~就活のために生きた男~

彼は人生を就活のために捧げていたと言っても過言ではない。
よく、就活は目的ではなく手段だ。なんていうけれど、結局のところ目的として尽力しなければ大抵は失敗するのだ。

彼のように、人生の全てを就活に捧げればなおさら失敗などありえないに決まっている。

僕は、彼の生涯を通した唯一の友人であり、幼馴染だと言えるであろう。
なんせ、彼は時間の全てを就活に使っていたのだ。僕以外に友人を作る気など毛頭なかっただろう。

とにかく、彼について語ることができるのは僕しかいないだろうし。彼の人生は非常に素晴らしいと言えるものだったので僕の友人である君に話しておこうと思う。


彼と初めてあったのは3歳の頃だったらしい。この国で一番有名な私立保育園に僕たちは通っていた。
記憶している最初の思い出は、小学校の2年生の頃かな。
親の影響で大抵の子供達は官僚になるだとか、社長になるだとか言ってる中で、彼だけは常に「就活で成功する」なんてことをBotのように繰り返していたね。
当時、就活なんて単語の意味を知ってる子供は彼しかいなかったんじゃないかな。

ご存知の通り。その後も僕たちは仲良く私立中学へと進学して、有名な企業の社長の講演なんかを授業できく日々を過ごしていた訳だ。

そして高校2年の頃かな。大抵の奴らはそのままエスカレーター式に私立の名門大学にいくわけなんだが、彼はこの国1の名門国立にいくなんて言い出してね、ディベート部の部長と副部長だった僕と彼の仲だからさ。僕も一緒に勉強したんだ。
もちろん。2人とも受かったよ。僕たちはどうやったら受かるか研究しつくしていたからね。

そして暇なときは僕は小説やら哲学なんかっていう彼からしたら無意味なものに興じていたよ。彼は何やら「企業研究」なんてものに夢中でね。
この世で一番詳しいんじゃないかってくらい色々なことを知っていたよ。


大学3年になって就活が始まったわけだが、彼はスーツが似合うような体の鍛え方をしていたから、それはTHEエリートって感じがしていたね。
僕は働くことに興味が持てなかったから哲学科の院に進むことにしていてね。唯一の友人でもあったから彼の練習に付き合っていたよ。

と言ってもこれが満点の就活での振る舞いかって僕が学ぶことができるくらいに彼は完璧だったけどね。
そして大学卒業を迎えるわけだが、彼は世界の人みんなが羨ましがるような大企業全てに受かっていてね。その中で一番有名な企業にいくことに決めていたよ。

でも彼はずっと前から就活に成功することしか頭になかったような人だ。人生をまっとうしたと思ったんだろうね。入社前日に死んでしまったよ。


僕はそれからというもの、自分が社長になってから、人生の目標は何かを聞くことにしているんだ。いかに優秀でも入社するまでが人生という青年では困るじゃないか。


社長としての友人である君に言える話はここまでだ。

同時に哲学者である僕にとって「人生とは」「生と死とは」何かということを話して欲しいのであれば別の機会に話すとしよう。


~就活を目標にしている人たちに対する偏見

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カズキ

三重県辺りの高専生。1年休学してフラー(fuller-inc.com)で働いてました。今は高専の5年生です。 来年から九州の経済工学に編入します。

偏見に満ちた短編集

僕が、興味の沸いたことから思いついたことを小説として書いたりしてます。 きっと偏見に満ちてるものになります。 人を傷つける偏見は極力しません。 だんだんと差別が小さくなるようなそんな小説を目指して書いてます。
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