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[前編]なんで東海大学の中央図書館は休館したの?【公開資料から見る】


中央図書館って何?

中央図書館?知らない子ですね

 今回、”中央図書館”とは東海大学付属図書館中央図書館を指しますが、そもそも大学図書館って何?公共図書館と何が違うの?という疑問がわきます。
 大学図書館とは、かいつまむと「研究と教育を支援する機能を有した図書館」であり、その中でも中央図書館は、分館と比べて、多くの座席を有し、幅広い文献を揃えています。また、オンライン授業用の部屋や教え合うためのスペース、その逆に音を出してはいけない集中できるスペースを有すなど、学習・研究を行える”場所”としての性格が強いと私は考えます。

早稲田大学中央図書館 PCや電子機器が触れる他、会話ができるスペースが確保されている
(早稲田HPより引用)

東海大の中央図書館ってすげえや!!!

 それでは、東海大学の中央図書館はどうだったのか。見ていきましょう!

中央図書館らしいけど見たことないからわからない写真
(東海大学中央図書館公式Facebookより引用)

 当時の中央図書館は現在の4号館2階に設置されていました。
 カタログスペックでは、中央図書館は、蔵書総数約56万冊・雑誌約5200シリーズ・視聴覚9400点を有する大きな図書館でした。これは、当時の東海大学図書館の4分の1の所蔵数であり、座席数も931席もありました。利用者は21万人と湘南校舎の総利用者数の4割を占めていました。

 特に座席数は特筆して多く、東海大学付属図書館でも最大の座席数であり、現在の11号館図書館の座席数の約4.5倍です。前述したとおりの、学習・研究をする”場所”としての役割を十分有していたと考えられます。

2015年度統計(東海大学付属図書館HP2017年3月16日より引用 WARP利用)

 実際に、中央図書館のマップを見てみると、4号館2階の全体が中央図書館として構成されており、非常に広かったことがわかります。4号館なんてめったに入らないから大きさ分かりづらいのは内緒

中央図書館マップ。建物の大きさは現在の4号館とほぼ同じと考えられる。
(2019年避難経路図より引用)

 これらのことから、当時の中央図書館が如何に大規模であり、東海大学の中央図書館としてふさわしい機能を持っていたかがわかると思います。中央図書館は東海大学付属図書館において有数の図書館であり、本館機能を有しつつ、学習・研究を行える憩いの場所としてこれからも末永く学生や研究者を支援していくのであった…。……..fin

中央図書館の惨状

でもそうはならなかった…。そうはならなかったんだよ。

 ここで勘のいいガキ皆さんは気づいたでしょう。
「2015年のデータって古くない?」
 じゃあここで2022年の統計を出してみましょう。
ドン!!

2022年度統計(東海大学付属図書館HPより引用)

中央図書館だけで蔵書数10万冊減!雑誌260シリーズ減!視聴覚2300点減!湘南キャンパス全体での座席数1400席減!!

 そもそも、現在中央図書館は2020年1月6日から休館しており、湘南キャンパスの半数を占めていた座席が蒸発しています。

どうしてこうなってしまったのか…順番に見ていきましょう!

4号館「…コロ..シテ…」

 そもそも中央図書館(4号館)は1967年竣工の古い建物高度経済成長期の遺物であり、東海大学自身も、老朽化に加え建物の基本設計や構造自体が運用・利用に合わない、と分析しています。
 確かに、4号館は1963年竣工でありこれまで耐震工事を行った記録もないため、旧耐震基準であった可能性があります。これは、地震の多い日本において非常に危険であり、実際に2016年熊本地震において東海大学旧阿蘇キャンパス1号館の耐震補強がなされていない箇所は、耐震補強がなされた個所と比べて、損傷が激しいことがわかります。

耐震増強がなされていない画像左側と耐震増強がなされている画像右側
明らかに損傷具合が異なる旧阿蘇キャンパス1号館
(熊本県公式観光サイトくまもっとより引用)

 「老朽化のため建て替えというのは大学当局が建物学生自治取り壊す弾圧するための方便だ!」という主張をしているやばい団体が散見されますが、中央図書館老朽化については、取り壊す直前になって老朽化について言及し始めたのではなく、2014年度に初めて言及されており、これだけでなく新館の建設の必要性について言及しています。

また、湘南校舎では、中央図書館施設の老朽化に伴う新館の建設等、施設面の更新が必要である。

2014年度教育研究年報より

 加えて、2016年度教育研究年報では新館構想案を2016年度に策定するとしており、新館建設への意欲が見られます。

付属図書館では、中央図書館施設の老朽化と現状の運用・利用に応えられな
くなってきているため、新館構想案を2016 年度内に策定する。

2016年度教育研究年報より

 上記の他に、2017年度・2019年度教育研究年報にも中央図書館の老朽化について問題視している記述がみられます。
 よって、中央図書館があった4号館は老朽化が激しく、早急に耐震化工事をする必要があったと考えられます。

うそ…私の設備…古すぎ??

 そもそも耐震云々を差し引いても古い建物還暦なため最新の図書館と比べて設備的に遅れています。実際に、最近の図書館にありがちなサイレントルームや集密書架や各机のコンセントなどはなかったと考えられます。

2022年9月に開館した神奈川県立図書館本館
サイレントルーム(静寂読書室)や集密書架(公開書庫)がある
(神奈川県立図書館HPフロアマップより引用)

 まあよく考えたら1967年竣工であり、中央図書館の設備が遅れているのは当然で、いつか一度大きい改装をする必要があったのは間違えなかったと考えられます。

中央図書館が休館になった理由

 これらのことから、4号館は設計自体が古く早急に耐震化工事をする必要があったこと、中央図書館が近代図書館として能力を持ち合わせてなかったため一度大きな改装をする必要があったことが理由で中央図書館は休館したと考えられます。

 しかし、具体的な新図書館建設計画が出ることなく時が過ぎていきました。

が、その時は突然やってきました。-to be continued-

(東海大学Facebookより引用)

次回予告

さようなら、すべての中央図書館

次回:[後編]悲劇喜劇の中央図書館移転作業とその後
~東海大学くん報連相って知ってる?????~


ご意見・ご質問・ご指摘等々お待ちしておりますので、よければX(旧 twitter)かコメント欄でどうぞ!!



参考資料

「東海大学教育研究年報」

東海大学付属図書館HP「付属図書館について」

『2019年避難経路図』

https://www.u-tokai.ac.jp/uploads/2021/06/shonan.pdf

東海大学付属図書館Facebook

神奈川県立図書館HP

熊本県公式観光サイトくまもっと。「震災遺構「旧東海大学阿蘇キャンパス」を訪ねる」


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