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思い出のマイ・ファースト横笛

事情により、部屋の片付けをしていたら、
しまい込んでいた、私のファースト横笛が出てきました。
横笛に最初のご縁を繋げてくれた、思い出の、手作り能管です。(フルートは別)

かつて、もう数十年も前、なんとかして横笛をやりたくてたまらなかったけれど、どうしても縁ができず、
たまたま見つけた、市井の横笛の同好会に参加したことがあったのですが、

そこは、基本的に自分で篠笛をつくり、それを吹いて楽しむのが主体で、
慣れた人は一週間でつくれる、吹きたければまずつくれと言われ、手作りキットを渡されました。

そりゃ、自分で作った笛で演奏を楽しめたら至福だろうけれど、初めて和笛に触れる初心者です。
私のような不器用者では、ちゃんと音の出る、正確な音階を奏でられる笛を、指導者もなく作れるかわからないし、
いつまでかかるか、一年でできれば御の字、
でも最初から市販の笛持参ではダメで、作るまで吹くほうを教えてもらえないというので、途方に暮れました。

そうしたら、そこまで横笛が好きならと、
篠笛を作るのとは別のこととして、
年配の“先生”と呼ばれる人が、作ったばかりだという自作の能管をお譲りくださったのです。

音階は能管ですが、正式な造り方の能管ではなく(能管は竹を表裏を逆にして貼り合わせた、高度な手間のかかるものです)、
単に趣味でつくったという、
材質はパイプ、塗りは人工漆、樺巻きもしていない、
でもちゃんと彫金もつけられているし、重心もつけられ、表側は朱塗りの地に黒塗りを重ね、内側は朱塗りで、しっかり作られており、
とてもシンプルに美しく、可愛らしい笛。

もう夢のように嬉しかったのなんの♪

女性的に思える可憐な横笛です

このすぐ後に、かつての能楽経験のご縁で、
初めて弟子をとる能管の師に、試みの弟子として指導していただけることが、たまたまのタイミングで叶ったので、
同好会には行かなくなったのですが、
手作り能管をくださった先生とは、しばらく笛交流を続けていました。

私はもともと、囃子の笛をやりたくて、
篠笛なら日舞などの邦楽や、祭囃子、
龍笛なら雅楽、
能管なら舞囃子に憧れていたので、
篠笛のドレミファ音階で童謡や歌謡曲を吹くほうではない教室を探していたのですが、見つからなかった経緯があります。
手作り能管をくださった先生には、憧れていた日舞の「黒髪」の譜をいただくなど、とてもよくしていただきました。

しかし手作り能管は、正式なお稽古では認められず、練習では稽古用のプラ管を使っていたし、
強息で出すものであるヒシギを、稽古後は私は最初から出せたものの、
か細げな手作り能管では、逆に私の息が強すぎて、出せなかったので(私が出なかっただけで、つくった先生には出せたそうです)、
嬉しかったファースト横笛ながら、楽しみ以外では使えなかったのですが、

この笛は、私が今も憧れる、漆黒に朱の覗く横笛の姿でもあり、
大切な記念の笛です。

その後、経験として、龍笛や篠笛も、少しかじりましたけれど、どうも私は息の強い能管に最初に慣れたせいか、
か細く可憐な横笛は、勢い余って音が出ない💦
いずれは中国の笛子もやってみたいけれど、息が合うかが、一番の課題です。

現在は、ネパール横笛に専念しているので、他の和横笛は、お守りのようになっています。

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