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恋愛話をする時、事実はねじ曲がる


自分の恋愛話を他人にする時、
少なからず誰もが
事実を捻じ曲げるものだと思っている。


自分の都合のいい解釈をして
事実を塗り替えるものだ。


私は少し前に、彼とお別れをした。

彼はとても真面目な人だった。
浮気は絶対しないし、
女の子がいる飲み会は事前に報告をしてくれるし
帰ってきた報告もしてくれる。
誕生日には手紙を書いてくれる優しい彼だった。

それでも、相手の気になるところというのは
誰と付き合っていても出てきてしまうものだ。

私はその彼の一面を、段々と時間をかけて
許せなくなってしまった

遅刻癖。

デートに行くのが憂鬱になってしまうほどの
毎回の遅刻だった。

そして積もり積もって
受け入れられなくなってしまった

あんなに好きだった気持ちはすり減ってしまって
もう戻らないんだと、悟ってしまった

別れたことは、風の噂で伝わる。

友達に経緯を聞かれて話す時にわたしは

________________________________________

「直らないなら私、一緒にいられないよ。」
そう言ったの。

そうしたら彼に、
「僕は直せないから、
   わたしのことは大好きだけど、
   別れるしかない。仕方ない。」

って言われたの。

彼は、
好きだから。一緒にいたいから自分は直す。
じゃなくて、
無理だから別れる。を選んだ。
彼がそういう選択をしたんだよ。

________________________________________

そんなふうに、友人に伝えた。

案外簡単に終わってしまうものだ。
人間関係というのものは。



友人に別れた経緯を話した、その日の帰り道。

私は、なぜなのだろうと思った。
そうした理由を探した。

私は少し事実をねじ曲げたこと。

実際は、ちゃんと言った。

「別れよう」  と一言。

それでも彼に汲み取って欲しかった。

私が、
「あなたとずっと一緒にいたいから
   遅刻癖を直して欲しい」

そう伝えたかっただけだったこと。

別れたいわけじゃなくて
そのハードルを超えてでも
私と一緒に居たいと思っていて欲しかったこと

気づいて欲しかった、だけだった。


最終的に別れを選んだのは彼だ。

そうやって、私の脳に言い聞かせるために
私は事実をねじ曲げた。

最終的な判断を、相手がしたことにしたい。
そうすることによって、
私は自分の心を守ったのだった。


うまく生きていくためには、
事実だけではなく
自分を含む誰かを守るための
 "歪んだ解釈"  が必要なのかもしれない。

私は別れるという決断を
自分が下した決断ではなく
彼がした決断として責任をなすりつけた。

彼は、私と別れた理由を

「一方的に振られた。
 俺じゃ彼女を幸せにできないから、
 彼女幸せを願うことしかできない」

とでも言っているのだろうか。

もはや時間が経てば
"事実"が先に消え去ってしまって
"解釈"だけが残るのだろう。



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