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#10『”君が私の人生の中のイレギュラーだから”SHISHAMO「恋する」を語る』

いよいよ今回で記念すべき10曲目の投稿になります。少しでも読んでいただいた方、本当にありがとうございます。

今回は2013年11月13日にリリースされた1stアルバムSHISHAMOの11曲目のラストに収録されている「恋する」について語っていきます。2019年6月19日にリリースされたSHISHAMO BESTの2曲目にも収録されています。この曲は簡単に説明すると”友達だったはずの男性に恋心を抱く片思いの女性の心情”を描いた歌になっています。

元々この曲はMVがありませんでしたが、2023年はSHISHAMO10周年イヤーという事で人気曲である「恋する」のMVが作成されました。また、音源も新しく録り直しされており、10年間の成長を感じられるようにもなっています。声や演奏面を初期と最新で比較して聴いてみても面白いと思います。

2013年の初期の音源がこちらです。

そして2023年の音源とMVがこちらです。

「君と夏フェス」のMVに出てくる女優の上原実矩さんがこの「恋する」のMVにも起用されています。また、曲名に10YEARS THANK YOUが付け加えられていますね。こちらのバージョンは2023年2月4日にリリースされたCDデビュー10週年を記念したコンセプトアルバム『恋を知っているすべてのあなたへ』のdisc1”恋の喜び”の15曲目に収録されています。

勝手に10曲目の投稿なので、SHISHAMOの10周年とかけてこの曲を選びました(笑)。それでは、歌詞や曲について語っていきます。

1番Aメロの歌詞

いつだって一緒にバカ騒ぎしてくれるのは君くらいだと思ってて
それは君と私の間に恋が芽生えることはないって
そう思っていたのは私だけじゃないはずよ
ねえ そうでしょ
やばい本気になっちゃいそう

「恋する」作詞:宮崎朝子

1番の歌詞は友達として一緒にバカ騒ぎしていた彼にだんだんと惹かれている自分に気づき始める女の子の気持ちが描かれていますね。

彼と一緒にバカ騒ぎできるということは、「君と私の間に恋が芽生えることはない」というフレーズから分かるように主人公の女の子にとって彼は恋愛対象ではないということが伺えます。多分、初対面に「あっ、この人なんかいいな」って思ったら、人によるかも知れませんが人間の心理的にちょっと自分を取り繕ったりしてしまいそうですもんね。

しかし、そう思っていたはずなのに「やばい、本気になっちゃいそう」という主人公の女の子の心の動きを感じさせるフレーズが出てきます。この後の歌詞に続きます。

1番サビの歌詞①

全然好みじゃないのになぜか君にドキドキするのは
きっと君が私の人生の中のイレギュラーだから
だから私 君のことが 癖になっちゃってんのかなあ

「恋する」作詞:宮崎朝子

主人公の女の子は全然好みじゃない彼にドキドキしてしまうようですね。この曲のポイントとなる「イレギュラー」という言葉の意味は、”不規則なこと”という意味だそうです。つまり思ってもみなかった相手になんだかドキドキするそんな状況を「君が私の人生の中のイレギュラーだから」というフレーズで主人公の女の子の気持ちが表現されています。彼の存在が女の子にとって”イレギュラー=想定外”だったということですね。

その後に「君のことが 癖になっちゃってんのかなあ」という表現が出てきます。「癖になる」という言葉はよく使いますよね。癖になる味や癖になるゲームといったように、基本的に何回か繰り返した後に使う言葉だと思います。そして、この曲では全然好みじゃない彼とバカ騒ぎすることが習慣でしたよね。きっと彼と過ごすその習慣がきっかけでドキドキするようになった訳じゃないですか。まさに「君のことが 癖になっちゃってんのかなあ」ってことなんです。本当に上手い表現ですよね。

1番サビの歌詞②

でも君は私の好みをもうとっくに知っちゃってるから
君は私が自分のことを好きだなんて一生気付かないよね
ああ バカな私 なんであんなこと言っちゃったんだろう?

「恋する」作詞:宮崎朝子

「でも君は私の好みをもうとっくに知っちゃってるから」ということは、彼に”私はこういう顔でこういう性格の人が好き”と話してしまっているということですよね。その次の「君は私が自分のことを好きだなんて一生気付かないよね」というフレーズから彼に言ってしまった好みのタイプと彼が全然違うことが伝わってきます。そして、後から彼にドキドキするようになって「ああ バカな私 なんであんなこと言っちゃったんだろう?」と嘆いている訳ですね。

2番Aメロの歌詞

君に少し似てるあの俳優 君に惹かれてから少し好きになったよ
この気持ちに気付いたあの日から 私の毎日とても生きづらい
君はそんな私の気持ち気付かず まだひとりでバカやってる

「恋する」作詞:宮崎朝子

2番の歌詞は彼が好きだと気付いてからの女の子の気持ちの変化が表現されていますね。

「君に少し似てるあの俳優 君に惹かれてから少し好きになったよ」には共感しますね。俳優に限らず街中を歩いていて彼氏または彼女と似ている人を見かけると不意にドキッとしたり、ついつい目で追ってしまうようなことってありますよね。そういう心理を指している気がします。まさに恋の病ですね。

「この気持ちに気付いたあの日から 私の毎日とても生きづらい」というフレーズ。そりゃあ彼のことを好きだと気づいたのなら意識してしまって今まで通りにはいかないですよね。生きづらくて仕方ないのもわかります。

彼はそんな主人公の女の子の気持ちを察することなく「ひとりでバカやってる」ようですね。どうなんでしょう、この彼は彼女に全く気はないんでしょうか、それとも彼女のタイプではないからと割り切ってるんでしょうか…。
ただただ鈍感なタイプで気持ちに気づいていないだけなのかも知れませんね。その鈍感さが彼の良さのようにも思えます(笑)。

2番サビの歌詞①

全然好みじゃないのよ
君のその甘ったるい笑顔も 君の私を呼ぶかわいい声も
ついこないだまで私なんとも思わなかった
でも最近ちょっと変な感じなの

「恋する」作詞:宮崎朝子

彼の甘ったるい笑顔もかわいい声も全然好みじゃないとハッキリ言ってしまう主人公の女の子が、なんだか個人的に好感持てます(笑)。

しかし「ついこないだまで私なんとも思わなかった でも最近ちょっと変な感じなの」からわかるように、そういった彼の笑顔や声に対していつもの私じゃないような感覚を抱いてしまっている訳ですね。恋をしている時の絶妙にかゆいところが上手く表現されていますよね。

2番サビの歌詞②

君のその甘ったるい笑顔も 私を呼ぶかわいい声まで
今の私にとっては何よりの幸せで
でも少しずつ欲張りになってる 怖いくらい  

「恋する」作詞:宮崎朝子

自分の好みとは全然違っても好きになってしまったら、もうその人といる事が何よりの幸せですよね。「でも少しずつ欲張りになってる 怖いくらい」というフレーズ。恋ってだんだん欲が出てくるじゃないですか。もっともっと彼と居たいとか親しくなりたい近づきたいって。本当に「怖いくらい」という表現のように、ちょっと自分気持ち悪いかなってなるのが恋なんだと思います。

Bメロの歌詞

友達じゃなくなるくらいなら こんな気持ち捨ててしまおうって
この気持ち君に伝えるのは ちょっとリスク高いかも

「恋する」作詞:宮崎朝子

彼に気持ちを伝えたいけど、もし振られてしまったら”友達じゃなくなる”=彼と一緒に居られなくなる”というリスクがあると主人公の女の子は懸念しているようですね。彼と一緒に居ることができるなら、”こんな気持ち=彼を想う気持ち”なんて捨ててしまおうなんてすっごく切ないですよね。でも、恋が成就するには気持ちを伝えることを避けては通れないですよね…。

最後のサビの歌詞①

悪ふざけでもいいから 一度私のこの手を握って
「友達だなんて思ったことはない」とか言って見せてよ
一瞬でいいから
私のこと女の子だと思って接してみてよ  

「恋する」作詞:宮崎朝子

もうこの辺のフレーズは主人公の女の子の願望ですよね。彼からあわよくば告白されないかなっていう、待っている心理が見えてきます。

最後のサビの歌詞②

全然好みじゃないのになぜか君にドキドキするのは
きっと君が私の人生の中のイレギュラーだから
だから私 君のことが 癖になっちゃってんのかなあ
でも君は私の好みをもうとっくに知っちゃってるから
君は私が自分のことを好きだなんて一生気付かないよね
ああ バカな私
君を好きになるかもとか考えずに
なんであんなこと言っちゃったんだろう?

「恋する」作詞:宮崎朝子

一番のサビの繰り返しですが、後半の部分に「君を好きになるかもとか考えずに」が付け加えられています。個人的な疑問なんですが、彼に自分の好みを言ってしまったことを主人公の女の子は後悔しているようですが、彼に好みを言ってなかったとしても、結局好きな気持ちは彼に伝えなければ届かないじゃないですか。そう思うのは私だけでしょうか…。

まとめ

まさに「恋する」という曲名がぴったりですよね。恋してる女の子にとってとても刺さる一曲なのではないでしょうか。凄く主人公女の子を応援したくなりますよね。片想いって楽しいけど、苦しくもあるじゃないですか。そこら辺が上手く表現されているなと思います。

誰しも、見た目や性格に好みのタイプがあると思います。でも、この曲のように全然好みじゃないのに好きになってしまうこともあると思うんです。どうですか、皆さん全然好みじゃなかった人を後から好きになってしまった経験はありますか?恋の入り口はいつだってまさに”イレギュラー”ってことですよね(笑)。

この曲、実は6分もあって他の曲と比べてもかなり長くて聴きごたえがあるんですよね。出だしの演奏から歌い始めまで45秒くらいあるんですけど個人的にそこが好きで、勢いのあるドラムの音から始まって5秒くらいでジャジャンジャ、ジャジャンジャ、ジャジャンジャジャジャッというギターの音を4回繰り返します。そしてその後の、デェーンデェーンデデデデ デデデデというギターの音が聴いていて気持ちいいんですよね。この出だしのメロディーだけでも曲の転調があることが魅力なんです。伝わるかな(笑)。

他には、2番Aメロの「君に少し似てるあの俳優 君に惹かれてから少し好きになったよ」の”好きになったよ”ところで演奏が一瞬止まるんですよね。ライブで演奏している時に宮崎朝子がこの部分で右手を軽く上げるのがお決まりでそこがいいんですよね。

また、最後のサビの後もジャジャンジャ、ジャジャンジャ、ジャジャンジャジャジャッという演奏で終わるんですね。ライブバージョンだと「なんであんなこと言っちゃったんだろう?」の後に音源と違って2秒くらい間があくんです。そして最後の演奏につながるんですけど、そこが音に立体感があってカッコイイんです。

参考までにYouTubeに"SHISHAMO「恋する」 SHISHAMO NO BUDOKAN!!! 〜10YEARS THANK YOU〜 Ver."というライブ映像がありますので貼り付けておきます。

余談ですが「恋する」という曲「カルピス」という仮タイトルが付けられていたそうです。勝手にカルピスウォーターのCMソングをイメージして作ったそうです。SHISHAMOはカルピスウォーターのCMソングをやってみたかったそうで、実は他にも当てはまる楽曲があるそうです。そんなSHISHAMOですが、2018年に「水色の日々」と「ねぇ、」という曲でカルピスウォーターのCMソングを担当したんですよね。夢が叶ってしまってるのが本当にすごいですよね。

この「恋する」という曲は、ライブでは一番最後に披露されることが多いんですよね。ですが2020年の”SHISHAMO NO BEST ARENA!!!”や2023年のSHISHAMO NO BUDOKAN!!!~10YEARS THANK YOU〜では、ライブの一曲目に披露しており、いつも大事なタイミングでかかっている印象があります。SHISHAMOの3人にとってはもちろんですが、ファンにとっても大事な一曲になっているように思います。

そんなSHISHAMOの代表曲とも言える「恋する」是非聴いてみて下さい。

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