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或るランチ 〜 食事場面を描かずに飯テロをする習作掌編

初めての土地でふらりと立ち寄ったのは一軒の町中華だった。

建物は少々古びてはいるが、店先にピシッとかけられた暖簾が白く輝いている。

お昼どきには遅い時間。それでも、掃除の行き届いた店内は近くで働いていると思しき客たちでいっぱいだ。

一つだけ空いていた席の丸椅子に腰を落ち着け、朗らかな女将さんに注文を通す。

やがて厨房から小気味よく鍋を振る音が聞こえてきた。

ココン、ココン、カカカカン、ジャッジャッ。

待っているだけで旨い。

ワクワクが止まらないとはこういうことだ。

さぁ、今日はどんな出会いあるのだろう。

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