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数秘術先輩

 先日、先輩から唐突に誕生日を聞かれた。

 誕生日に何かくれるのかな、と淡い期待をしつつ正直に答えると、なんだか何かを見通したような表情で、「あ~、やっぱりねえ」などとおっしゃる。「やっぱりねえ」とはなんだ。


赤影「なんなんですか。僕が〇月〇日に生まれたことで何かあるんですか?」

先輩「赤影くん、多人数の環境で仕事するより、少数とか、なんなら一人で作業したいタイプやろ。そんで、あと、一つのことにがっつり集中して究めたいタイプやろ」

赤影「えー、そうですけど。誕生日と何か関係あるんですか?」



 僕の性格的傾向を言い当てた先輩は、「数秘術に凝ってるんよ」と言った。

 数秘術というのは、人の誕生日とか、名前の文字数なのか画数なのかよく知らないが、とにかくその人に関係する数を足し算して、その人の性格とか運勢とかを占う術らしい。先輩によれば、僕はその数秘術のなかの全ての分野(?)で、「7」のナンバーを持つ人間なのだという。

 すべてにおいて「7」がそろっていると、その「7」の特性を生かした暮らしができると良いのだが、「7」から逃げられない、一生「7」と向き合わなければならないという側面もあるのだという。で、その「7」の特性というのが、上で先輩が指摘したような性格なのだそうだ。

 自分でも調べてみると、ずいぶんたくさんの数秘術ページがあった。

 上にリンクを貼ったページには、だいたい先輩から言われたことと同じようなことが書かれていた。「7」を持つ人は、「孤高のプロフェッショナル」で、「直感力と思考力が高く」、「クールに見える反面情熱的で」、「寂しがり屋の一人好き」であり、「スペシャリスト、専門職、会計、税務、アクチュアリー、法律、研究者などの専門職、コンピューターの技術職、精神世界のプロフェッショナル、宗教家、医者、大学教授など」が向いているらしい。

 へー、当たってる! の、だろうか?

 確かに思い当たる節がないわけではない。数秘術のページに書かれているようなことで悩んだり困ったりしているのは確かだし、適職の「研究者」なんかはなりたかった職の一つだ。僕はもう少し経済的な方面の余裕と周囲の理解があったら文学博士になりたかったのだ(博士号がなくても研究できないわけではないが)。

 けれども僕は疑り深い。「ほんまか?それ」と思ってしまう自分がいる。

 大学のころ、深層心理学の講義で教えてもらった話に以下のようなものがあった。

 海外で、めちゃくちゃたくさん質問事項のある性格分析アンケートを多くの学生に実施し、その分析結果を学生たちに見せた。実はその分析結果というのは、どの学生の結果も同じ内容が書かれていて、どんな性格の人にも当てはまるように広くカバーして書いてあったものだった。けれどもその分析結果を見た(他の学生の結果は見ていない)学生たちは、みんな「この性格分析は当たっている!自分のことを言い当てられている!」と感じたのだという。

 僕は数秘「7」というのを見せられて、ただそれが当たっているのだと思わされているにすぎないのではないだろうか? という疑いを自分で拭うことができない。もう十年前くらいに受けた大学の講義の内容を覚えているくらい真面目に勉強してきたつもりであるが、なんだかかえって難儀な考え癖がついてしまったのかもしれない。

 ともあれ、数秘術で「7」が出て先輩に言い当てられた(と思っている)性格や、得手不得手、適職は、当たっているのだろうか。

 僕を知る人たち、どうでしょうかね?

 当たっているでしょうか?

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