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スウェーデン、デンマーク、ノルウェーのサッカー情報を不定期で発信します。『フットボール…

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スウェーデン、デンマーク、ノルウェーのサッカー情報を不定期で発信します。『フットボールチャンネル』『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。ツイッターアカウント:@swe1707(日本語)、 @jpnswe_fotboll(スウェーデン語)

最近の記事

女子サッカーの発展について「言葉」の視点から考える

 なでしこジャパンが2011年大会で優勝してから、日本の女子サッカーは少しずつではあるが認知されている。WEリーグやなでしこリーグの客層も、以前は中高年の男性が多数を占めていたが、近年は女性の姿を目にすることが少しずつではあるが増えてきた。とはいえ、WEリーグの観客動員数が伸び悩んでいることからわかるように、女子サッカーが一定のステータスを得ているとは言い難い。女子サッカーの発展のためには何が必要なのか。ここでは「言葉」の観点から考察して行きたい。  「日本代表」「日本女子

    • スウェーデンの女子チームがユニフォームショーツの色を黒に変更─生理に対処するため─

      スウェーデンの女子チームが、生理による経血に対処するためにユニフォームショーツの色を白から黒に変更した。 ストックホルムに拠点を置くReymersholms IKは、1899年に設立された歴史ある総合スポーツクラブ。設立以来、サッカーチームは男女に関係なくユニフォームショーツとして白色を採用してきた。だがクラブは2020年4月、年代別の各女子チームに限り、ショーツの色を黒に変更する決定を下した。 きっかけは、クラブで活動する女子ジュニアチームの訴えだった。生理による経血を

      • WEリーグはもっと娯楽性を!

        先月、WEリーグに関して次のような記事が公開されていた。 https://news.yahoo.co.jp/articles/31fe6f32d39687a1d3d373efb697157cf74a1aa8 観客数が伸び悩んでいるという内容に対して、Twitterではネガティブなコメントが多く見られた。1試合平均の観客者数が約1800人というのはリーグが掲げる1試合平均5000人には程遠い数字だ。だが、あまり悲観する必要はないのではないか。まだ1年目なので、これから試行錯

        • 歴史に埋もれたサッカー少女たち

          以前の投稿でも書いたが、スウェーデンのサッカー雑誌『offside』を数年前から定期購読している。つい先日届いた最新号で女子サッカーに関する興味深い記事が掲載されているので、紹介したい。 記事のタイトルは"Möte med framtiden"(将来との出会い)。ライターのサンナ=アーブマン・ハンシン(29)は第2の都市ヨーテボリの地元紙『ヨーテボリ・ポステン』で記者として勤務する傍ら、女子の最下部リーグにあたるディビジョン4(6部に相当)のエーセットBKというクラブでプレ

        女子サッカーの発展について「言葉」の視点から考える

        • スウェーデンの女子チームがユニフォームショーツの色を黒に変更─生理に対処するため─

        • WEリーグはもっと娯楽性を!

        • 歴史に埋もれたサッカー少女たち

          女子サッカーに携わる風間氏に期待すること

          先月末、女子サッカー界にビッグニュースが飛び込んできた。 風間氏について今さら紹介するまでもないだろう。川崎と名古屋で指揮したサッカー界随一の理論派だ。 風間氏が指導する静岡SSUアスレジーナは今シーズンから本田美登里氏を新監督に迎え、なでしこリーグ1部での豊富な経験を持つDF左山桃子を獲得。所属はチャレンジリーグだが、今季の女子サッカーにおいて注目すべき存在だ。耳目を集めるこのチームに風間氏がどんな化学反応をもたらすのか、楽しみでならない。 さて、風間氏が女子サッカー

          女子サッカーに携わる風間氏に期待すること

          女子サッカーにもっと「喜」と「楽」を

          『隔離の記憶』という書籍を紹介したい。ハンセン病で隔離された人たちの生き方を綴ったルポタージュだ。差別・マイノリティ問題に関心を持つ私にとって、何度も読み返してはそのたびに新しい気づきを得られる、いわばバイブルのような存在である。 このルポが素晴らしいのは、「当事者はつらい思いをしてきました」「偏見はやめましょう」といった差別・マイノリティ関連書籍でよく目にする紋切り型の言い回しは皆無で、それでいてハンセン病という問題について強く読者に訴えかけてくる点だ。 ハンセン病を患

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          2019年スウェーデン女子サッカー観戦記①

          「日本女子サッカーの発展に貢献したい」 昨年最後のツイートで、2020年の抱負としてこのように書いた。そこでこのスウェーデン女子サッカー観戦記である。いきなりこんなことを切り出されても何のことかわからないだろう。そこで、まずは簡単に自己紹介をしたい。   私は1994年の男子W杯で3位入賞したスウェーデン代表に魅力を感じ、この国に興味を持つようになった。20代後半には勤めていた会社を辞めて現地に留学(という名の遊び)したこともある。今は、ネットで現地のサッカー情報をチェ

          2019年スウェーデン女子サッカー観戦記①

          スウェーデン女子トップリーグの給与事情〜半数が仕事とかけもち〜

           スウェーデンの民間労働組合「Unionen」が、同国の女子サッカー1部リーグ「ダムアルスヴェンスカン」でプレーする選手の給与事情についてレポートをまとめている。 『Ojämn spelplan』(不公平なフィールド)と題したレポートによると、ダムアルスヴェンスカンに所属する選手の月給は、約8割が2万クローナ(約22万円)未満。また、約半数がサッカーだけでは生計を立てることができないという。  ストックホルムに拠点を置くユールゴーデンでプレーするファニー・ロングは

          スウェーデン女子トップリーグの給与事情〜半数が仕事とかけもち〜

          女子初代バロンドール受賞者ヘーゲルベルグの代表チームボイコットにみる女子サッカーの今後

           ルカ・モドリッチが受賞したバロンドールに、今年から女子部門が設立された。初代受賞者として選出されたのは、フランスのオリンピック・リヨンでプレーするノルウェー人FWアーダ・ヘーゲルベルグだ。  1995年にモルデで生まれたヘーゲルベルグは、6歳の頃に姉アンドリーネと一緒にサッカーボールを蹴り始める。12歳の時にコルボトゥンILで本格的にサッカーに取り組み、2011年8月に16歳という若さでトップリーグ史上最年少となるハットトリックを達成。同年に11得点を叩き出してリーグ得点

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          女子チームは「トップチーム」ではない?

           スウェーデンのサッカーに目がない私は、同国のサッカー雑誌『offside』を数年前から定期購読している。ロシアW杯後の7月に発売された号では、女子サッカーの特集が19ページにわたって組まれていた。記事のタイトルは「Matchen som aldrig tar slut」(決して終わらない戦い)。女子サッカーの環境について主に書かれている。  記事で強く印象に残っているのが、代表チームの正守護神ヘドヴィグ・リンダールのインタビュー。リンダールは、クラブチームがホームページで

          女子チームは「トップチーム」ではない?