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1兆円の実績から学ぶ、スタートアップにおけるマネタイズの心得。

Instagramの広告売上は2019年には1兆円を遥かに超えると予測されている。アクティブユーザーは全世界で10億人を超え、今だに成長を続けているどんなスタートアップも羨むスーパープロダクトだ。

そのInstagramのマネタイズをヴァイスプレジデントとして牽引したのが現在世界中のアスリートから愛されているサービス「STRAVA」を提供する同社のCEO、James Quarles

彼がInstagramの1兆円を超える収益を作り出したマネタイズの経験と、さらに4000万のユーザーを抱え毎月100万ユーザーを獲得し続けるStravaにて現在進行形で取り組んでいるマネタイズの経験から得られた、スタートアップへのマネタイズに関する深い教訓をまとめたインタビュー記事から、そのエッセンスを翻訳してまとめます。

[Original Source] User-First Monetization — Lessons from Instagram and Strava

スタートアップがマネタイズにおいて直面する3つの障害

1. マネタイズはできるだけ急ぎたくない
成長にフォーカスするスタートアップが恐れるのは、マネタイズによってプロダクトの成長が弱まってしまうのではないかという不安。しかしマネタイズから目を背けることは、VCやボードメンバーからのプレッシャーを受け続けることになる。プロダクトマーケットフィットをマネタイズのためのコアなエクスペリエンスとして実現するべきだ、そうでないとひどい目に合う。

2. 安易なマネタイズはブランドとユーザー体験を破壊する
簡単にマネタイズし始めるスキームはそこら中にころがっている。クオリティの低いプログラマティック広告やバックグラウンドデータもしくはEメールリストの第三者への提供など。しかしそれはユーザーへの信頼を裏切り、後戻りできないコアエクスペリエンスの喪失を招く。

3. "Winer Take All"、しかもかなり頻繁に
スタートアップはついつい他社の成功モデルをよく学習して鵜呑みにしてしまう。しかしそのビジネスモデルは、勝者が結果的に全てを奪いつくすゲームであることが大半だ。デジタル広告やモバイルeコマースなどはまさにその事例で、TOP5に入れなければ生き残ることはできないことを、よく覚えておかないといけない。

頻発するスタートアップの典型的なマネタイズの失敗と学び

◆ パニックが悪い意思決定を生む。
VCに銃口を突きつけられた状態では、その恐れから安易なマネタイズに走ってしまうことが起こる。その短期的な意思決定によって、決定的なユーザーとの信頼を失い、大きな混乱を招く結果となる。

Stravaのファウンダー(James Quarlesはファウンダーに代わって今のStravaのCEOを務めている)は2009年にサービスをβローンチした半年後にはPremiumというサブスクリプションプログラムを開始している。それから何年もかけてチューニングを繰り返しながら、ユーザーが愛する機能と寄り添うビジネスのリテンションモデルを構築してきた。彼らはグロースか、マネタイズかで選ぶことはしなかった。彼らは2つを共に成長させてきた。

マネタイズがプロダクトに組み込まれていない。
最良のビジネスモデルはコアなユーザー体験と見事に融合して、むしろそれが力になっている。スタートアップはセールスに深い経験のあるリーダーをマネタイズ担当として雇うかもしれないが、それはそのプロダクトが抱える他のあらゆるマネタイズの可能性を限定してしまうことになる。"コピー&ペイスト"のメンタリティは捨てた方がいい。

Instagramの3つのユーザーコミュニティに対するコアバリュー 
 1. Community First
 2. Simplicity Matters
 3. Inspire Creativity 
これは同時に、我々のプロダクトにフィットする広告主だ誰なのか非常にクリアにすることにも役立った。トラベル、スポーツ、ファッション、食品などは特に相性の良いカテゴリだった。

マネタイズをキックオフする上で一番大事なのは、あなたのリーダーシップに腰を据えて、そのプロダクトのスーパーパワーをクリアにすることだ。他の多くのプロダクトに対して何が圧倒的に優れているのか、アンフェアなアドバンテージは何なのか。

◆ ユーザーの行動やビジネスの意思決定にリアリティを追求できていない
多くの企業が、実際にはするようなことのない楽観的な予測でユーザー体験並びにマネタイズをデザインしてしまっている。
例えば¥60万の時計、¥20万の自転車、¥8万のマットレス...これらをいきなりドンと出せれてもスマートフォンのユーザー体験で「今すぐ購入」はありえない。その検討の過程を、注意深くデザインして必要によってはまずレビューを見せたりなど然るべきプロセスが存在する。

マネタイズに成功したいのであれば、うちのユーザーが次にどんなアクションをするのか、リアリティを持って正確に予想できるようでないといけない。

◆ 広告モデルを最優先に選択するのであれば、広告主や代理店がすぐに扱えるフォーマットにすべき
独自の広告フォーマット、非定型のフォーマットを採用する企業が意外と多い。そんなことで実験的な予算を可能性たちを狭めてはいけない。

◆ 不正確な規模や優先順位でマネタイズを決めつけてしまう
多くの企業はこれと決め切ったビジネスモデルで楽観的に考えてしまう傾向にある。特にそれは彼らの好みでベストであろうビジネスモデルを選んでしまうのだ。
したがって、より保守的に、そして楽観的な視点はなるべく広げてあらゆる可能性を模索し続けるべきだ。これが、次のラウンドで投資家がどんな新しいビジネスモデルを評価するかもしれないケースに対する良い準備になるのだ。

以上がよくある典型的なマネタイズの失敗事例。しかしこれは私が学んだマネタイズの方程式の半分にすぎない。残りは、多くの、特に "to C" スタートアップにおける優れたビジネスモデルを作るための4つのステップを紹介する。

1. 「ビジネス」と「コミュニティの価値」が高め合うポイントを見つける

ビジネスモデルの構築を目指すスタートアップにとって重要な日々のエクササイズは、まずスーパーユーザーの声を聞くこと。あなたの生活にどのようにフィットしているのか?プロダクトはどのように助けてくれるのか?
そして同時に、将来的なマネタイズに寄与してくれる(であろう)ビネスパートナーのニーズを把握しなければならない。この両者への深い理解を、例えば「なぜ?」を5回繰り返すレベルで深く掘り下げていく、それを日々実行し続けること。
つまりスーパーユーザーにも、そしてビジネスパートナーにはスーパーユーザーを丁寧に扱うの如くケアしてニーズを理解しなければならない。

例えばStravaでは、ビジネスパートナーへのインタビューを通じて次のようなことを明らかにしている。彼らがSTRAVAに興味を持ってもらっているのは、彼らがフィットネスゴールを達成しようとする人をエンパワーしたいからだ。彼らはアスリートがどのように自社のブランドを表現しているかを、自らのメッセージ以上に価値に感じている。

ミレニアルをはじめとするイマドキのユーザーは昔のような広告手法にはもう反応しなくなってきている。つまりユーザーとビジネスパートナーのニーズを今まで以上にクリエイティブにマッチさせないといけない。ユーザーのニーズと、ビジネスパートナーのニーズが真にオーバーラップするエリアを両者のインタビューから見つけ出し、フォーカスする必要がある。

Strava's Metroはその良い事例だ。Metroは3億以上のサイクリングやラニンングのログデータをアグリゲートして、より良い都市開発のへの貴重なデータ提供源となっている。2014年にスタートし、4年で130以上の政府・自治体とパートナーシップを組んでいる。

2. ビジネスモデルをコアなユーザー体験の中心に据えること

次のような自問をしてみるといい。

「Q. プロダクトで最も活発な機能や体験は何なのか?(Instagramであればhomeフィード)」
「Q. 最もコアなユーザーアクションは何なのか?(STRAVAであればアクティビティのトラック)」
「Q. どんなビジネスモデルがより良いユーザー体験を作る可能性があるのか?(Instagramdであれば、新しい商品やスモールビジネスの発見に繋がること、STRAVAであれば、他のメンバーのアクティビティを発見すること)

最も成功するビジネスモデルは、このコアなユーザー体験の中心になり、同じメカニズムで機能する。結果として、ユーザーに高い価値をもたらす。

しかし、多くのスタートアップはマネタイズのテストをそのコアなユーザー体験から外れたところで始めようとする。コアな体験から外れたエリアでテスト的に始めても、大抵の場合小さなインパクトで終わる。
逆にそのプロダクトの中心でマネタイズを始めれば、その結果はスケーラブルなものとなり、インパクトや学びも大きい。当然、それを実施する上でのハードルも高くなるがその分耐性が強いビジネスモデルになるはずだ。

STRAVAの最もコアなユーザー体験はアクティビティのアップロードで、ユーザーは最も頻繁に行なっており何百万のアクティビティが毎日アップロードされる。サブスクリプションモデルが自然にフィットするのはこの体験だ。メンバーがより高いゴールを目指すほど、よりたくさんのアクティビディをアップデートするほど、プレミアムバージョンの安全を保証する機能や分析の機能がその手助けとなる。STRAVAは大量のユーザーインタビューからモチベーションを学習し続けた。

3. 最もスケーラブルなアイディアから選ぶこと

できるだけ早いタイミングで、スケーラブルなマネタイズの可能性があるこはチェックしておかなければならない。
Instagramが広告を導入した際は、今までのテキスト依存のフォーマットからよりビジュアル重視のクリエイティブに多少の調整と、初期は当時のCEOのKevenが全クリエイティブに目を通しより良いクリエイティブの方向性を調整したが、何よりスケーラブルなビジネスを選ぶことは、単に売上をより伸ばす以上の意味を持つ。
つまり、ユーザーと広告主の数が両面で増えれば増えるほど、広告の多様性が向上し、そのユーザーに最適な情報が届くようになる。つまり、ユーザー体験が向上するのである。

4. 成長のために、再現性のある予算を選ぶ

「実験的な予算に注意しろ。」
そのビジネスモデルのパイオニアであればあるほど、大きな実験的予算を提供してくれるオファーに惹かれるだろう。
問題は、それらは滅多にリピートしないということだ。実験好きなパートナーや予算は、多くの場合1回やって終わり、以上だ。彼らは2度と帰ってこない。

やらなければならないのは、そのレベニューシステムにユーザーが参加し、それらが拡大し、かつそれが計測可能であることだ。これがビジネスパートナーを呼び戻し、再現性を担保する。

そのビジネスモデルを発見するために、Quarlesはユーザーに対して次のように問いかける。

A ) このサービスは使えば使うほどその体験は良くなりますか?
B ) 使えば使うほど、何度も使いたくなる機能や体験は何ですか?

Stravaは、これらの質問にポジティブな回答が帰ってくるかをたいへん重視している。我々の最も重要な収益チャネルはサブスクリプションだ。故に、より多くの時間をSTRAVAに使い、投資するほど、よりサービスの価値が高まると感じてもらう必要がある。よりたくさんの機能をユーザーに提供してく必要もあるが、それは払っている金額に対して価値があると感じてもらうだけでなく、何よりそれによってそれぞれのユーザーのフィットネスゴールにより近づけると感じてもらうことを大切にしている。

サマリー

たくさんのことを覚えておいてもらわないといけない、そして成功するビジネスモデルにも業界、to Cかto Bか、成長のステージなど企業によって当然異なる。ただ、これらのニュアンスに関わらず、次の言葉から始めてみよう。

収益を生み出すそのクリックは、ユーザーのモチベーションに大きく依存する。

ユーザー調査とインタビューを何度も繰り返し、見込みの広告主やビジネスパートナーがいれば彼らのモチベーションも深く理解しよう。その間にあるオーバーラップを見つけ出し、その制約をあなたのクリエイティビティへと生かそう。

もう少しだけ、覚えておけるのであれば、次のことを頭に入れておこう:
最高のビジネスモデルは再現性があり、計測可能であり、そして常にユーザーとっての価値を向上し続けている。ビジネスモデルの構築から決して逃げず、それらをコアなユーザー体験の中心に据えよう。これこそがあなた達を生かし、最終的に大成功へと導くはずだ。

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Kenji Tomita | tommygx90

東京農工大学修士ビークルダイナミクス専攻 > USEN > VOYAGE GROUP > genesix創業/取締役 > SmartNews創業期メンバーから人事責任者 > Runtrip, Inc 取締役, Aurolla Design代表

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