カクヨムと小説家になろうとアルファポリスとエブリスタとマグネットとnoteで同じ内容の小説を同時に投稿した結果

0. 序文
 タイトルの通り、俺は6つのwebサービスでまったく同じ内容の全13話の小説をほぼ同時に投稿した。その結果、PV数などに大きな差が見られたので、これをまとめて原因を考察する。


1. 投稿した小説
 投稿した小説は、「黒い魔術は死を喰らう」という10400文字程度(webサービスによって空白や改行のカウントが異なり文字数の差が発生する)の短編だ。
以下に、それぞれのweサイトの作品URLを記載する。

カクヨム
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885885629

小説家になろう
https://ncode.syosetu.com/n4179et/

アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/novel/543396177/30182221

エブリスタ
https://estar.jp/_novel_view?w=25065569

マグネット
https://www.magnet-novels.com/novels/50978

note
https://note.mu/suzumeninja/m/m2d484e38364c


2. お気に入り数(作者)とPV数
 以下の表は、webサービスごとのお気に入り数(作者)とPVの表である。

 お気に入り数(作者)とは、noteの「フォロワー」や小説家になろうの「逆お気に入り」など、作品に単独ではなく作者単位でどれだけチェックされているかという数字である。
 アルファポリスはユーザーをお気に入りにすることはできるが、「自分がどれだけのユーザーにお気に入りされているか」を確認することはできない。また、マグネットはそういった機能そのものが存在しない。

合計PV数は、以下の方法で計算している。
カクヨム:各話のPV数の合計
小説家になろう:アクセス解析の小説全体の累計PV数
アルファポリス:確認不可能
エブリスタ:小説の閲覧数
マグネット:小説の閲覧数
note:各話のPV数の合計

 圧倒的に合計PV数が多いのは、小説家になろうとnoteで、次いでカクヨム、マグネット、エブリスタと続いている。
 アルファポリスは、閲覧数やお気に入り数、作品投稿頻度など、それらをすべて独自の計算方法で合算した「ポイント」という単位で作品評価が決まるので、詳細なPV数などを確認することはできない。

 noteとカクヨムについては、お気に入り数(作者)の数値と相関があり、小説家になろうは相関がない。これは、webサービスのTOPページに大きな差があるからだ。

 まず、noteはTOPページには「フォローしている人の作品」しか表示されない。これはつまり、フォロワー数がほぼそのままPV数に直結すると考えて問題ない。
 第1話PV数より最終話PV数の方が多いのは、投稿中にフォロワーが増えたことによる効果が大きい。

 次にカクヨムだが、TOPページには「注目の作品(レビュー数などで選出)」11件と「累計ランキング」が表示され、その下には「特集(運営の企画)」と「書籍化作品」が表示され、その下にようやく「新着おすすめレビュー」4件と「新着小説」8件が表示される。
 つまり、かなり画面を下にスクロールしないと新着小説が表示されないので、カクヨムもフォロワー数がほぼそのままPV数に直結する。
 ただし、コメントなしレビューが付けば「注目の作品」に表示される可能性が増え、コメント付きレビューが付けば「新着おすすめレビュー」に表示される可能性がある。
 よって、一度評価されて波に乗ればPV数は跳ね上がる可能性があるが、そもそも波に乗りにくい(新規読者が増えにくい)という傾向がある。

 続いてエブリスタだが、こちらはカクヨムよりも更に輪をかけて新着に厳しい。TOPページの最上部に「新着ピックアップ」3件の表示があるが、その表示条件は「2週間以内に公開された作品のうち、ページ数などの条件を満たしている作品」となっている。
 カクヨムは特に条件無く8件の表示だが、エブリスタは条件付きの3件なので、TOPページからの新規読者は圧倒的に増えにくい。
 ただし、エブリスタにはwebサービス内にコミュニティがあり、作者同士が相互に作品を読み合うコミュニティなどもあるので、そういった物を利用すれば新規読者は増やせるだろう。
 コミュニティに参加して交流するというのがエブリスタの最大の特徴なのだが、逆に言えば、コミュニティを使わない限り、新規読者を増やす目的でエブリスタを利用することはかなり厳しい。

 最後に小説家になろうだが、今回利用した6つのwebサービスの中で、一番新規読者を増やしやすいTOPページになっている。
 小説家になろうのTOPページは、上から順に「ランキング(年間)」、「新着の短編小説」12件、「完結済みの連載小説」20件、「更新された連載中小説」12件と並んでいる。
 注目するべきは、他のwebサービスにあるような運営のオススメや注目の作品などが一切存在せず、そのスペースに新着小説が合計44件も表示されるということである。
 特に、「完結済みの連載小説」の効果は大きく、小説家になろうで連載小説を完結させた日とその翌日くらいまでは、PV数が一気に伸びる現象が発生する。

 また、完結済み以外の小説に関しても、カクヨムやエブリスタと比較して表示件数が圧倒的に多い。以下にまとめて比較する。

カクヨム:リアルタイム更新で、投稿順に8作
エブリスタ:過去2週間の投稿から3作
小説家になろう:平均10分ごとの更新で、投稿順に44作(短編12作、完結した長編20作、連載中の長編12作)

 TOPページの表示件数が多いということは、お気に入り数(作者)や作品の評価が少なくてもTOPページに表示される可能性が高いということになり、新規読者を増やしやすいということに繋がる。

 なお、アルファポリスは、TOPページにはランキングしか表示されないというシンプルなスタイルなので、注目作がない分だけエブリスタよりも新規読者は増えにくいかもしれない。
 また、マグネットは「小説を読んだり書いたりすると貯まるポイント」を使うことで自作をTOPページに表示するシステムがある。これがどれだけ有効なのかに関しては、まだ調査の必要がある。


3. 小説の評価数と感想
 以下の表は、webサービスごとの小説の評価数と感想の表である。

 お気に入り数(作品)とは、noteのマガジンの「フォロー」や小説家になろうの「ブックマーク」など、読者が作品単位でチェックする機能だ。
 カクヨムと小説家になろうのお気に入り数(作品)を比較すると、PV数に対する割合は小説家になろうの方が少ない。これはおそらく、小説家になろうが、「完結済みの連載小説」の表示から一気に読んだ人が多いことが原因だろうと思われる。

 レビュー人数(コメント無し)は「作品の評価を数値で評価する」機能で、カクヨムの星を付けた人数、小説家になろうの5段階評価を行った人数、エブリスタのスター数、マグネットのいいね数をそれぞれ表している。
 これに関してはカクヨムの件数が多かったが、そもそも全体の数が少ないので、今回の結果だけを見て「カクヨムはレビューが付きやすい」と判断することはできない。

 レビュー人数(コメント有り)は「作品の評価を文章で評価する」機能で、カクヨムのレビューで文章を書いた人数、小説家になろうのお薦めレビューの件数、エブリスタの作品レビューの件数をそれぞれ表している。
 今回はどれも差異はなかった。

 なお、アルファポリスとnoteはレビュー機能が存在せず、マグネットは文章でレビューする機能が存在しない。

 感想数は「レビュー以外の読者の文章」で、カクヨムの「応援コメント」、小説家になろうとアルファポリスとエブリスタの感想、マグネットの作品へのコメント、noteの記事ごとのコメントをそれぞれ数えている。
 感想に関しては、Twitterで感想をツイートする読者もいるので、一概にどれが感想が付きやすいというのは言えない。ただし、noteについては他とコメントの扱いがやや異なるので、note内で小説の感想が付くことは少ないかもしれない。

 最後に第1話評価人数と最終話評価人数だが、カクヨムの話数ごとの応援数、noteの記事ごとのスキ数をそれぞれ表している。
 カクヨムとnote以外には、話数ごとに評価する機能というのはないので、細かい評価を確認するならばカクヨムとnoteが有効だ。
 また、カクヨムは、各話ごとのPV数の確認や、各話ごとの感想などがあり、「第1話を読んだ人の内どれだけの人数が最終話まで読んでいるか」などを確認することもできる。この点でnoteは他のwebサービスと大きな差がある。

4. 最後に
 今回は6つのwebサービスについて、PV数や感想数など、「読者の反応」について比較した結果、PV数を増やすという目的ならば圧倒的に小説家になろうが強いということがわかった。
 しかし、だからといって、小説家になろう以外のwebサービスがだめというわけではない。

 例えば、カクヨムは毎年10万文字以上の長編のコンクールがあり、長編もPV数などを話数ごとに確認できるなどの強みがある。
 例えば、アルファポリスはPV数などに応じてポイントが溜まって現金化できる。また、一定以上のポイントがあれば運営に対して自作の書籍化を打診することもできる(却下されることもあるが)。
 例えば、エブリスタは小説以外にもコミックの投稿が可能でコミュニティもあるので、小説にイラストを描いてもらったりイラストに小説を書いてあげたりといった交流もできる。
 例えば、マグネットは小説を書けば書くほどポイントが溜まって、新着以外でもTOPページに作品を出して宣伝できる。また、他のユーザーから貰ったポイントの現金化もできる。
 例えば、noteは小説以外にもイラストや動画をまとめて投稿できるので、投稿形式が自由だ。また、他のユーザーから投げ銭をもらうこともできる。

 このように、どのwebサービスにもそれぞれの強みがあるので、活かしたい強みに合わせてwebサービスを選択する自由がある。
 とにかくPV数がほしいのか、書籍化を狙いたいのか、イラストなどを入れたいのか、自分が何をしたいのか、それを考えてwebサービスを選び、小説を投稿しよう。


Ex. オマケ
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