいられないのか」
ってところに、
「自分で自分がわからなくなってる」「どう生きたらいいのか、見えなくなっちゃった」
…なんてあたりは談春風かな?
さらっと挟まれてて、嫌味じゃないですけどね。
それがあるから妻や周りの人間が熊を見離さない…ってことになるんでしょうね。


三ヶ月連続だから、来月もあります。
「文七元結」
楽しみ、楽しみ。


#立川談春
#子別れ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?