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おかあさんゆび(第2話)

ラーメン屋のゴリラ「へい!! ニンニク増し増し2人前お待ち!!」


ユミ「ズルルルルル~。 ズルルルルル~。」

ユミ「ズルルルル~。 ズルルルル~。」

ユミ「ズルッ・・・。」



ユミ「いい加減メソメソしてないで食え。ここのラーメン、麺がスープを吸い始めたら完食ムリだから。」

華「(グシュ、グシュ、)ぁい。ばりがとうごじゃいばず・・・。」

ユミ「ん?今なんつった?」

華「ばりがとうございます。」

ユミ「(全然分かんねぇ。)」

ユミ「でもさ~、あんたキャバクラで客に脚触られてあんなに号泣するかね?」

華「(グシュ)だってビックリして・・・。」

ユミ「てかさ~、キャバ嬢ってそれが仕事じゃん。」

華「え? だって店長さん、お客様の横で笑ってるだけでいいからって言ってたから・・・。」

ユミ「だからさ~、あんた号泣してんじゃん。笑えって話だよ。」

華「最初は笑ってたんですけど・・・」

ユミ「永遠に笑えって話。」

華「はい・・・、無理でした。」

華「でも、ユミさんは何でこんなに優しくしてくれるんですか?」

ユミ「は?何でってなに?」

華「え、だって初めて会った私が泣いてたからって、お客様に張り手して、そのまま一緒にラーメンご馳走してくれて・・・。」

ユミ「わかんない」

華「わかんない?どーゆーことですか?」

ユミ「だからわかんない。」

華「え~っと、もう1回言いますと・・・。」

ユミ「違うよ。あの客は前からムカついてたから張り倒すいいチャンスだっただけ。あと張り手じゃなくて、正確には掌底。手首痛めにくいから。で、客張り倒してそのまま接客出来ないじゃん。だから早退するしかなかっただけ。で、このラーメン屋はいつもの仕事終わりだとゴリラが寝ちまうからやってないから来ただけ。以上。」

華「でも私にご馳走してくれるって・・・」

ユミ「は?誰がご馳走するって言った?天のお告げか?」

華「あ・・・、私勝手に思い込んで・・・。」

ユミ「いいよ。今日だけ許す(アタシ神)。」

華「ありがとうございます。 でも・・・。」

ユミ「でもなんだよ?」

華「もう私クビですよね・・・。 あ、ユミさんも・・・。」

ユミ「あ~ん? 誰勝手にクビにしとんじゃ? ってか今年に入って3人目だからヤバイ? いや、今日のは多分見えてないし、帰る時に『めまいがする』って早退した風だから大丈夫。客にもおしぼり突っ込んどいたから大丈夫。完全犯罪成立。勝ち。」

華「いや、それはかなり無理があるかと・・・。」

ユミ「ま、最悪あの客が店長に苦情言ってもさ、アタシ店長の愛人のロシア人と友達だから多分何とかなるし。ならなきゃその時考えるよ。」

ユミ「ところであんたはどうすんの?」

華「・・・」


華「無理・・・かもです。」


ユミ「ふーん」


華「働くつもりで寮に入れてもらったので、そこからも出ないといけないですよね・・・。」

ユミ「あぁ、まあそうなるわな。」


華「・・・あの・・・、ユミさん・・・。」


ユミ「ムリ」


華「え、まだ何も・・・。」

ユミ「ムリムリムリムリ~。」


華「いや、その・・・。」

ユミ「てかさ、この流れって『ユミさんの家に泊めて下さい』って確率85%のやつじゃん。そんなの最初に気付いたら聞く前に断る方が手っ取り早いって話だよ。」

華「すご~い、ユミさんって予知能力あるんですね♪」

ユミ「(ん?褒められてる?)」

華「じゃ、ちゃんと言いますね。『ユミさんの家に泊めて下さい』!!

ユミ「(なに確率に乗っかってんだよ・・・。)」

ユミ「でもさ、マジ無理なんだよ。うち子供寝てっからさ。」

華「あ、ユミさんお子さんいらしゃったんですね・・・。そうとは知らずすいません・・・。」

ユミ「あ、うん。」


華「じゃあ私、これ食べたら行きますね。明日店長さんにはきちんと謝って、寮の荷物も取りに行きます。」


・・・

・・・・・

・・・・・・・

ユミ「行くってさ・・・、」


華「はい?」


ユミ「行くってさ、どこ?」


華「いや、この時間だとネットカフェとか・・・。」


ユミ「来なよ」


華「え?」


ユミ「うち来なよ」


華「え?でも・・・」


ユミ「いいか?来るからには主従関係をハッキリさせとくからな。我が家のルールは『私(ユミ)が神』。私には絶対服従すること。以上。」


華「あ、ありがとうございます・・・。グジュ、グジュ・・・。」


ユミ「次泣いたら殺す。秒で殺る。」


華「あ、はぃ・・・。ごめんなさい・・・。」





第3話に続く




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