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Booker T.

 彼の来日公演を観に行ったのは1996年?それとも1997年?チケットも手元に残っていないので日付が定かではありません。ブルーノート東京が青山の骨董通りの旧店舗の頃ですから1998年9月よりは前のはずなのです。旧店舗はまさに大人の音楽好きが集まるお店という感じでした。若い世代が集うクラブやライブハウスとは全く違う空間でした。当時はまだ学生でしたが当時の恋人と二人で行ったのです。お金の面でも随分と背伸びをしたと思います。それでもどうしても観ておきたかったのです。

 音楽を聴きながらテーブルで食事が出来るお店ですから席を予約しました。ドレスコードも意識して3つボタンのスーツにネクタイで会場に向かいました。記憶が正しければドアマンがいて中に通してくれました。まさにハイソサエティの行く店だと思いました。拍子抜けしたのは小ぎれいではあるけれども、ラフな服装の方もたくさんいたことでした。やはり若い頃は外し方というのをまだ十分に身につけてなかったのでしょう。でもMod フェイバリットの一人であるBooker T. Jonesさんのライブですからそれが自分の中ではベストなファッションだったのだと思います。そして席は当日に選んだような記憶があります。僕たちはハモンドオルガンの目の前の席が空いていたので選びました。旧店舗のブルーノートのステージは小さく、客席との距離感もかなり近かった憶えがあります。

 来ていたのはMG'sではなかったのですが、同じ編成のカルテットでした。ドラムの方は元はMiles Davisのバンドにいた方とアナウンスされていました。メンフィスソウルというよりはジャズ寄りの演奏でしたが「Green Onion」はまさに思い描いていたそのものでした。回転するレスリースピーカーの空気まで感じ取れる素晴らしい時間でした。

 サインをもらうようなことはしなかったのですが、終演後にステージのすぐ近くに座っていた僕たちは握手をしてもらえました。僕は人の顔を憶えていることがほとんどありません。でも握手をしてくれた時のBooker T. Jonesさんの笑顔は今でも鮮明に思い出すことができるのです。


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