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『LEAN STARTUP』 VS 『ZERO to ONE』

今回はエリック・リースの『リーン・スタートアップ 無駄のない起業プロセスでイノベーションを生みだす』とピーター・ティールの『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』の2つを読んだので比較しながらまとめていきたいと思います。

リーンスタートアップとは

ひとことで言えば、『新しいビジネスモデルの開発を無駄なく行うためのマネジメント方法』と言えると思います。
リーンと言う言葉は『痩せている、脂身のない』という意味があり、『無駄のない』というニュアンスで使われています。

リーンスタートアップの中身をより具体的に話すと、顧客のニーズを仮説検証し、その学習を繰り返していく手法と言えます。

実際にプロセスを3つに分けると

構築:必要最低限の機能を搭載したプロダクト(MVP)を構築し、未完成であっても市場にリリースする。

計測:MVPに対するフィードバックを計測し、プロダクト構築時の仮説を検証する

学習:検証結果から学習し、方向転換(いわゆるピヴォット)するか、方向性を維持する(本にはpersevereと書かれていました)か決める

ポイントとしては仮説を立てその仮説が正しいか検証できるMVPをつくること。
MVPとはminimum viable product のことで、『最低限の機能を備え、仮説の計測が可能なもの』です。

例えば『Dropbox』は検証のため3分のデモ動画と、事前登録のためのページを作りました。結果的に一晩で75000人の登録やコメントがありニーズがあることを計測することができました。
このようにプロダクトである必要すらない場合もありますが、とにかく仮説が検証できることが大切です。

MVPによって、「半年間予算をかけて作ったけど、実は需要がなかった」というようなムダを大幅に省くことができるようになります。

ちなみにあるデータによるとスタートアップの40%はそもそもニーズがなくて失敗しているそうです。

ゼロ・トゥ・ワンの考え方

一方ゼロ・トゥ・ワンの作者ピーター・ティールはリーンスタートアップ方式に強く反対しています。

ちなみにピーター・ティールは日本でも使われている『PayPal』と米軍や、CIAなどを相手にサイバーセキュリティー事業を行っている『Palantir』の創業者です。ビジネス界では大変有名なのでご存じない方いたらぜひこの機会に調べてみてください!

ピーター・ティールは『競合とは大きく違うどころか、競合がいないので圧倒的に独占できるような全く違うコンセプトを事前に計画し、それに全てを賭ける』というような考え方を推奨しています。まさに『0→1』ですね。

普段私達は新しいことを始めるときなんでも『0→1』といいますが、この場合の『0→1』は「本当に今までにないものを0から作るという意味で使われています。」

細かいプロセスについては書かれていませんでしたが、どんなビジネスにも共通して以下の7つの点について答えを出しておくべきだと主張していました。

エンジニアリング:段階的な改善ではなく、ブレークスルーとなる技術を開発できるだろうか?

タイミング:このビジネスをはじめるのに、今が適切なタイミングか?

独占:大きなシェアがとれるような小さな市場から始めているか?

人材:正しいチーム作りができているか?(多くのスタートアップは人間のトラブルによって破綻してしまう)

販売:プロダクトを作るだけでなく、それを届ける方法があるのか?

永続性:この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?

隠れた真実:他社が気づいていない、独自のチャンスが見つけられているか?

上記のうち、5つに答えられていれば大丈夫だろうと書かれていました。

両者の違い

違いはいろいろあるのですが3点に絞って紹介します。

1.プロダクトファーストか否か

リーンスタートアップではMVPを作り仮説検証すると書かれていました。「製品に対するニーズがなければピヴォットして無駄を無くそう」という考え方です。

一方ピーター・ティールは『セールスやマーケティングは、プロダクトと同じくらい大事だ』と主張しています。

リーンスタートアップのやり方でも「そもそも認知のとり方がおかしかった」など、プロダクト以外に目が行くこともあると思うのですが、かなりプロダクトファーストな考え方だと思いました。プロダクトが当たる可能性もあったのにマーケティングの部分ができないためピヴォットされてしまうとしたら非常にもったいないですよね。
一方、プロダクトに需要がないか、プロダクトを必要としてる人に届けられないならどのみち時間をかけても無駄だろうという考え方もできると思います。

2.計画をどの程度立てるか

リーンスタートアップでは、『市場は不確実で不透明だからこそ、緻密な計画を立てて実行するよりも試行錯誤を繰り返しながら、方向転換しながら柔軟に取り組むべきだ』『大きなビジョンに向かって一気に突き進むよりも、着実に小さなステップをコツコツ刻みながら段階的に進めるべきだ』と主張していました。

一方ピーター・ティールは『計画はあった方がいいし、二転三転するプランは失敗確率が高い』『小さな実現よりも、より大きなビジョンに賭けるべき』と主張しています。

リーンスタートアップでは無駄をなくせることがメリットなので、計画は立てますが、従来型よりはたてません。しかしこれは作りたいサービスの種類や、実行者の得意不得意によってどちらがいいかは分かれるかと思うのでどちらが良くてどちらが悪いというわけではないと思います。
ただリーンスタートアップは仮説をかなりしっかり考えて実行するので全く無計画であると批判するのは、ずれています。

3.どの市場を狙うか

リーンスタートアップでは市場に関しては特に言及されていなかった気がしますが、ピーター・ティールは『競争のある市場ではなく、競争の無い市場を作り、独占するべきだ』との主張をしています。
ピーター・ティールは元から独占を狙うべきだと主張しているのに対し、リーンスタートアップでは特にそのような言及はないので狙うところがそもそも違う気がします。ややプロダクト・アウトに近い考え方なのかとも思いましたが、特にそう書かれていたわけではありません。

結論

目的が少し違っている部分もある。また対立しているように見えるが、組み合わせることもできる。

という結論がいいのかなと思います。ありきたりかもしれませんが。

例えば、ゼロ・トゥ・ワンのように独占を狙うにしてもリーンスタートアップにおけるMVPのように、ある程度簡単なプロダクトを作りそこからニーズをより吸い上げていくのは効果的だと思います。

どちらの考え方も理にかなっているので、どちらか一方を叩く必要はないと思います。
また内容には関係ないですが、対立するような内容を同時に学ぶと相乗効果で理解が深まるのでこれに限らずこういう勉強はおすすめします!(この場合は必ずしも対立しているわけではないと私は考えましたが)
ぜひどちらも読んでみてください!

『リーン・スタートアップ 無駄のない起業プロセスでイノベーションを生みだす』

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』

最後に、、、
今回リーンスタートアップについて学ぼうと思ったきっかけをくれたのが、株式会社 Potentialist Global 様の Startup Night でした。

今まで知らなかったけど面白いサービスを作っているスタートアップやアクセラレータの話が聞けたり、スピーカー含め参加者とも仲良くなれたりとこれからに活かせる会でした!
8月5日にも株式会社Potentialist Global様の企画ございますので良かったらご参加ください!

それでは。

画像出典:株式会社Potentialist Global



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