田舎で生きる才能、東京で生きる才能

「東京で生きていく才能があるんやね。」今年のGWごろに言われた言葉だ。

GWに地元の奈良に帰省して、友達4人でご飯を食べた。みんな小学校からの友達だけど、今はもう誰も地元には住んでいない。
2人は京都に、もう1人と私は東京で暮らしている。

それぞれの近況の話になり、東京で楽しくやってるよということを言ったら「東京で生きていく才能があるんやね。」と言われた。
大量の人混みに耐え、満員電車に耐え、多すぎる情報量に耐え、高い物価に耐え、それは自分には出来ないことだと言う。
シンプルな褒め言葉だったので嬉しかったのと一緒に、どちらかと言えば自分には「田舎で生きていく才能」がないと言う方が正しいなとも思った。

私の地元はものすごく田舎だ。ファスト風土と言えば想像がつくと思う。
大きな幹線道路と、その脇にズラリと並ぶチェーン店。でもそんなのでも良い方で、そう言った幹線道路に行くまでも車で30分くらいかかる。

最寄りのコンビニ(デイリーヤマザキ)は歩いて15分、最寄り駅は歩いて20分ちょい。最寄り駅が徒歩20分なんて恵まれている方で、歩いて1時間以上かかる子もいた。そうやってたどり着いた駅では多くて20分に1本、少なければ1時間に1本しか電車は来ない。
大きなイオンモールがあるので生活物資に困ることないけれど、ライブや観劇となると電車で1時間以上かけて隣県の大阪に出るのが当たり前だった。
よく言えば穏やかな場所なのだが、情報量が少なすぎて飽き性の私には耐えられなかった。ヤンキー、マイルドヤンキーと呼ばれる人々とどうにも合わないというのも大きかった。

高校を卒業してから、大学に通うために京都市内で一人暮らしを始めた。
歩いてすぐの場所にコンビニがあり(しかもファミマとローソンが2つも!)、チャリ圏内にライブハウスがあり、終電も気にしなくて大丈夫。
最高の生活だった。それでも4年も暮らすと「もういいかな」となり、就職のタイミングで東京に引っ越した。東京ほどデカければそうそう飽きることもないだろうと。

こんな感じで東京に来たので、どちらかと言うと積極的に東京に来たというよりも、田舎から逃げて東京に行き着いたという感覚に近い。
あまり良いことは書いてこなかったけど、別に地元はそう悪い場所でもないとは思う。お寺や神社が多いのでそういうのが好きならば東京よりも楽しいし、限界集落というわけでもないし1時間あれば大阪に遊びに行ける。
ただ、私はそこで暮らしていくのは絶対に無理だったという話である。
そして飽き性ゆえに、馴染みのある大阪や京都ではなく、全く知らない土地の東京を選んだ。

就職のタイミングで親や親戚から「奈良に帰らんのか?」と聞かれもしたが、絶対に絶対に無理だと思った。性格や思考回路がめちゃくちゃ似てる父親だけは奈良に帰らんのかとは聞いてこなかったので、めっちゃ私のこと分かってるやんと思ってウケた。
私には圧倒的に決定的に絶望的に田舎で生きる才能がない。

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