~とある喫茶店の日常~

#小説 #短編小説 #のようなもの


これといって特別ではない喫茶店がこの街にはある。

まぁ特別なことといえば常に行列が絶えないくらいなもので。

俺はそれに巻き込まれたくないが、この店のコーヒーがまぁ格別なんだ。

行列に巻き込まれ無いように朝イチか、すいている14時なんかによく行って、間違えて行列ができてる時に行こうものなら家に帰って、いつも聞いてるその店のレシピを再現してコーヒーを自分で淹れたりしたもんだ。(店員とはよく話してたから大体のレシピは細部まで記憶してるんだ)

そうやって幾ばくか過ごしていたら、どうしてもレシピだけじゃ再現できない味があったんだ。

それを「悩んでいる」といつもの店員に話していたら、「夜に来い」ってんで、閉店後に店に行ったんだ。

そこには、俺と良く話してる店員の他に、強面のバリスタW氏。いつもラテアートが芸術級のJ氏なんかがいた。

その3人が、特別にここで自分用に飲みたい味を再現していいって言うんで、夜通しそこでいつも悩んでたいくつかのレシピを作った。

そしたらどうだろう。店と同じ味が再現できたんだ。

W氏曰く、「それは機械による差異」とのことで、納得のいった俺は帰ろうとした。

そしたらW氏とJ氏は、「行列なんか気にせずに飲める場所がある。」って言って、とってもいい席を用意してくれたんだ。

それはまぁ。皆さんの予想通り、俺がバリスタになって働くことな訳だ。

その店はそれから営業時間を深夜にも設けている。

ずっとマシーンを動かすわけにもいかないので、向かいの店を買い取ってだ。

そこは「深夜に向かいと同じ美味しいコーヒーが飲める。」ってことで。特別な喫茶店として繁盛してるわけだ。

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