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ざっくりとした「ひとりでもできる!!将棋大会(ポイント制)の運営方法」

昨日の某小学校放課後子ども教室の将棋大会の敗者戦の運営方法を紹介します。

トーナメント戦の運営方法はこちら。

ポイント制とは

自分たちで対戦相手を探してもらい、勝ったら3点、負けたら1点を与え、点数が多い子が上位になる方法です。「ラウンドロビン方式」と言うそうですが、子供には通じないので「ポイント」って言っています。
負けが込んでも上位進出の可能性があるのが利点です。

用意するもの

・対局カード (白紙のはがきや名刺カードでもOK)
・勝ち負けを示すシール、スタンプなど。(ペンで○×でも可)
・盤駒など将棋用具
・(あれば)掲示用の紙、テープなど

部屋の配置

こだわる必要はありませんが、「勝ち」を報告する場所と「負け」を報告する場所は離しておくと、公平な運営がしやすいです。(理由は後述)

運営方法(敗者戦としての、主大会敗退後の誘導)

今回はトーナメント戦「名人戦」で敗退した子がポイント制大会「銀河戦」に回りました。「銀河戦」なのは、名前がかっこいいからです。

敗退すると敗者戦の対局カードに名前を書きます。

ただこれだけですが、「話を聞いていない」「忘れた」「本当に理解できていない」などで、できない子がいます。

そのためにやるべきこと。
(1)ルール説明のときには、説明する人が実際に動線を動いてみましょう
今回だと
・対局が終わって盤の前から立ち上がる
→トーナメント表の前で立ち止まり、結果を報告する
→対局カードを置いている場所に移動する
です。

(2)しつこいくらいに声をかけましょう。
「トーナメントの運営方法」のときに「今大会では敗者戦の指示を出す都合上、2人とも結果報告に来てもらっています」と書いたのは、勝敗報告のときに「(負けた)○○さんはあそこに行って、銀河戦の対局カードをもらってね」と声をかけるためです。
運営準備に余裕があれば、黒板等に

トーナメントで かったひと→しずかにまちます
トーナメントで まけたひと→ぎんがせんの たいきょくカードを もらいます

と掲示しておいてもいいでしょう。
やはりポイントは過剰なまでの可視化です。

運営方法(公平な運営を目指して)

今大会では、対戦相手は自由に決めてもらっています。唯一の条件は「同じ人とは対戦しない」です。
人数が少なければ2回、3回と同じ人と指しても構いません。
運営に余裕があれば大人が対戦相手を決めてもいいでしょう。

子供たちにやってもらうことは
・将棋を指す
・勝ったら3点用シール、負けたら1点用シールを貼る

 (裏面を使わないように指示しておくと集計漏れが防げます)
・対局カードを持って、次の相手を見つける
です。
これが徹底できていれば、大人があれこれ指示する必要はありません。大勢で運営する必要はありませんし、1人でもだいぶ楽です。

ただし、大きな問題が生じます。
・弱い子(勝っていない子)を探し回って全勝を狙う子
・わざと負けまくって1点を集めまくる子
が出現することです。

後者は私はまだ遭遇したことはありませんが、ある程度大きな大会で最多敗戦賞に立派な将棋盤を用意したら、「初手の投了を繰り返した子が100敗して持っていった」という事例があったそうですね…。失格でいいと思うんですが。

「遭遇したことはない」とは書きましたが、内心狙っていた子はいたかもしれません。
でも、全敗で優勝って、他の子より3倍指さないといけないから現実的には難しいです。
みんな結構「いま○点集めた!」って言うんですよね。
「負けまくって優勝しよう」と思う子はそれなりに頭の回転がいい子ですから、自分が全敗でほかの子に追いつけるかどうか、すぐに察しがつくはずです。現実的には心配しなくていいでしょう。
初手の投了は、途中で警告して、場合によっては失格にするしかないですね。

問題は「弱い子を探し回って全勝を狙う子」です。
相手の対局カードを見て、負けばかりなら「指そう!」って言う子ですね。
ルール上は問題ないです。道徳的な問題。

これは、大人の工夫である程度防ぐことができます。
それが前述の「『勝ち』を報告する場所と『負け』を報告する場所は離しておく」です。

結果を報告したら、その場で待ってもらうのです。
すると、次にそこに報告しに来た子と指すことができます。
それにより、勝った子同士、負けた子同士で対局を始めることができます。

運営に余裕があれば、大会終盤は全勝同士、全敗同士が当たるように配慮していきましょう。
全敗の子には大人が相手になって、全力で負けて、白星をプレゼントしてもいいと思います。

「あの問題」を考える

最後に、あの問題の解決策です。

それは、おもらし

いいですか、彼らはおもらしをします。
なぜなら、トイレに行っている時間を惜しんで指さないと、点数が増えないからです。
あるいは、トイレに行きたいと言い出す前に他の子に「指そう」と言われて、トイレに行きそびれるからです。

小ならまだ拭けばいいけど、大を漏らされると大事故です!
恥ずかしすぎて不登校になる、なんて最悪のケースも考えられます。

この解決には「トイレに行くチャンスを与える」が有力です。

どういうことか?

まず、「途中で休憩時間を設ける」が考えられますね。「ではいま指している対局が終わったら、全員休憩にします」と言えば、トイレに行く時間もできます。

でも皆さん覚えていますか、この大会はルール説明から表彰式まで2時間なのです。休憩時間が結構もったいないのです。

そこで私がこの大会で取っている方法は「将棋盤を少なめに用意する」です。
今回は25人参加でトーナメントで7人が不戦勝になったとトーナメント運営方法で書きました。
従って、トーナメント1回戦で必要なのは9面です。
25人が全員指すようになると12面必要ですが、多くても10面しか用意しません。
わざと人を余らせるのです。

すると、対局の合間に少し待ち時間ができます。
トイレに行きたい子は、その間に行けばいいのです。(大人が「今のうちにトイレ行けば?」と声をかけると効果的でしょう)

1局15分程度の対局が10局行われているので、回転は早く、長く待っても2分程度です。
熱くなっている頭を冷やす時間としてもちょうどいいです。

注意点がひとつ。
待ち時間が長い子から対局できるように、管理しておきましょう。待機用の椅子を用意してもいいですね。

まとめ

システマティックな運営にすると、子供たちの中で理解が早い子が自主的に進行してくれます。
わかりやすい運営方法を心掛けましょう。

そして、大会が始まってから途中で急にルールを変えるのは混乱と不審の始まりです。
どんな事情があっても、初めに発表したルールで行いましょう。
それでも、どうしても途中で変更しなくてはいけないときがあります。
そんなときは、必殺技があります。
ルール説明のときに「時間が足りなくなったら、大会の途中でもルールを変えることがあります」と言っておくのです!
何もないほうがいいですが、これを言っておくと実際にルール変更があっても子供たちの動揺が少ないです。

これでおしまい。将棋教室・大会運営に関するリクエストがあればお寄せください。

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