レプリカの羽(「現代短歌」2017年8月号)

五月五日、板橋区立美術館「絵画は告発する」展。祖父の絵を十年ぶりに観る。

語らるることなきままに喪へるこゑ カンヴァスに青の佇む

五月十九日、夕方に東京着。速報はTwitterで確認。

最初から生きてゐなかつたことにして(何が?)レプリカなのだおまへも

五月二十九日、この原稿の依頼を拝受。メールにて企画の主旨を問ひ、日付をばらす了承を得る。

名をつらね歌をつらねてそののちのわれに聳ゆる豊多摩の壁

六月六日、「おそ松さん」二期の放送時期が今年十月からに決定。

死別離別くりかへしつつ引き揚げし赤塚不二夫、彼も長男

六月十五日、仕事終はりに、衝動的に一人でカラオケに入る。「千本桜」等を歌つて、二時間。

色彩は花々に朽つ あぢさゐも断頭台の隠喩とならむ

六月十六日、この特集の原稿募集に関する記事をFacebookでシェアしたところ、カリカチュアを理由に数名から「友達」を外される。

両側へひき裂かれつつ、これはわが背より零れしレプリカの羽

六月二十四日、「Wintermarkt」関西読書会。帰りは雨に降られた。

六月の雨をぬぐへり 八月を、三月を喩に変へしその指

(初出:「現代短歌」2017年8月号、特集「テロ等準備罪を詠む」)

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濱松哲朗

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