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~面倒なことになったものだ~

#小説 #短めの小説  


「なぜこういうことになったのか…」

K氏は非常に悩んだ。

事の発端は後輩のJと旅に出た事にさかのぼる。

彼とは腐れ縁というか。お互いにそこまで仲がいいとは思ってないんだが、非常に良く一緒に出かけることになる。

今回はそれがたまたま治安の良くない国への海外旅行になっただけなのだが、彼のいつもの癖に今回ばかりは注意しなければいけない。

この癖というのが非常に面倒なもので。彼はいつも面倒ごとに巻き込まれて帰ってくるのだ。

「おい、J。頼むから面倒なことは持ち込むなよ。」

「Kさん。頼まれたのはわかった。しかし、面倒なことってどんなことを言うんだ?」

「なるほど確かに。面倒なことというのは非常にあいまいで人によって変わってしまうものだな。うん。しかし何が面倒なことか全て言うのは面倒だ。君が何かするとき、必ず俺にそれをテキストで送るんだ。そうしよう。それが面倒なことかどうか俺が判断する。」

「なるほど。それは明確でいいが、俺が面倒だよ。」

こんな会話をした2人は、お互いが面倒にならないよう旅の間の5日間は別々に行動し、宿も別にすることにした。

それならば、一緒に旅をするなという話だが、これが腐れ縁というもの。いつの間にやら旅をしたり、食事をしたりしているのだからしょうがない。

といえどもこの5日間はまったく会うことなく事を終えた。

Jと会う約束をした場所で待っていると、Jと50人ほどの輩がこっちに歩いてくるではないか。

「おい、J。これはどういうことだ。」

「すいません。Kさん。面倒なことってのはどこまで面倒かわからないもんで。そこらへんにいる人に面倒なことってのを聞いてだ。俺は面倒でないもんだから全部代わりにやってたら、この通り。みんながお礼をしたいって俺についてくるんだ。こんな面倒なことは他にあるまい。」


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