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釈正輪回顧録 1. 導かれて3

標高1224メートルのその山は岐阜県の中濃地区で一番高い山だ。
瓢ヶ岳(ふくべがたけ)、今淵ヶ岳(いまぶちがたけ)と共に高賀三山と呼ばれ、大きな山塊をなしている。

山腹には高賀神社があった。

神社の近くに円空記念館があって、この場所が円空ゆかりの地であることが分かった。
円空とは江戸時代の前期に活躍した天台宗の僧侶で、「円空仏」とよばれる多くの木彫りの仏像を作った仏師として知られていた。
美濃国(現在の岐阜)に生まれ、白山信仰の修験者(しゅげんじゃ)となった。

修験者というのは一つの寺に定着せず、あちこちの霊山を巡り修行するものをいう。
円空は日本各地を巡り仏像を残した。
その数は十二万体におよぶという。
その彼が晩年を過ごしたのが、高賀だった。

私は記念館に納められた三十体あまりの仏像を眺めて大きな感銘を受けた。
円空は優婆塞(うばそく)の修験者から、後に禅・真言密教を経て、天台宗寺門派の僧侶になっていくのだが、私も同じ経験をしていることを思うと強い因縁を感じずにはいられなかった。
優婆塞とは在家の仏教信者のことだ。

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