「"楽しむこと"に徹底的にこだわり抜いた9連覇」が意味するリーダーシップの未来像。

組織マネジメントは「=モチーベションマネジメント」だと思っている私としては大好物な著書でした。いわゆる「リーダーシップ」がメインテーマ、帝京大学を全国大学ラグビー選手権9連覇に導いた岩出監督の試行錯誤の結晶のような濃い、そして既成概念に囚われない信念がとても痛快な内容です。昨今もニュースを賑わせた「体育会系」の文化やマネジメントを一切排除し、4年生がもっとも雑用をこなすなど一般常識から外れたその考え方が、結果的に前人未到の9連覇に導いているというのがとても興味深いですよね。

常勝集団のプリンシプル| 自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネジメント

個人的には「アドラー心理学」や「マインドフルネス」的な要素が散見されて(岩出監督はスポーツ心理学を教えているだけあって)いてさらに納得感が高いです。

さて、ハイライトからエッセンスをまとめてnoteします。

もっとも大切なのは「楽しむ」こと、それにより「フロー」を生み出すこと。

時間を忘れるほど何かに熱中したという経験は、誰にでもあるはずです。  それが、フローとかゾーンと呼ばれる状態です。その時、集中力が非常に高まり、自分の能力がいかんなく発揮されやすくなります。人間の能力にはリミッター(制限装置)が取り付けられていて、それを解放することにより、能力が限界近くまで発揮されるというイメージです。

直近で個人的な人生の羅針盤にもしているのがまさにこの一文で表現されていて、だれでも寝食を忘れて何かに没頭/集中した記憶があるはず。その時はきっとどの瞬間より生産的で、創造的で、ポジティブで穏やかで、ゆえに心身ともに圧倒的にヘルシー。残りの人生を、いかにこの「フロー」状態で満たせるかが本当に大事だと思っています。

試合の直前になって、あるいは試合が始まってから、試合結果のことを考えるのは無意味です。  映画館に入って、すぐに映画の結末のことなど考えませんよね(もし、わかってしまったら面白くない)。それと同じで、いまこの瞬間をどう楽しむかがとても大事です。いま向き合っている「現在」だけに、自分の心理的エネルギーをすべて注げば、心から楽しめる。スポーツやビジネスであれば、持っている力を出し切ることができます。その結果、負けたのであれば、仕方ありません。

勝負の世界でも、いや勝負の世界だからこそ「未来の勝ち負け」にとらわれずに、「今を楽しむこと」に注力する。モチベーションマネジメント、フローの概念を信じると、「今を楽しむ=最もパフォーマンスが高いという信念を貫いているということですね。

フローになった時、人は持っている能力を存分に発揮することができ、チームの活動であれば、仲間とまるでテレパシーで通じ合い、チームの端々まで神経が行き届いている感覚で思い通りのチームプレー、チームワークが実現できるようになります。 そして何より大事なのは、フローになった時、人は充実感や楽しさ、生きることの幸せを感じます。
幸せに近づく技術とは何だろうか。私なりの結論を言うと、 人は、やりたいことに集中できて、自分の実力を100%発揮できた時、大きな幸せを感じると思います。さらにその時、自分だけでなく周りの人を幸せにできていたら、もっと幸せな気持ちになる。 実は、人は、その幸せを味わうために生きているのではないか、と感じることさえあります。

リーダーとして、組織の力をいかに最大化させるか、ということを突き詰めると、「個の幸せ」に行き着くと思います。究極は、「個が幸せで無い」状況でどれだけ頑張ってもらっても、そしれは組織のためにも本人のためにもならない。本書でいうと、「フロー」状態を作れるか、否かが大事な判断軸ですね。

私のような昭和世代からすると、「楽しむ」という言葉には、少し生ぬるい印象がありました。スポーツ、あるいはビジネスなどの真剣勝負の場に、「楽しむ」という概念を持ち込むのは、はばかられるという感覚です。
人が最もやる気になるのは、行為そのものに「楽しさ(Play)」を感じる時です。「楽しさ」が動機であれば、仕事でも、減量でも、成功する確率が高まります。

こちらでも垣間見えるのは、「今を楽しむ=最もパフォーマンスが高いという信念。真剣勝負の世界だからこそ、楽しめるかそうじゃないかを大事にする。

「去年勝てたのだから、今年もそれを繰り返せばいいじゃないか」  一見、これは合理的な発想に思えますが、事実は逆です。 この発想をした瞬間から、チームの弱体化が始まります。  組織文化の大敵は「惰性」です。前述したように「惰性」はモチベーションを低下させる最強の力を持っており、リーダーは常に「惰性」の芽が出ていないか、組織の隅々まで目を光らせている必要があり

モチーベーションの観点から、逆に最も注意しないといけないのは「惰性」。新しいことにチャレンジすることが大事というよりは、そうしないと「惰性」が発生する=モチベーションが下がる=パフォーマンスが下がる、というのが新鮮な視点でした。

課題となるのは、つらい練習やトレーニング、ケガでのリハビリ、人間関係のごたごたが起きた時も、「楽しさ」や「充実感」や「好奇心」などのポジティブなマインドセットでいられるかどうか。つまり、困難な事態に直面した時に、成長マインドセットでいられるかどうかです。

「憂鬱じゃなければ仕事じゃない」という某有名な言葉がありますが、当然「楽しい=楽(らく)」では無いので、チャレンジし続ける過程で訪れるハードシングスに、どれだけポジティブなマインドで望めるか。心を整え、鍛えることも当然大事になってきますね。

練習は欲張らず、できなかったことは次回に回し、しっかり食事を取り、体をメンテナンスし、よく寝る。 私は、心も体もセルフメンテナンスできるようになりたいね、という話を学生によくしています。自分の心や体としっかり向き合って、現在の状態を客観的かつ具体的な数値でつかみ(少なくともつかもうと努力し)、休養なりメンテナンスなりして整えていく。そのことが、スポーツ選手としてだけでなく、大学卒業後、社会に出て、ビジネスの世界に入っても、非常に役立つと確信しています。

9連覇もする常勝チームだからこそ、そのトレーニングは過酷/過密を極めるものだと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。むしろ「危ないと思ったらボールを離せ」というアドバイスや、上記のような「セルフメンテナンス」への考え方など、既成概念にとらわれず、信念を貫く指導方針の背中に、勤勉でトライアンドエラーな岩出氏の人となりを感じてしまい圧倒的な好感の念を禁じ得ない。

組織のトップが一番注力すべきは「企業/組織文化」と断言する

「帝京大学ラグビー部の一番のファンは誰か?」 この問いに「ラグビー部に属している部員たち」と自信を持って答えられるようにしようと決心しました。

優れた組織、優れた文化は自己肯定感と、それに裏打ちされたメンバーからの愛情、情熱が内燃機関のように熱を外に発することで生まれると思います。文化やブランドは、熱狂したメンバーが創る

組織文化の骨組み(フレームワーク)は、トップがつくっていく人工物であり、自然にできていくものではありません。

人工物という表現が好きです。当然「組織文化」は気がついたら出来上がっていたという事例が実際ほとんどだと思うのですが、「組織(企業)文化」の重要性に気づいているリーダーであれば、人工物として作る強い意思を持った方が良いということですね。非常に共感します。

文化に、トップの意志を明確に反映させていく必要があります。 なぜなら、組織のメンバーは、組織のトップの考えや価値観を 忖度 して、それにできるだけ応えようとして行動するからです。よって、組織や人を自在に動かそうと思ったら、単に具体的な命令を下すのではなく、遠回りであっても、トップの考えを文化に落とし込んでいくことが、メンバーに対して最も強力に働きかけることになります。

こちらでも書きましたが

まさにこのタイトルにある通りの内容ですね。

トップの率先垂範が絶対条件です。 常に、成長マインドセットで物事を捉え、行動するように普段から心がけること。繰り返しますが、メンバーはトップの言動をよく観察していて、期待に沿えるように無意識のうちに忖度して行動しています。そのため、 トップの一挙手一投足というのは、トップ本人が思っている以上に、組織文化に重大な影響を与えていきます

下は上を、上が下を見るより3倍は見ていますね。それぐらいリーダーは背中を見られている。良くも悪くも評価され、良くも悪くもその背中が文化となり、真似される。

人は自分が思っている以上に、組織文化の影響を受けます。人の脳には「ミラーニューロン」というモノマネをする神経細胞があり、他者の行為や意図の理解や学習に役立つことがわかっています。人間にはモノマネの才覚があるからこそ、文化や文明を継承して繁栄できたのでしょう。 愚痴が多い人がトップの組織は、メンバーも愚痴ばかりこぼしている、トップが明るい会社は、社員も明るい。

私は飲食店や接客業でのクオリティを俯瞰して見てしまいます。ボトムの接客レベルが低い店舗や雰囲気、清潔感に欠けるお店は、大抵リーダーの人格/能力に起因していますね。逆に店長やリーダーが優秀そうなお店は、全てのクオリティが間違い無いです。

技術も戦術も、それを実行するのは人です。いくら優れた戦略や戦術でも、それを実行する人間の力や組織風土が伴っていないと、効果は期待できません。 これは、ビジネスの世界でも同じことが言えます。A社で通用した戦略・戦術が、B社では役に立たないことがよくあります。人材や企業文化、それを含めた現場力が違うからです。こうした戦略の不適合は、頻繁に起きていると聞いています。

三枝三部作が今だに色褪せないのは、
戦略なんてただの道具、貫くストーリーを作ることによっていかにマインド連鎖を作るか
という名言が本質なんだと思います。

マウントを取り合わない組織づくり

競争や承認欲求が渦巻く組織では、部署間、メンバー間でマウントの取り合いが発生します。営業会社や、リーダーが優秀すぎるトップダウンの会社であれば問題それでも問題無いと思うのですが、本書が推す「フロー」の観点からすると全くの足枷でしかないですよね。

毎年4月、新入生を迎えるに当たってスローガンを決めています。それは「日本の大学の中で新入生が自分たちのチームを一番早く好きになる」。

「帝京大学ラグビー部」から受けるイメージと本当に真逆でした。ごめんなさい。このマインドセットによって、尊敬される先輩、背中を預け合えるチームができあがる。すべてはフローのために。

アドラー心理学では、「ほめる」のはよくないとされています。それは、ほめるという行為自体が、能力が「上」の人が、「下」の人を評価する人間関係になっているからです。また、ある行動をほめられた人は、行動の目的が、「自分のしたいこと」から「他人からほめられること」に変わってしまいます。その結果、自分を大きく見せようとしたり、欠点を隠そうとしたり、地道な努力を放棄してすぐに結果が出ることばかりに取り組もうとしたり、揚げ句の果てには、人の足を引っ張って自分だけが這い上がろうとします。これでは、チームワークは機能しません。

こちらもまさに。人から認められたいという外発的モチベーションではなく、内発的モチーベーションが結果的に優れたパフォーマンス、創造性を生むというのはダニエルピンクの「モチベーション3.0」でも有名な理論。もはや常識のレベルか。

自分の属する共同体から「奪う」ことばかり考え、「与える(貢献する)」という発想はほとんどないわけです。この「与える」という感覚を身につけることこそ、あらゆる組織の中でうまくやっていける秘訣であり、自分とその周辺の人たちを幸せにする秘訣でもあります。

本書でも言及していますが、テイカー(Taker)ではなく、ギバー(Giver)が中長期では優れた結果を残すという事実。「与えよ、さらば与えられん。」ですね。

無知の知。

こう信じて生活を送っていると、目に入ってきたり、耳から聞こえてきたりする情報が、まったく違うものとして捉えられるようになります。  私は「無知の知」という言葉が好きです。還暦を前にして、ラグビーも、人間についても知らないことばかり。自分は「何も知らない」ということをよくわかっています。だから、いろいろな人との出会いや書籍などを通じて、毎回、未知の新しい情報や知恵に接し、学ばせてもらっています。共感したり、直感的に「いいな」と思ったことは、「自分たちの組織にも応用できるか」「学生たちの反応はどうか」など細かい部分まで仮説・検証を繰り返し、自分の中で納得できたら、すぐに行動に移します。

私も「無知の知」という言葉が大好きです。逆に「経験」や「専門性」は足枷になるなと気をつけています。特に今のようなVUCA(Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ))な時代には、昔の成功体験、今まで正しいとされていたことに立脚して物事を考え、進めていくことは逆にリスクでしかないと思います。
まさに大事なのが「フロー」で、成功への過度な期待、失敗への不安、そういったものに捉われずに、いかにニュートラルに目の前の問題における最適解を導き出せるか、そんな能力が今のリーダーには真に求められているのではないかと思います。

常勝集団のプリンシプル|自ら学び成長する人材が育つ「岩出式」心のマネジメント


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