ブルセリド由香/SwedenStyle

北欧スウェーデン在住24年目。20年前に日本初の北欧デザイン情報サイト「スウェーデンス…

ブルセリド由香/SwedenStyle

北欧スウェーデン在住24年目。20年前に日本初の北欧デザイン情報サイト「スウェーデンスタイル・コム」を創設し、その後ずっと現地からデザイン情報を発信中。北欧パターンに特化した事業も手がける。裏千家講師の資格を持ち、現在はスウェーデンにて茶道の普及活動も実践中。

マガジン

  • 北欧デザイン情報

    ストックホルム在住のデザインコンサルタントとして10年以上の経験があります。北欧インテリアやファッションを含めたデザイン情報をお届けします。

  • 北欧のスウェーデンでどんな国?

    スウェーデンってどんな国?と思っている方に、テキストと画像で現地からの生情報をお届けします。

最近の記事

「デザインのある暮らし」は、新しい介護のかたち

数年前の話しですが、介護施設のユニフォームに北欧デザインを採用していただきました。日本のメーカーが考え抜いた機能的なエプロンやシャツ、動きやすいジャケット、そこに北欧デザイナーのパターンデザインを使っていただきました。 感動するほどの素晴らしいユニフォームが仕上がり、介護施設だけでなく、普段の暮らしでも使いやすいだろうなと思っていました。 ところが、介護施設の方々からは、こんな美しいデザインのユニフォームは私たちにはそぐわない、という意見があったと聞きました。ユニフォーム

    • スウェーデンのイースターデコレーション

      伝統スイーツのセムラの日が終わり、春の兆しを感じるころ、イースターグッズが街中を彩りはじめます。スーパーやデパートでは、タマゴ型のチョコレートなどのイースター用のスイーツが店内を彩ります。 イースターグッズといえば、色とりどりの羽やカラフルなチューリップ、タマゴ型のボックスやイースター魔女など、春の訪れを感じさせるものがたくさんあります。 イースターの季節になると、白樺の枝にカラフルな羽をつけたポスクリースが飾られます。これは、クリスマスツリーのようなイースターのシンボル

      • コロナ禍で提案された北欧インテリアの最新トレンド

        スウェーデンでは、2月9日にすべてのコロナ規制が解除されました。 感染拡大は広がったままですが、重症化しないとの判断から、これまでの生活に戻ろうということです。 スウェーデンはこれまでもロックダウンすることなく、人々は自分たちで行動を決めることができました。 それは有り難いことでもあり、自己責任が問われることでもあります。 私の場合は、ロックダウンとまではいきませんが、なるべく人に会わない生活をしていました。 まわりのほとんどの人が感染している中、まだ一度もコロナに

        • 北欧でも進化する「キモノ」の表現

          スウェーデンで近代的な「キモノ展」が開催され、日本が誇る民族衣装である着物の進化が気になっていたところ、HUFFPOSTの「ミス・ユニバース日本代表の“伝統衣装”に批判続出」という記事を見つけました。画像にリンクが貼ってあります。 「せめて左前はやめて欲しかった」 いやほんと、その通りですよね。2021年のミス・ユニバース世界大会での日本代表のファッションがこれです。記事を読んでみると、ミス・ユニバース世界大会の決勝がイスラエルで開かれ、日本イスラエル国交樹立70周年を記

        「デザインのある暮らし」は、新しい介護のかたち

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        記事

          北欧の伝統スイーツ「セムラ」の進化が止まらない

          年明けからイースターまで、スウェーデンのベーカリーにはセムラが登場します。セムラとは、カルダモン入りのバンズの中身をくり抜き、アーモンドペーストとホイップクリームをたっぷり入れたお菓子で、中世のイースター断食前のデザートとして食べられたのが始まりです。 見た目はシュークリームやイタリアのスイーツ「マリトッツォ」に似ていますが、セムラはバンズにはカルダモンが含まれ、甘くない生クリームにアーモンドペーストが特徴なので、味がだいぶ違います。 スウェーデンには「セムラの日」と呼ば

          北欧の伝統スイーツ「セムラ」の進化が止まらない

          日本の「ぼろ」に魅了される北欧のクリエイターたち

          2021年、日本の「ぼろ」展がストックホルムにやってきました。「ぼろ」展では、東京の浅草のアミューズミュージアムで展示されていた、江戸後期から昭和初期に東北地方で農民や漁民が使用していた衣類や布類が展示されています。「ぼろ」と聞くと貧しいイメージがありますが、今ではルイ・ヴィトンやコム デ ギャルソンといった一流ブランドが「日本のぼろ」をテーマにしたコレクションを発表し、世界各地のクリエイターたちにも影響を及ぼしています。環境に配慮される今の時代には、モノを大切に扱う「ぼろ」

          日本の「ぼろ」に魅了される北欧のクリエイターたち

          ストックホルムのクリスマスイルミネーション

          北欧のクリスマスは、アドベント初日からクリスマス準備が始まります。今年のアドベント初日は11月28日ですが、イルミネーションは早くも始まっています。 ストックホルムのあちこちでイルミネーションが灯され、マップも用意されています。午後4時には暗くなってしまうので、早くからイルミネーションを楽しめます。とはいえマイナス気温にもなるほど寒い日もあるので、歩き回る場合は暖かくすること必須です。今年の主なイルミネーションをご紹介しましょう。 「Mistletoe」は、ストックホルム

          ストックホルムのクリスマスイルミネーション

          日本人若手デザイナーを起用したスウェーデン老舗インテリアブランドSvenskt Tennのクリスマスシリーズ

          11月5日、老舗インテリアブランドSvenskt Tennが 早くも今年のクリスマスコレクションを発表しました。 今年のデザインは、若手日本人デザイナー 宇都宮琴音さんの「Story of Flowers」です。 Svenskt Tennは2018年に海外の学生を対象にした プロジェクト「Ten Textile Talents」を行い、 その時に選ばれたテキスタイルデザイン「Story of Flowers」に クリスマスボールとして、新たな命が吹き込まれたもの

          日本人若手デザイナーを起用したスウェーデン老舗インテリアブランドSvenskt Tennのクリスマスシリーズ

          欧米発トレンド「ジャパンディ/JAPANDI」日本と北欧が融合したインテリアが注目

          「ジャパンディ/JAPANDI」という言葉を聞いたことがありますか。 ジャパン x スカンディナビアの造語で、わびさびを代表する時代を超えた日本の美意識と無駄を省いた北欧のミニマリズムを融合したインテリアです。 欧米から発信され、徐々に日本にも浸透してきていて、2021年のトレンド入りしそうな予感です。 JAPANDIのインスタも大人気です。 japandi.interior japandi_design 北欧インテリアは、すでにジャパンディがあちこちで見られます

          欧米発トレンド「ジャパンディ/JAPANDI」日本と北欧が融合したインテリアが注目

          ドラマ「ハルカの光」で、名作照明と出会う

          ただいまNHKのEテレで放映中の「ハルカの光」をご存知でしょうか。 スウェーデン在住の私は、残念ながら見ることができませんが、なんとかストーリーだけは入手しています。 このドラマに登場する名作照明が見ものです。 先週の月曜日に放映された第一回目に登場したのは、フィンランドのアアルトのペンダントライトでした。 このドラマの話しを聞いて、北欧の照明のこだわりについて書いてみたくなりました。 北欧の人たちは目が青い人が多く、黒目の日本人に比べて光に強くないため、日本人と北

          ドラマ「ハルカの光」で、名作照明と出会う

          北欧で流行りの雪の中でのフィーカ

          北欧には「フィーカ」というお茶の時間を表す言葉があります。職場や家族や友人たちとお茶の時間を持つことはとても大切で、ちょっとした休憩タイムとして午前と午後にフィーカの時間を持ちます。 北欧の人たちはフィーカが大好きで、生活の一部になっています。 それなのに、コロナ禍で今までのようなフィーカの集まりができなくなった今、アウトドアフィーカが流行っています。 このところ雪が積もり、気温もマイナス10度にもなるかというのに、人々は喜んでアウトドアフィーカを楽しんでます。 晴れ

          北欧で流行りの雪の中でのフィーカ

          北欧の共生社会は、男女も国籍も障害も、敷居をなくして暮らすこと

          今年のストックホルムはいつになく雪が積もっています。去年はまったく雪が降らなかったのですが、今年は年明けから雪を見ない日はほとんどありません。3月までは寒いストックホルムの冬はまだまだ続きます。 スウェーデンの暮らしで身についたことに、共生社会での暮らし方があります。スウェーデンは民主主義が徹底されていて、誰もが恩恵をうけるべく守られていて、高齢者や子ども、援助を必要とする人々が、できるだけ自立して暮らせるように、様々なサポートシステムが整っています。例えば障害を持つ人は、

          北欧の共生社会は、男女も国籍も障害も、敷居をなくして暮らすこと

          北欧の、頑張らないラゴムな暮らし

          スウェーデンに暮らして、今年で23年目になります。あっという間のようで、それなりにいろいろあったのを思い出します。 この国に暮らして、日本人とはまったく違うモノの考え方や行動に、当初はいちいち驚いていたものでした。それが知らないうちに身についてきているのを感じています。 いちばん身についたのは「頑張らないこと」です。 この国では「頑張ること」は美徳ではありません。大変な思いをして頑張ることは、むしろよくないことなのです。 例えば、お客さまのために一生懸命お料理を作った

          北欧の、頑張らないラゴムな暮らし

          消費の形を根本から変えて ファストファッション業界に挑む 注目のスウェーデンアパレルブランド

          環境に最も悪い影響を与えている業界 毎年1000億以上の衣服を生産し、その約60%が製造されてから1年以内に焼却またはゴミとして捨てられているアパレル業界は、世界の温室効果ガス総排出量の8%を占めていると言われます。トレンド期間を短くして大量の衣服を短期間に売りさばくファストファッションは、生産過程での低賃金労働者と環境の両方にかかる問題に対して責任を負おうとしません。 アパレル業界は今や製造時の環境への影響を低減するだけでは不十分であり、さらに消費に対する態度も問われてい

          消費の形を根本から変えて ファストファッション業界に挑む 注目のスウェーデンアパレルブランド

          2020年、注目の北欧デザイナーの社会問題への挑戦

          北欧デザインというと、洗練された、ほっこりした、シンプルで機能的、などいろいろなキーワードが思い浮かぶと思います。もちろん、そういったデザインが北欧にはたくさんあり、世界中のファンを魅了しています。 一方で、北欧デザインは確実に進化しています。このマガジンでは、北欧ストックホルムより、注目の最新北欧デザインを紹介していきたいと思います。 8月中旬に、ストックホルムで北欧最大級のインテリアフェアFormexが開催されました。通常はストックホルムメッサで開催されますが、今年は

          2020年、注目の北欧デザイナーの社会問題への挑戦

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          ストックホルム、秋の景色

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