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ざっくりとした「ひとりでもできる!!将棋大会(トーナメント)の運営方法」

今日は、放課後こども教室で指導している小学校で、年に1回の将棋大会でした。
その運営方法を紹介します。

環境

この大会の環境は、
・事前申し込み制だが当日参加もOK
・ルール説明から表彰式まで2時間
・例年25人前後が参加
・棋力は5級〜超初心者まで。ほとんどが王手放置で終局。平均棋力:初心者。
・運営スタッフは概ね3人(私以外は将棋を知らないPTAの当番さん)
・将棋のルールを知っていることが参加条件
・トーナメント敗退後は敗者戦あり
です。本稿では敗者戦運営は割愛します。トーナメント戦のみなら、運営は1人で十分。でも不測の事態に備えて他の大人にも待機してもらいましょう。

敗者戦(ポイント制)の運営方法はこちら

事前準備

↑備品一式。こんなものを用意します。
・トーナメント表
・名前書く紙(後述)
・座席表(番号札)(後述)
・筆記具(ペンとセロハンテープは必須)
・盤駒等、将棋用具
・表彰状、賞品、カメラ、紙など
この方式ではくじ引きはしません。時間がかかるから!!!

トーナメントとは

今回のトーナメント表はこちらです。

「トーナメントとは」って書いたけど説明不要ですよね。でも昔、PTA当番さんにトーナメント表が何かがわからない方がいて苦労したことがあります…。
トーナメントで優勝を決めるまでに必要な対局数は、
5人〜8人 3局
9人〜16人 4局
17人〜32人 5局
33人〜64人 6局
です。

今大会では例年25人前後なので、5局として時間を管理しています。
2時間で、ルール説明と5局と表彰式です。えーっと1局何分?
うちは15分で見積もっています。ひょえー。

番号の秘密

この運営方法は、受付が急所です。

1回戦部分の数字をご覧ください。
左から1vs17、9vs25、5vs21…と、対戦する相手が16番差です。
この番号と対応する座席表(番号札)を作り(1回戦しか使わないので裏紙でいいです!)、盤の横に置いていきます。
今大会では駒台を重石代わりにして置いています。

では問題です。
なぜ1vs2、3vs4、5vs6…ではないのでしょうか?
これが即答できる方は、おめでとうございます。あなたは運営脳です。運営側でお待ちしています。

受付方法

では種明かし。
1.教室に来た子に、1番から順番に数字が書かれた細長い紙を渡します。
2.細長い紙に名前を書いてもらいます。(ペンの出番)
3.トーナメント表の同じ番号のところに細長い紙を貼ります。(セロハンテープの出番)
4.その番号の札がある席に座ります。

というわけで、抽選が必要ないのです。
トーナメント表(↓再掲)をじーっと見てください。

1番と2番は決勝まで当たらないし、2番と3番も決勝まで当たりません。1番と3番は準決勝までは当たらないです。
これにより、一緒に会場にやってきた友達、兄弟とは勝ち進まないと当たらないようになっています。
また、対戦相手とは16人も離れているので「あの子は強いから、当たらないように受付するのは待っとこ!」という事態も起きにくいです。
そして今回のように中途半端な人数でもブロックごとの人数に偏りが出ません。
唯一、1回戦の不戦勝が多いのが弱点ですかね。(今回は25人中7人が不戦勝)
なお33人目が来たら1番と対戦し、勝った人が17番と対局します。(34人目以降も同じ)

座席の番号札は大会が始まったら不要なので、適宜廃棄します。

大会が始まったら

大会が始まったら、トーナメントの進行を管理します。
1.スケジュール管理
2.結果報告
3.呼び出し

1.スケジュール管理
今大会では1局15分の予定。でも、熱戦になったり、あまりにも初心者でどの駒を動かしたらいいのかわからず考え込んでしまったりして、15分で終わらないケースが出てきます。
今大会は10枚落ち卒業程度で入賞できるので、それ以下の子が大半です。チェスクロックでの秒読みも現実的ではありません。
そこで、この大会では15分経過時点で「あと1分で判定します!」と言って、本当に審判(つまり私)が勝敗を決めます。
待ってたら本当に終わらないし、敗者戦もあるので許してください。もちろんルール説明のときに言っておきます。

(第1回で早く指して早く指してと急かしたら「僕は早く指したのに相手が考えたから負けた」って泣き出した子がいたのが今でもトラウマ)

正直言って逆転のアヤがある対局も多いですが、審判なので自信を持って判定しましょう。
今大会では判定ですが、ルール説明で宣言しておけばじゃんけんでも構いません。事前に「こういうルールです」と予告しておくのが重要です。

2.結果報告
対局が終わったら結果をトーナメント表に書く必要があります。
勝者のみ、あるいは2人でトーナメント表の前にいる大人に結果を伝えてもらいましょう。
今大会では敗者戦の指示を出す都合上、2人とも結果報告に来てもらっています。

3.次の対局の呼び出し
1回戦全対局が終わってから2回戦を始めると運営は楽ですが、進行は遅れます。
2回戦以降は相手が決まり次第、すぐに始めてもらいます。
このとき、「大人が組み合わせを伝えたつもりでも子供が気づかず、対局を始めていなかった」ら、悲惨です。
従って呼び出し係は、
(1)呼び出した2人が出会って対局に向かったことを確認する。
(2)呼び出し漏れがないように、トーナメント表に呼び出し済マークをつける。
を徹底します。
↓こんな感じ。

チェックマークが入っていますね!

決勝、3位決定戦、表彰状

決勝はやっぱり大舞台。特別な演出をしましょう。
と言っても、今大会では敗者戦が同時進行しているのでひっそりと始まります。
ただ「1番前(目立つ)席で指す」「決勝戦用の駒を用意」を心掛けています。
前者は大人の目が届くところで指してもらって、待ったなどの事態に対応できるようにする意味もあります。決勝戦で揉めたら興醒めですからね。
あと、わざわざ大きな声で「じゃあ決勝戦をはじめまーす!」と言っています。

準決勝以降は判定じゃなくて決着をつけてほしいので、スケジュールも20分程度見ています。
1回戦で判定にためらうことがあっても、決勝が判定になるよりはいいと自分に言い聞かせています。
トーナメントが進むにつれて、勝つ経験をしている子ばかりになるので、対局は早く進む傾向にあります。

今大会では3位決定戦も行い、決勝と3位決定戦が終わった時点で敗者戦も終了します。

3位決定戦もトーナメント表に書いています。

そして、表彰です。
この大会では4位まで表彰状を作っています。
入賞者表彰のあとに敗者戦の成績順で賞品を選ぶのですが、3位までを表彰したあと、4位(表彰状も、敗者戦の対局カードもない!)を呼ぶのを飛ばして敗者戦の子に賞品を渡してしまい、4位の子が残り物になるのを3年連続でやってしまったからです。

準備中に頭の中で完璧にしたつもりでも、いざ始まるとすっ飛ばすことが多いです。
過剰なまでの可視化をお勧めします。

あ、あと表彰式の前に駒を片付けます。
このときにたとえ時間がかかっても数えて片付けてもらうようにすれば、駒の紛失を防げます。
この小学校では15年使っていて流石に若干の紛失はありますが(私がいないときには数えてないっぽい…)、まだ買い足すほどじゃありません。
ちなみにこども将棋教室ポポでは開校以来6年半でまだ1枚も駒がなくなっていないのが自慢です。

最後に、大会前のルール説明の急所

特に初心者向けの大会では、下記のルール、マナーを説明しておくといいでしょう。
(1)優勝者の決定方法
(2)対局が終わったらすること(結果報告)
(3)トイレやお茶を飲むタイミング
(4)長引いた場合の対応(判定、じゃんけん、チェスクロックなど)
(5)千日手、持将棋の対応
(6)「よろしくお願いします」「ありがとうございました」(余裕があれば「負けました」)
(7)王手のときは「王手!」と言いましょう…なんてルールはありません!(だいたいどよめく) 「王手!」と言いたければ言っても構いませんが、「この人、王手って言ってないのに王を取った!」と怒らないように。黙って取ってくるからね!
(8)反則は「やり直し」じゃなくて「負け」です。
(9)「待った」は喧嘩になりやすい反則。本当に悪くなくても相手の人が勘違いして「待ったした!」と言うことがあります。勘違いされないように「指したら手はひざの上」「動かす駒を決めるまでは駒に触らない」を心掛けましょう。
(10)駒台がないときは特に、「取った駒を置く場所」を指示。「持ちっぱなしは隠しているのと一緒!」と言うと効果的です。

これらの説明も台本を作っておくのをお勧めします。だいたい言い忘れがあります。

まとめ と、追記

この大会では約半数が前年も出ている子なので、毎年ルールを同じにしておくと、子供達のルール理解も早いです。
困ったときは手空きの子に手伝ってもらうなど、子供達も運営の一員という感覚で運営しましょう。

敗者戦はまた機会があれば。

※「番号の秘密」の項は私のオリジナルではなく、昔バイトしていた関西将棋会館道場のトーナメントで使われている方法です。初めて見たとき、うまくできている仕組みだと感動しました。

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