「塔」2018年4月号(月詠)

打ち切りの漫画のやうな年末にかなしみだつて捩ぢ伏せてゐる

かつてわが汚したる手の清しきを窓にしづくを拭ひつつ知る

何事も起きないことを祈りつつ苦しまぎれに食む干しぶだう

偶然を運命と言ひ張りながらおまへが俺のぬかるみに来る

花束は時々もらふ 思ひ出は少し湿気つた声をともなふ

明け方の雪はひかりをかさねつつ樹々のねむりをくづしゆくらむ

(p.160)

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