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日本全都道府県に行ってきた(門司港でレトロ建築三昧)

2022年9月から12月にかけて、日本を旅していました。最初の目標は、「日本最北端の駅である稚内駅と、最南端の駅である西大山駅の両方に行こう!」というものでしたが、途中から、「アレ?もしかしたら全都道府県を通れるかも…」という野望(?)が頭をもたげて来て…はてさて、それは達成できたのか?

これまでの流れはこのマガジンからどうぞ。

11月30日

長崎での滞在はこれまで。今日は九州の入り口、門司港に宿を取っている。

長崎新幹線ーリレー号ー博多ー小倉ー門司港という最短ルートで行っても良かったのだが、ここで、JR最西端の駅、佐世保も行ってみるか!というアイディアが浮かんだ。

時刻表を見ると、長崎から快速「シーサイドライナー」なるものが出ていて、2時間ほどかかるものの寄り道可能な距離だ。

ただ、駅のカフェで朝ごはんを食べていたらこの快速を乗り過ごしてしまったので、その少し後に出る長崎新幹線に乗って、諫早駅へ先回りする。ジャパンレールパスがあるからタダだしね。

「かもめ14号」に乗ると、諫早はすぐ次の駅で、所要時間はたったの10分。座席に座って荷物を下ろす必要もないほどのあっという間の乗車。

人気のない諫早駅で、「シーサイドライナー」を待つ。朝の通勤通学時間を過ぎていたので、乗客はほとんど地元のおばさんだった。

列車は、大村湾に沿ってゆるゆると北上していく。昨日に引き続き曇り空だが、車窓に流れる空と海の景色を眺めていると、遠いところを旅しているんだなあ、という気になる。

しばらくすると、こんな場所に似つかわしくない巨大な西欧風の建物が海の向こうに現れてきた。ああ、これがハウステンボスか。

僕はテーマパークには余り興味がないので行ったこともなかったが、こんな場所にあるんだ。

建物が増えてきたところで、列車は終点佐世保駅に到着。

佐世保は、長崎のミニバージョンといった趣きの街で、港の後ろにはすぐ山が迫っている。住むのは大変だろうが、いい景色。

次の列車までしばらく時間に余裕を持たせていたので、ご当地グルメ「佐世保バーガー」を食べるべく街に出る。

駅のお向かいにある港には大きなショッピングセンターがあったのだが、そこだと雰囲気が無機質でちょっとなあ…と思って駅から少し離れた昔ながらの商店街まで行ってみた。

ここならたくさん選択肢があるだろう!と思いきや、まだお昼少し前だったのか、それとも地方都市特有の残念なシャッター商店街なのかは分からないが、開いているお店があまりない!

時間もそれほどないし、諦めようかな…と思っていた所、開いているスポーツバーを発見したので、やれやれ、とオーダー。

どうやら開店早々に来てしまったようで、客は僕だけ。なんかちょっと締まらない雰囲気だったけど、フレッシュなハンバーガーと、昼ビールの取り合わせは最高だった。

(ここで小さな声でコメントするけど、ハンバーガーはやっぱりオーストラリアのほうが美味しいなあ、というのが今回の日本旅行で得た結論だった)

急いで佐世保駅に戻り、日本最西端、と書かれたサインボードを写真に収める。厳密に言うと、ここから第三セクターの松浦鉄道という路線が伸びていて、そこの「たびら平戸口」駅が普通鉄道の最西端、モノレールも含めると、沖縄モノレール(ゆいレール)の「那覇空港」駅が最西端駅ということだ。

これで寄り道の目的を達成したので、博多まで特急「みどり30号」に乗る。

増併結をするためか、車端部の一方は通勤列車のようなシンプルな外観で少し拍子抜けしたが、反対側はこのようにシャープなデザイン。

列車は有田、佐賀、鳥栖といった駅を通り、博多に到着。このあたりで途中下車してぶらぶら出来たら良かったんだけど…。

…はて、博多から小倉まではどうやって移動したのだろう?記憶が薄れてきているし、旅行もこのあたりになると、だんだん面倒くさくなってきて写真を撮る頻度も減ってきてる。時間の経過から考えると、博多から小倉までは新幹線を使ったのだろう。

小倉からは普通電車に乗り、しばらくすると山陽本線から枝分かれして海沿いの線路をゆっくりと進み、引込線の数がどんどん増えてきたところで、どん詰りの駅が門司港。

駅の看板の書体も、昔の国鉄っぽくなっている。

車止めが並ぶ頭端式ホームには、ゼロマイルの記念碑と、腕木式信号機が並んでいる。

そして、クラシカルな駅舎をくぐって外に出て振り返ると!

じゃーん!

歴史映画のセットにでも出てきそうな風格のある駅舎。西欧風の建物だけどてっぺんの屋根がお寺やお城の屋根みたいになっている所が、和洋折衷でおもしろい。

背後には山が控えていて、絵になるなあ…。

僕が門司港に行きたかったのは、このような歴史的建造物が多く残されているからで、駅周辺には他にも赤レンガ造りの建物などが多くあり、雰囲気がもうたまらない。

昔は本州と九州をつなぐ玄関だったのでこのような豪華な建物が多く建てられたのだが、その後関門トンネルが開通したため、門司港は寂れてしまった。

皮肉にも、寂れたおかげでこのような建物が取り壊されることなく現在まで
生き残ったのだろう。

宿に荷物を下ろし、日が落ちた後にまたこのエリアを歩き回る。歴史的建造物がライトアップされた中を歩くと、ちょっと日本じゃないみたいだ。

ただ、ここでちょっとネガティブなことを言わせてもらうと、ちょっと「キレイにつくられすぎている」なあ…と思ったのは事実である。

このウォーターフロントの辺りは、このような建物やオシャレなホテルがあるんだけど、なにか少しのっぺりとしているというか。

その反面、昔は栄えていただろうアーケード商店街は静まり返っていて、そのギャップに少し不安を感じてしまった。観光地と地元の生活が今ひとつ融合していないというか。

…というわけで、その商店街に迷い込んでしまった僕はまたしても晩メシを食べる場所を見つけるのに難儀してしまったが、辛うじて開いていた居酒屋は、きっぷの良いおかみさんが対応してくれてとてもいい感じだった。

下関や門司は、ふぐが有名だけど一人でふぐ刺し、ふぐ鍋でもないしなあ…とメニューを見ていたら、ふぐの唐揚げがあったのでこれを頼んだ。

どうやらあまり良い部位ではないところを骨も食べられるように揚げてあるようで、白身のさっぱりした魚肉とバリバリとした骨が美味しかった。

ほろ酔い加減で宿に帰るべく門司港駅をまた通ると、駅舎の真上に三日月が雲の中から顔を出していた。

ロマンチックだねえ…

(つづく)