「塔」2019年5月号(月詠)

躓いたはづみに何故か手のひらで謝つてゐるあなたはだあれ

偏頭痛起これるゆふべ樹系図のごときものわが脳【なづき】をめぐる

十分でできるレシピを日替はりで楽しんでゐる昼の弁当

スプーンの先でカップを鳴らす時われに鎖のごときほほゑみ

この部屋でいつでも秋を待つてゐる金木犀のお香を焚いて

足元の黄色い線を眺めつついつまでもながめつつ、帰らう

(p.114)

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