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シドニー、 歴史的交通機関展(Heritage Transport Expo)

10月のはじめ、シドニーでは Transport Heritage Expo なる催しがあった。

これは毎年やっているのだろうか?これまでは余り気にしてなかったし、今年の期間中も仕事だったので、まあ行けないかな、と思っていたが、友達がSNSに載せた写真などを見ると、楽しそう!

僕は去年、鉄道を使って日本全都道府県(沖縄はさすがに飛行機で行ったけど)を周ったことでも分かる通り、「テツ分高め」のヒトなので、最終日に行ってきた。
僕の仕事が午後3時まで、展示や催し物はその日の5時に終わるから、そんなにじっくり見る時間はなさそうだけど、これを逃すのは本当にもったいない…ということで、メイン会場のセントラル駅へ。

このセントラル駅自体も、時計塔をいだくクラシックな造りの建物で、その頭端式プラットフォームに、数々の歴史的な機関車や客車が展示されているのは、やはり壮観だ。

いきなりこれっすよ、テンション上がるわ。

そして、その雰囲気をさらに盛り上げるのが、音と匂いだ。

ディーゼル機関車や、蒸気機関車から湧き起こるエンジンの音、そして立ち上る煙の匂い。現代のモダンな電車はおしなべて静かさなので、それと比較すると荒々しいというか、力強さを感じてしまう。いかにも「仕事してまっせ!」というか。

これって要は排気ガスなので、有害といえばそうなんだけど、まあ気にしない。

ちょうど、蒸気機関車に引かれた列車が出発するところだったのだが、この機関車、なんかすごくものものしいね。

ちょっと調べてみたら、ガーラット式機関車という、車体が三分割されているタイプらしい。

これが走る時は、蒸気がもうもうと立ち込め、それが線路を挟んだこちらまでもうもうと漂ってきてえらい迫力だった。

ただの展示だけではなく、実際に蒸気機関車や昔の電車に乗って少し遠くまで行ったり、客車の中で食事をしたり、といったイベントもあったのだが、それらはもう既に売り切れ御礼になっていたので(当たり前だよなあ)、僕は展示車両を見るだけだったが、これが無料!っていうのが太っ腹だ。

古い客車も展示されていて、そのいくつかは中に入って観察できるようになっていた。

この客車は、天井の装飾、明かり取りの窓、木製の座席や壁、網棚(こういう形で窓と直角に網棚が設置されているの、初めて見たような)…うっとりしてしまうような丁寧な作りだった。

まあもちろん、現代の客車のほうが体にフィットした座席の形状になってたりするので、どちらが快適なのかは言うまでもないが、こういう温かみのあるデザイン、いいなあ。

こちらの蒸気機関車も、煙を元気よく吹き上げていて、その音や匂いが雰囲気を盛り上げていた。

このステンレスの客車の中では、実際に食事を食べれたりアフタヌーンティーを楽しめたりしたようだが、事前予約制でもちろん完売だった。次回こそは…。

さて、この緑色が美しい(きかんしゃトーマスに出てくるヘンリー色だな、これは)機関車は、3801号といい、わりあいと有名人(?)のようだ。

ちょっと調べてみると、1943年に製造され、最高速度は時速120キロという記録を叩き出したという、なかなか凄い機関車だそう。

つい近年改修を終えたとのことで、塗装もピカピカ。この流線型のボディ、カッコいいねえ…!めっちゃ絵になる。

アナログの極北をいくようなメカで、とにかくカッコいい。こういう重厚な味というのは、モダンな現代の車両には出せない。

さて、これでテツ分をかなり補給できたので、いったん駅の外に出て、今度は歴史的なバスに乗ってみることにした。

ダブルデッカーを中心に、シティを循環運転をするバスが無料で(ってところが凄いよね)運転されているので、乗ってみることにした。

やってきたのは、赤い色に塗られた二階建てバスで、「ロンドンバス」の
イメージそっくり!シドニーでも、こんな色のバスが走っていたのかな…。

車内はこのような感じで、もちろん冷房なんてのはないのでやや暑かったけど、開け放たれた窓から入ってくる風が爽やかだった。モケモケした布張りのシートといい、なにやら懐かしさを感じさせるショートトリップだった。

さっきも書いたように、この乗車会も無料だったのだが、乗客の一人が、「寄付したいんだけど、どこにしたらいいのかしら?」と聞いていた。実際の料金箱を改造した募金ボックスがあったのだが、かなり多くの人がそこに寄付金を入れていた。そう、無料だからとそれでおしまいにせず、じゃあ寄付しようよ、という人が多いのがいいよね。

というわけで、仕事帰りにささっと寄っただけだったが、展示車両を見るだけでもかなり楽しめた。

来年も開催されるようなので、その時は実際に列車に乗ったりしてもっと楽しんでみたいものだ。