辺獄の伴奏、あるいは辺境の進化

(※カニバリズム表現・人体損壊表現)



 カニバリズムの限りを尽くし、白ワインとストロングゼロをちゃんぽんで飲んだ鞠端は、当たり前のように昏倒した。肉とアルコールの親和性については言うまでもない。人肉だろうか牛肉だろうが、酒で流し込んでしまえば素晴らしい。自棄食いを敢行した彼は、そのまま床に倒れ込んだ。
 そんな同居人の惨状を目の当たりにした瀬越俊月は、一瞬だけ同居の解消を考えた。人肉を食い散らかしながら床で寝る人間は、恐らく同居人としては最低レベルである。百歩譲って人肉を食べ散らかすのはいい。けれど、床で寝るのは彼の美意識に反するのだ。

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