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本を読む理由

詳しく話を聞いてみると
このお客様は普段、本をあまり読まないらしく
先日、初めて東野圭吾を読んだので友達に話したら、
友達も周りの人も読んだ事のある本で
バカにされたそうなのです。
(今更?とかなんとか言われたそうです)

そもそも、みんなが知ってる有名作家だから
「読んだ」って言っても反応が薄かったのだと思う。
みんなが知らないような本を見つけて自慢したい…と…

文芸文庫に関しては、担当していた経験から言うと
正直、人気作家の新刊売上頼みでは
もうやっていけないのが、今の多くの書店の状況だと思います。
人気作家の新刊を確実に売りつつ、それ以外で埋もれている本、
当時は売れなかったけど面白い本、しかけて売れる本はないか
新旧問わず、金脈を探す炭鉱夫の如く
日々捜索し発掘し続けているのです…

結局、そのお客様には有名作家から新人作家まで
何点かお勧めしたのですが
「本屋の棚に普通にある本は嫌だ」と
言って帰っていきました。
正直、その時は「じゃあなんで本屋に来たんじゃーい」と
思ってしまったのですが

本を売る側ではなく、本を読む側として考えた時
普段本を読まない人が、読んだ本の感想を話して
相手にそんな風に言われてしまったら
今後、また「本を読もう」という気にならないだろうな…
もし、相手が「私も読んだ!面白いよね!」と言ってくれる
人だったら全く違う結果になっただろうな…
そう思うと悲しい気持ちになるのです。

「本を読む理由」は人それぞれですし
自由で良いと思うのですが、このお問い合わせで
「自慢するために本を読む」という理由もあるのか、と
驚きました。

私の「本を読む理由」は色々あれど、雑に言ってしまうと
「面白いから」です。私にとって本は
「楽しいもの、何かしらの感情を揺さぶってくれるもの」
もしくは「自分にない経験や知識を教えてくれる先生」です。
作家さんが創造する、その世界を共有できるすごいもので
時にそれはエンターテイメントを超え
「救い」になる事もあります。

「自慢のために本を読む」場合、読んだ本人が
面白いか面白くないかは関係ないのかな…と思うと
純粋に勿体ないなぁ、と思ってしまうのです。

また、以前あった問い合わせで

「自己啓発本もスピリチュアル本も
たくさん読んだけど、頭がよくなった気がしないの
書店員さんて本をたくさん読んでるでしょう?
頭がよさそうに見えるじゃない。
何を読んだら頭がよく見えるかしら?
お勧めを教えて」というのがありました。

「頭が良い」の定義も人それぞれですし
(あとすいません、個人的に
「本をたくさん読んでいたら頭が良い」と思わないでほしい…)
(そしたら私はもう少し頭が良くなっているはず…)(悲しい)

それなら語学書で英語などをマスターした方が
使い道がある気がしましたが…
「本を読む」といっても、その理由も目的も
人それぞれなのだなぁ…としみじみ思ったものでした。


あなたはどんな理由で本を読んでいますか?


愛猫と日常を記したり、本をオススメしたりしています。