令和4年改正、社会保険の適用拡大のメリット・デメリット

社会保険の適用拡大の背景は

2022年の法改正の正式な呼び名は、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」というものです。つまり、国民年金法や厚生年金保険法など、年金にまつわるさまざまな法律が関係しているのです。

少子高齢化により、現役世代となる労働人口の減少が問題視される一方で、高齢者や女性などがさまざまな雇用形態で働く機会が増加しました。

このような状況に対応するため、より多くの者を社会保険制度の対象とすることで、労働者の社会保障をより手厚いものとし、年金制度の内容を充実させていく運びとなり、今回の法改正が実現しました。

適用拡大の内容や、適用対象となる従業員数は

2016年の法改正により、従業員数501人以上の企業にはすでに社会保険の適用拡大が開始されています。今回の法改正により、同様の適用拡大の範囲が、2022年10月以降は従業員数101人以上の企業に、2024年10月以降には従業員数51人以上の企業に、それぞれ適用されることになりました。

なお、従業員数50人以下の規模の小さい企業は対象外であり、適用拡大の対象となる従業員の社会保険への加入は任意となる点に注意しましょう。

「社会保険の適用拡大」の対象になる?チェック

まずは「2022年・2024年の社会保険の適用拡大によって、自分は社会保険に入らなくちゃいけないの??」というところが気になりますよね。

以下の4つすべてにあてはまる場合、社会保険の適用拡大対象になる可能性があります。

1.週の所定労働時間が20時間以上あること

2.雇用期間が2か月以上見込まれること

3.賃金月額が8.8万円以上(年収106万円以上)であること

4.学生でないこと

※正規従業員、フルタイム従業員は多くの企業で加入対象です。アルバイト・パートでも、正規社員の4分の3以上週の所定労働時間や月の所定労働日数を働いている場合も加入対象となります。

社会保険の適用拡大のメリットは

1.国保加入→社保加入に変わることで受けられる保障が増える

社会保険加入範囲が拡大することで出費が増える!と不安に思う人も多いのではないでしょうか。

保険料支払いが必要になる大きな出費があるぶん、以下のメリットもあります。


①厚生年金による補償(報酬に比例した年金の上乗せ給付)

全国民が共通して受け取ることができる基礎年金に加えて、社会保険に加入すると厚生年金がもらえるようになります。


②健康保険による補償(病気や出産時の傷病手当金や出産手当金の支給)が受けられることになります。

病気やけが、出産などにより仕事を休まなければならない場合、収入が途絶えてしまいがちです。社会保険に加入することで傷病手当金や出産手当金として賃金の3分の2程度の給付が受けられます。

また、日常生活を送ることが困難な障害がある状態になった場合には「障害厚生年金」が、万が一死亡した場合には遺族に「遺族年金」が支給されます。

どちらも国民健康保険でも受けられますが、より手厚く保障してもらえます。

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