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おかあさんゆび(第5話)

華、あきらを幼稚園に送る。
その日は学校もスーパーも休みだった為、ユミの家で絵を書くために帰宅。


ガチャ。


華「あ、ユミさん起きてたんですね?」

ユミ「起きてない。目が開いてるだけ。」

華「う~ん、それって一般的には起きてると言いますか・・・。」

ユミ「眠すぎるけど目が開いてる。もう意味分からん。」

華「じゃあさっきあきら君に作ったマーボーチャーハンが・・・。」

ユミ「それ以上言ったら間合いを詰める」

華「あ、はい、ごめんなさい・・・。」

ユミ「はぁ、疲れてんだけどさ~、何かすっと眠れないんだよな~。

華「じゃあせっかくですからお話しましょうよ♪」

ユミ「あたし『チームせっかくですから』って嫌いなんだけど」

華「そのチームは果たして?」

ユミ「何でもかんでも『せっかくですから』って無理やりやるやつな。旅行とかでも見たくも食べたくもないもの全部『せっかくですから』ってねじ込むだろ。あれ嫌い。だから無理。」

華「なるほど・・・。じゃあユミさんに聞きたい事質問してもいいですか?」

ユミ「なに?」

華「あの~、答えたくなかったいいんですけど・・・。」

ユミ「じゃあ答えない。」

華「あ、じゃあ答えて下さい。あきら君のお父さんって・・・。」

ユミ「消えた。あ、消したかも。」

華「え、まさか殺したとか・・・。」

ユミ「まだ法には触れてないはず。ギリギリでい~つも生きていたいけど、ア~ア~。」

華「あの~、その歌は・・・。」

ユミ「知らないの? もしくは死にたいの?」

華「いや、出来ればもう少しだけ生かしていただけないかと・・・」

ユミ「いなくなったんだよ。多分浮気したんだったけかな?頭来てハイキックかましたら逃げやがったんだよ。そっから帰って来なくなって、離婚届送られてきた。」

華「そうだったんですか。ユミさん離婚してたんですね。変な事聞いちゃってすいません・・・。」

ユミ「ん?離婚はしてない。」

華「え?今離婚届送られて来たって・・・。」

ユミ「来たよ。でもその辺に置いてある。」

華「じゃあユミさん、まだ旦那さんと・・・。」


ユミ「消す。お前も消す。塵と化す。」


華「はぁぁぁぁ、ごめんなさい・・・。」


ユミ「だってさ~、役所って昼間しか開いてないじゃん。その時間寝てるし。あいつには未練も何も残っちゃいない。」


華「そうですか・・・、でもひょっとして本当は・・・。」


ユミ「地獄の業火で焼き尽くそうか、ゴルァ?」


華「あぁぁぁぁぁ、もう言いません。ごめんなさい・・・。」


ユミ「でもさ~、どうやって出せばいいんだ?離婚届って?」

華「いや、私も出したことは無いので・・・」

ユミ「じゃあさ、華、書いてよ。んで出しといて。」

華「いや、それはいくらユミさんの頼みでも・・・。じゃあ一緒に書いてみます?」

ユミ「だな。でないと永遠の書かなそうだな。んじゃ書いて出しに行くか・・・。」

華「そうですね。そうすればきっといい出会いもあるはずですし♪」

ユミ「だ、れ、が、そんなこと頼んだゴルァ?」


華「あぁぁぁぁぁ、ごめんなさい・・・。」




第6話につづく


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