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おかあさんゆび(第12話)

20年後・・・。


アナウンサー「Golazo!!!!!!!!!!!!
Yuri marca su tercer gol y sella su segundo título de goleador consecutivo!!!」

(ゴール!!!!!!!!!!!! ユーリ、2年連続得点王を決定づける3点目のゴール!!)





・・・数日後のマドリード空港・・・



修二「あ!!先輩!!」

あきら「お、修二。久しぶり!!」


修二「いや~、先輩凄いっすね。2年連続得点王って。」


あきら「いや、たまたまだよ。それより早く搭乗手続きしないと。」


修二「やべっ!! ちょっと行ってきます!!」





・・・日本に向かう機内・・・


修二「いや~、ギリでしたね。こんなことなら、俺ポルトガルから直で行った方が良かったっすね。」


あきら「お前が一緒に日本帰ろうって言ったんだろ?」


修二「まあそうですけど。だってレアルの得点王と日本帰った方が、成田で歓迎度合いが違うじゃないですか。」

あきら「そんなに期待しない方がいいんじゃないか?空港に誰もいなかったらへこむぞ。」


修二「いやいや、その辺はネットでリサーチ済です。『由利彰、リーガエスパニョーラ2年連続得点王!!』って号外配られたらしいですよ。 まあ世界レベルのニュースですから当然ですよね。」


あきら「まあ個人的には本番はワールドカップだと思ってるから。気を引き締めないとな。」


修二「先輩まじめっすね。あ、そういえば、1つウチのチームメイトから先輩に聞いて欲しいって言われてた事があって。聞いてもいいすか?」


あきら「ん?なんだ?」


修二「先輩ゴール決めた後、ポーズするじゃないすか。あの右手で左手指さすやつ。あれなんか意味あるんすか?」


あきら「ポーズ・・・。特に意味無いよ。」


修二「え~、またまた~。だって薬指を指さしてるから、ネットでは『彼女募集中』とか、逆に『恋人に捧ぐゴール』とか、まあまあざわついてましたよ。教えて下さいよ~。」

あきら「だから特に意味ないって。」


修二「え~。これ答えてもらわないとマズいんだけどな~。」


あきら「またお前のことだから、そのチームメイトと賭けでもしてるんだろ?」


修二「あ、ばれました?」


あきら「どうせその程度だろ。ところでさ、今ワールドカップって世界中で何人ぐらいが見るんだろうな?」


修二「どうですかね。前は何十億人が見るとかニュースでやってましたけど。今も変わらないんじゃないですか?」


あきら「そっか。」


修二「まあ全世界が注目するのは間違いないですからね。あ、ところで先輩、レアルとの契約今年までだったじゃないですか。来年はもう決まってるんですか?」


あきら「バイエルン」


修二「え?ブンデスですか?意外だな~。」


あきら「そうか?俺もあと何年現役で出来るか分からないから、ピークでドイツに行きたいとはずっと思ってたんだ。」

修二「へぇ、そうなんすか。あ、先輩子供の頃ドイツ居たって言ってましたもんね。」


修二「あ、ごまかされるとこだった。 で、先輩、あのポーズって・・・」


あきら「お前しつこいな・・・、おかあさんゆびとおねえさんゆびだよ。」


修二「またそうやってごまかす~。」






20年前、華はユミにあきらに向けた一通の手紙を預けた。


あきら君へ

お別れも言わずに、いなくなってしまってごめんなさい。
本当はさいごにもう一度会いたかったけど、会うと悲しくなっちゃうから、ユミさんとそうだんしてお手紙にしました。

ユミさんとあきら君と、いっしょに過ごした時間は本当に楽しかったな。
でもおねえさんが一番うれしかったのは、あきら君のおねえさんゆびにしてもらえたことかな。 
あきら君はサッカーもじょうずだし、べんきょうもがんばってるから、おねえさんのおにいさんゆびはあきら君だね。
 
これからもサッカーもべんきょうもがんばって、ユミさんをしっかりささえてあげてね(ユミさんすぐねぼうしちゃうから)。
 
いままで本当にありがとう。
  
わたなべ はな


ユミはあきらにその手紙を渡すことは無かった。

わざと渡さなかったのか、忘れてしまったのかはユミにしか分からないが。






おわらない






ユミ「はぁぁぁぁぁん??? 忘れる訳なかろうがゴルァ!!! わざとだよ、わ、ざ、と!!!」




次回、いよいよ最終話(前編)!!



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