【第2回】「メタバース」って何がスゴいの?世界的な注目を集める理由について解説してみた

こんにちは、趣味も仕事もxR漬けの日々を送るミクニです。
私が勤めるTD SYNNEX (1月1日に社名変更いたしました)では、外資系ITディストリビューターとして、お客様の抱える問題や課題について、さまざまなソリューションを提供し、サポートしています。

前回は新しいデジタル技術として、xR(VR・AR・MR)を紹介しました。空間に対してさまざまな効果を実現できるxR は、ゲームやビジネスシーンだけでなく、多分野での活用が期待されています。

そんなxR の技術は将来的には、仮想空間で一個人が仮想的存在としてさまざまな活動ができるようになるメタバースの世界観へと繋がっていくと考えられています。まだあまり浸透していない言葉かもしれませんが、最近ではFacebook社がメタバースへの積極投資を打ち出し、社名を「Meta」に変更したことなどをきっかけに、大きく注目を集めています。

今回は、「メタバースとは一体何なのか」「なぜ注目されているのか」「メタバースによって、生活がどのように変わるのか」について、紹介します。

いま注目されている「メタバース」とは?

メタバースは、デジタルで構築された仮想空間の中に人間がアバターなどの形で参加し、さまざまなコミュニケーションやコラボレーション、経済活動や生産活動を自由に行なうことがで

きる世界、世界観を包含する言葉。現状ではこの定義は難しく、日々議論が行われて更新されているという状況かと思います。

しかし、仮想空間の中で、もう一人の自分(=アバター)が生活を営んでいるという世界観は、さまざまな小説や映画の中で何度も描かれているため、誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。例えば、日本の作品では、「OZ」と呼ばれる仮想空間が流行していた『サマーウォーズ』や、仮想世界<U>(ユー)を舞台に物語が繰り広げられる『竜とそばかすの姫』、仮想空間の中に五感ごと没入して「VRMMORPG」をプレイする『ソードアート・オンライン』などが、メタバース的世界観として知られています。仮想空間の中で、自由に動き、コミュニケーションがとれるという意味では、近年の『あつまれ どうぶつの森』や『Fotenite』といったゲームも、メタバースの概念に近いかもしれません。

メタバースは、遡ると90年代のアメリカ小説「スノウ・クラッシュ」で初めて登場した、「meta」(超越、高次の)と「universe」(宇宙)とを組み合わせた造語です。それがなぜ、いまになって注目を集めることとなったのか。一つは、世界的なパンデミックによって、現実世界に「移動したいのにできない」という物理的な障壁が生まれたことが考えられます。対面でのコミュニケーションが断絶され、さまざまな活動が変更を余儀なくされるなか、現実世界ではない新たな空間を広げていこうとした結果、古くから存在したメタバースの概念が受け皿となった。もちろん、他にも高速大容量のデータ通信ができる5Gなどのインフラが整いつつあること、スマートフォンの普及により個々人でデジタルを介した生活が当たり前になったという技術の発展も大きいでしょう。

各社は、メタバースによって実現するデジタル世界を「ネットワーク化された創造的知性」と捉え、新たなビジネスチャンスの創出を目指しています。Facebook社が社名を変更してまでメタバースに巨大な投資をするなど、いま、さまざまな企業がメタバースに注目しているのです。


メタバースはまだ先行投資。いまは、新大陸を目指して船を出した状態

注目されているといっても、メタバースはまだまだ発展途上。しかし近い将来、現実世界と同じような生産活動ができるようになる、と予想されます。そうすると、ちょっとした買い物はリアルの近場でおこない、特別なイベントや普段は会えない距離の友人とはメタバース空間で、といったように生活の選択肢が広がるでしょう。ビジネスにおいても、ほとんどの仕事をメタバース空間で済ませるということが可能になると考えられます。

例えば、ヘッドセットをつけるだけで、アバターを通じた会議を仮想空間でおこなうことができます。現実の人間の動きと連動した声や動きのアバター同士で議論を交わしたり、一つの大きな空間でみんなで画面を共有して資料や映像を見たり、協同作業をしたりといった会議が可能に。そして、会議が終わったら各々が部屋からログアウトし、別の空間に行って、旅行やゲームをする。それらが、一つの世界観の中で結びついている状態がメタバースです。

いまは、各社がこうした世界観を構築するためのピースを一つずつ積み上げている状態。いろんな人がインターネットで実現しようしていたものの、行きつく先としてメタバースが認識されたという状況なのです。なので、大航海時代のように新大陸を探しに出た状況が、いまのメタバースを取り巻く環境と言えるでしょう。

ビジネスの領域では、バーチャル空間で新しいビジネスを作っていこうという会社が多い中、現実世界のビジネス活動にも価値を置き、現実とバーチャルの行き来に目を向けているMicrosoftは特徴的です。

Microsoft では「Mesh for Microsoft Teams」を人、場所、モノのデジタルツイン(=現実空間とシミュレーションの世界が相互作用する環境)が配置されたデジタル世界への入り口と捉え、新たなビジョンに基づく社会基盤(インフラ)と捉えています。ビジネス目線のMicrosoftならではのアプローチで、PC・スマートフォン・VRゴーグル、HoloLens から柔軟にアクセスでき、従来の画面越し方式からアバターやホログラムでのコミュニケーションといった、平面から空間まで活用が可能なコミュニケーションのツールになります。ただの通信技術ではなく、立体空間でのデジタル活用をメタバースととらえているようです。


メタバースの実現は、そう遠くないかもしれない

メタバースはゲームなどの3D空間と親和性が高いため、現状ではやはりエンタメ領域で先行しているようです。海外の有名アーティストが「メタバースライブ」という形でオンラインライブを行なった事例からも分かるように、もともと三次元だったものをバーチャル空間で代替する形が早いからでしょう。アメリカでは、ゲーム会社がメタバース向けのプラットフォームや、高速通信できる空間を作るためのツールを提供するといった流れが生まれているのが興味深いですね。

メタバースの世界観を実現するためには、まだまだ人の不規則な動きに対する通信速度や処理能力が足りていません。現実と同様の人数を処理できるようになれば、映画の中で見たような、仮想空間の中で人々がリアルな温度感を持ってコミュニケーションをする未来に近づいていくでしょう。

現実的には、まずデジタルに置き換えられる部分の効率化を進め、よりスムーズにメタバースの世界にたどり着くための準備が行なわれていくと考えられます。人の不規則な動きからではなく、地理情報など変動の少ない情報の収集は、すでに始まっています。そうした情報が集まることで、例えば現実世界の土地をバーチャルで再現し、この場所に建物を建てるためにどれくらいのコストやリソースが必要なのか、リアルなビジネスシミュレーションができるようになるのです。ビジネス領域でのそうした活用が、メタバースの実現よりも先に生まれていくのではないでしょうか。

スマホの普及がわずか数年で実現したことからも分かるように、技術の普及スピードはどんどん加速しています。技術の発達やサービスの広がりにより、いずれはビジネスや日常生活をはじめ、私たちの意識していない部分で使われる日も遠くないはず。今後のメタバースの広がりに、注目したいところです。


TD SYNNEXの HoloLens 2 紹介ページ
https://www.synnex.co.jp/vendor/microsoft/hololens/