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慶應ロー受験体験記(ステートメントの書き方・解答用紙・当日の様子等)/2024年入学




はじめに

📍この記事が役に立ったと感じた方は、ぜひ「スキ」をお願いします📍
2023年9月12日午前10時に慶應ローの合格発表がありました。この記事はその約1時間後に公開したものになります。来年受験する予定の方の役に立てれば良いなと思い書きました。
答案として書いた内容については試験翌日の寝起きのベッドの上で何も見ずに書いたものなので、少し正確性に欠けるかもしれません。
感想を見ていただければ分かる通り、各科目にやらかしがあるのでおそらくボーダー付近での合格です。
※来年の今頃、合格発表直前になって不安になってnoteで検索してこの記事を覗きにくる方もいると思います。私自身も、試験直後は「合格したかな」と思っていましたが、受験後の10日間でTwitterで他の受験生の出来を見て自信を完全に喪失していました。そういう状況でも合格する可能性は十分にあるということを伝えるとともに、この記事がそんな合格発表前の不安を紛らわすものにもなれば良いなと考えています。
※2023年9月14日追記
おととしからの五年一貫型や開放型の導入により、一般選抜は枠を削られ、2021年入試以前の倍率2倍の時代は終わりを迎え、現在の倍率は3.5倍となっています。
また今年から予備論文が9月に行われるようになったため、慶應ローの入試が予備論文の1週間前に行われるという日程になりました。そのため、論文受験層が強度MAXの状態で参戦してくることとなり、合格ラインが上がっているとの指摘もあるようです。
したがって、来年以降の受験生は昨年や今年の情報を参照することが一般選抜入試の実態を把握する上で重要となってくると思われます。特に今年は争いが激しかったのか、例年ではあり得ない数の受験生(確認できるだけで他社のブログを合わせて5名)がnoteに再現を載せていらっしゃいますので、それらを比較して合格ラインの相場感を自分なりに掴んでおくことも重要になってくると思われます。

提出した書類の情報

慶應ローは書類の配点が全体の2割もあり、上三法1科目よりも比重が重いです。あまり差はつかないと思いますが、このnoteを読んだ方が少しでも相対的に高得点を取れるような情報(特にステートメントの型)を記載しておきます。

・GPA
3.1~3.3
・TOEIC
800前半
・推薦状
ゼミでお世話になっていた教授に執筆していただいたものを提出しました。
出願が始まる2週間前に自分の提出するステートメントを添付して依頼のメールを送りました。慶應ローは厳封指示がありませんが、自分としては中身を読みたくなかったので、厳封もお願いしました。

・ステートメント

必須記述欄(2頁全て埋めました)
主題
①〇〇についての問題意識とそれにもとづく活動
②△△についての問題意識とそれにもとづく活動
③□□についての問題意識とそれにもとづく活動
※受講した授業・ゼミ・課外活動等を記述します。
本文
①~③の前提として:私の将来のビジョン
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以下では、大学時代における学習活動がどのようにこのビジョンに結びつくのかを具体的に述べる。
①〇〇についての問題意識とそれにもとづく活動
〇〇という問題意識を持っていた。この問題意識は〜〜から生じたものである。そこで、〜〜という活動をして、〜〜を身につけた。それは、将来のビジョンに〜〜という点で結びつくと考える。
②△△についての問題意識とそれにもとづく活動
△△という問題意識を持っていた。この問題意識は〜〜から生じたものである。そこで、〜〜という活動をして、〜〜を身につけた。それは、将来のビジョンに〜〜という点で結びつくと考える。
③□□についての問題意識とそれにもとづく活動
□□という問題意識を持っていた。この問題意識は〜〜から生じたものである。そこで、〜〜という活動をして、〜〜を身につけた。それは、将来のビジョンに〜〜という点で結びつくと考える。これに関連して、ゼミの担当教授である××教授の推薦状を、私の上記能力を客観的に評価する「その他の資料」として提出する。
※推薦状やTOEICのスコアは「その他の書類」として提出しますが、その際にはステートメントにおいて関連性を明記する必要があります。
そこで、上記のように記述することをお勧めします。

任意記述欄(1頁埋めました)
慶應ローに入学したい理由なども書くといいと思います。
最後は、「以上の理由から、貴法科大学院への入学を強く希望する。」で締めくくると綺麗だと思います。

解答用紙について

憲法白 民法黄色 刑法赤
商法白 民訴黄色 刑訴赤
と、色で分けられているので気をつけましょう。表裏に2頁ずつ、全部で4頁あって、1頁30行です。行の幅が小さめなので、1行に書ける文字も司法試験の解答用紙より多い気がします。
※司法試験の解答用紙は1頁22行。
回収時に周囲の人の書いている分量が分かるのですが、上三法で3頁目まで突入するのは1科目だけの人がほとんどでした。3科目全て表で終わっている人もいました。
下三法はもっと時間がタイトなので、裏に突入している人は自分の周囲にはいませんでした。1.5頁~1.8頁くらいが多かったです。

試験会場の机や椅子

解答用紙がギリギリ入るくらいで縦幅が少し狭かったです。また、先頭から後ろにいくにつれて机と椅子がだんだんと高くなっていくので(大学はそういう教室多いですが)、気のせいか微妙に机が前に傾いている気がして午後の試験中ずっと気になっていました。椅子はクッションがなく硬いので、午前中の試験が終わった段階で屈伸運動などをした方が良いかと思われます。

試験当日の様子

9:30集合 上三法10:00~12:30 下三法14:10~16:10
8:30)起床 坂道ダッシュ+シャワー
9:05)出発
9:26)キャンパス付近到着
9:28)受験会場の建物の前に到着。受験生いないなと思っていたが、自分が遅いだけだった。
9:29)教室到着 経済的自由の基準選択だけ確認
9:32)自転車漕いで汗かいていたのでトイレで着替える
9:35)試験官入室
9:47)解答用紙・問題用紙・六法配布完了
10:00)試験開始
去年の過去問を見て時間が厳しそうだったので、時間配分を意識して臨みました。
10:01)氏名受験番号を3枚の解答用紙に書く
10:03)落丁等ないかチェック、3科目の問題をチラ見して、憲法「団体vs構成員」、民法「賃貸借」、刑法「正当防衛」だけ確認。憲法参照条文多くてクサいなと思いながらも、直感で書けそうと思ったため、憲法→民法→刑法の順で解こうと決める。
10:15)憲法答案構成完了
10:56)憲法完了
10:57)一旦水を飲んで背筋を伸ばして深呼吸。
50分で次行くつもりだったのにだいぶオーバーしてる、気をつけようと思い民法へ進む。(試験中の水分補給OKなので積極的に活用するべきだと思います)
11:07)民法設問1答案構成完了
11:35)設問1完了
11:39)設問2答案構成完了
よし設問2書くぞっていう段階で、残り50分でめちゃくちゃ焦ったが、民法終わってから焦ろうと思い答案作成に集中する。
11:52)設問2完了
11:53) 残り時間37分で焦りながらも一旦水を飲んで落ち着く。
この時点で刑法は設問1を完璧にしつつ、設問2を端的な認定で済まして大ダメージを防ぐプランで行こうと決める。
12:00)刑法設問1答案構成完了
12:20)設問1完了
12:30)設問2完了 試験終了
12:35)離席許可
12:37)問題用紙やメガネを鞄にしまい、ボールペンのインクを付け替え、試験中机に置いていた腕時計を身につけ外に出る。
買いに行く時間が勿体無いので昼ごはんは自分で朝調達しておくべきだと思います。ただ自分は当日の朝に余計なことを考えたくなかったのと、ご飯を買いに行くのがリフレッシュになるかなと思いあえて昼休みの時間にコンビニに行きました。
12:50) 少しキャンパスから離れた受験生がこなさそうなコンビニに到着
お腹が痛くなったのでコンビニのトイレで過ごす。受験会場のトイレと違って人っけもないのでゆっくりする。ここでAnkiのアプリを開いて下三法の論証を確認する
13:05) おにぎり3つとラムネ、飲むゼリーを買う
13:20) 試験会場に戻り、おにぎり2つを食べ、ラムネを半分ほど摂り、飲むゼリーも食す
13:40) 15分ほどAnkiで論証確認し、自分のお気に入りの音楽を聴いて気合いをいれる
13:45) 試験官入室
このときあり得ないほど眠くなってきたので、解答用紙が配られ始めてから試験開始3分前までずっと座ったまま目を閉じて寝ていました。カックンカックンしていて、試験官が解答用紙と問題用紙を置いていることにも気づいていなかったので、かなり印象は良くないと思います。態度が悪い受験生としてマークされていてもおかしくないと自分でも思っていました。普段の生活サイクルで昼寝をしている人は、昼休みで必ず寝ましょう。教室内は休み時間も静かなので、寝られると思います。
14:07) 4度寝か5度寝をし、やっと頭がスッキリしてスイッチが入る。寝てよかったと心から思った。
14:10) 試験開始
14:11) 氏名受験番号を3枚の解答用紙に書く
14:13) 落丁等ないかチェック、3科目の問題をチラ見して、商法「名義書換」、民訴「既判力・訴えの利益」、刑訴「訴因変更の要否」だけ確認。刑訴の問題数多いなと思いながらも、商法が典型問題そうだったので商法→民訴→刑訴で行こうと決める。午前中の反省を活かして、絶対に時間オーバーしないようにと意識する。
14:20) 商法設問1答案構成完了
14:45) 商法設問1完了
14:57) 商法設問2完了(時間がなかったので答案構成を1分で済まして書きました)
さっそく時間をオーバーしてししまったし、設問2満足に書けなかったと焦りながら水を飲み、民訴へ進む。
15:03) 民訴設問1答案構成完了
15:25) 民訴設問1完了
15:40) 民訴設問2完了(時間がなかったので答案構成を1分で済まして書きました)
15:41) 残り30分、本当なら40分残しておきたかったまずいと思いつつ、水を飲み、ページをめくって刑訴へ進む。
15:52) 刑訴設問1完了
16:04) 刑訴設問2完了
16:10) 刑訴設問3完了

自己評価

憲法B 民法B 刑法D 商法C 民訴B 刑訴B
各科目について、書いた分量と作成時間も記載しています。
※評価基準
A:他の科目のダメージをカバーできそうな程度に良好。ほぼ完璧。
B:良好。重要論点を6〜7割書いた。
C:並の回答。重要論点に触れているが、一部論証やあてはめ構成が曖昧。
D:平均以下の感触。平均的な受験生が書ける論点を落とした等。
E:不可。白紙に準ずる回答や、全くわからないなど。

憲法 B 2頁 53分

南九州税理士会事件に言及
私人間効力(間接適用説(三菱樹脂事件に言及)で構成し、協力義務のあてはめ。制約される構成員の人権は13条と29条を根拠にした。19条で書くべきかと思ったが、判例は政治信条に関係ある話だったから19条で、今回は単なる寄付だし13条でいいかなと考えた。参照条文は9割引用できた。年会費5000円と特別費100円の性質の対比、額、住民サービスを受けられないことの不利益の大きさ、認可団体の性質(7項8項9項だっけ)、正当な理由なく退入会を拒んではならない事情等を書いた。ただ焦りすぎて「目的の範囲内」の検討から入るのを忘れてしまい、いきなり本決定が構成員の人権を制約するものとして公序良俗違反になるかの検討に入っている。
●感想
良い点:あてはめで全ての条文を引用できた。判例に言及できた。公序良俗違反かで検討できた(目的手段審査を使用しなかった)。
悪い点:「目的の範囲内」の検討をしていない、19条で書いていない
あてはめで書き負けていない自信があるので、自己評価はBとした。

民法 B 2.3頁 55分

設問1
Bによる借借31の抗弁を書いた(そこでDへの賃貸人たる地位の移転について言及)
一応Cの反論も同様みたいなこと書いたけど、CとD直接の賃貸借関係にないしみたいなこと書いた(613条ごにょごにょ)
・Bの転貸が信頼関係を破壊するといえるか
→スポーツバーとスポーツショップの共通性、賃料の額の差、Bさんの妻の云々?(忘れました)の事情をフルに使い、破壊されていない。ただ、「ただ、BがAに対して無断である点に重きを置くと、やはり破壊されているともいえる。しかし、、、」として以下につなげていった。
・Aの解除権がDに承継されるか
→されない
・だとしてもDに独自の解除権が発生するか
→DはAとの契約時に甲5階においてスポーツバーを経営していることを知っていたため、新たに信頼関係が破壊するほどの事情があったとはいえないとして否定
設問2
CはBに対して必要費償還できる
CはDに対しては必要費償還請求できない(直接の法律関係になく、613条1項は転借人の義務の範囲を定めただけ)
CはDに対して不当利得 利益損害◯因果◯
ただDはBから費用償還請求されうるから、法律上の原因なくとはいえず、対価関係なくとは言えず請求×(転用物訴権への理解を示す)
そこで、CはDに対して、BのCに対する必要費償還請求権を被保全債権として債権者代位 金銭債権だから直接請求(423の3)◯
●感想
設問1では甲4階と甲5階が別個の賃貸借契約だから全部解除できない?というのも一応論点だったらしいが、これに関しては他の受験生もほとんど書いていないと予想されるので相対的な評価に影響しないと思われる。設問2は債権者代位まで完璧に書けたので相対的に浮いていると考えている。もっとも、信頼関係破壊の法理の論証をかなり薄く書いてしまったこと、設問2で必要費の該当性を検討せずに条文だけ示してしまったことはよくないと考えられる。よって自己評価はBとした。

刑法 D 1.7頁 37分

設問1
殺人罪 正当防衛(急迫不正侵害なし) 責任故意阻却されない 36条2項
設問2
殺人罪◯ 窃盗罪×(死者の占有あるけど、利用処分意思なし)占有離脱物横領罪◯
●感想
設問2を残した段階で残り10分だったのですごく焦った。
設問1はほぼほぼ完璧に書けた。ただ減軽のみ許されることを書いたものの36条2項準用とは書けなかった。設問1は平均的な受験生は書いてくると思われるし、刑法が得意な人は刑法から解くと思われるので、相対的に考えて自己評価はC-Dである。設問2は時間がなさすぎて12行くらいで書いた。器物損壊罪を書いていない。キャッシュカードの財物性ももちろん書いていない。占有離脱物横領罪は書けたのでそこだけが救い。ただ本当に酷くて、具体的には、「死者の占有は殺害した者との関係では、殺害と窃盗の間に時間的場所的接着性があれば占有があるところ、本件ではそれがあり、占有がある。また、不法領得の意思の中でも、利用処分意思がない。」などと本来は検討しなければいけないところをものすごい端的な薄い認定で終わらしている。試験終わった瞬間にやらかしたと思った。そのため、設問2はD評価とした。よって全体の自己評価はDとした。

商法 C 1.8頁 44分

設問1
問題文に条文を参照してとあったので、145、133、134、136、2条17号などとにかく丁寧にあてはめた。Fが取得者であるとして、会社が名義書き換え請求に応じる義務があるかも検討。会社の資金がないという事情は承認擬制があったせいで上記条文のあてはめ段階では使えなかったので、応じる義務があるかの検討で使用。応じる義務があるとした。
設問2
招集通知違反、特別利害関係人(831Ⅰ③)を書いた
●感想
設問1は145に反応した人がどれくらいいるか。書けてない人もいるっぽいが、多くの受験生はかけていそう。予備の過去問平成25年とかだっけにあったからそこで覚えてた。
設問2 A,Bが特別利害関係人にあたるとしてしまった。痛恨のミス。剰余金配当での不当利得云々は全く書けなかった。(これ書く必要あるの?)また裁量棄却は書いた方がいいのはわかっていたが、時間が押していたので書かなかった。相対的に沈んでいると思われる。設問1をしっかりかけていること、設問2で招集通知違反をかけていることは良好、ただ設問2で裁量棄却や剰余金配当決議について全く触れていないこと、特別利害関係人を認定してしまっていることがダメージになり、総合評価はCと考える。

民事訴訟法 B 2.1頁 45分

設問1
(1)同一矛盾先決ではない、遮断されない◯
(2)争点効否定→信義則で遮断される◯
設問2
請求適格と事前請求の必要性で判断
請求適格 既にYが占有、請求権発生の基礎となる事実関係が存在
事前請求の必要性 義務者の態度はYが交渉に応じていないこと、給付の目的性質は金銭債務であることを書いた。訴えの利益ありとした。
●感想
多くの受験生ができている気がする。設問1(1)では既判力の趣旨、正当化根拠の大原則から書けたし、(2)も争点効を否定して信義則で切るという完璧な答案をかけた。設問1は迷いなきA(どころかA+)だと思われる。ただ設問2は請求適格の認定で大阪空港の規範を書かないといけないにもかかわらず、事実関係が既に存在しているとしてしまったのでここは理解不足と思われそう。もっとも義務者の態度の事情(Yが交渉に応じず帰ってしまった等)はしっかり使えた。過去の合格者再現を見ていると、大阪空港の規範を書かなくていい請求なのに書いている答案もあったので、ここは請求適格が問題になることを最低限かけていればいいのではないかと思い、設問2はCとした。よって総合評価はBとした。なお、口頭弁論終結前後で切り分けなかったというミスもあるが、これに関しては周りも書けていない人がほとんどっぽいので相対的な評価に影響しないいと思われる。

刑事訴訟法 B 1.7頁 30分

設問1(1)◯(2)◯(第一要件にあたるとした。理解を示すために、当たらないとしても第二要件にあたるとも書いた。嘱託殺人と殺人罪の条文を引用して、法定刑や行為態様に差があることなども書いた。訴因変更が必要とした。)
設問2◯(縮小事実、公訴事実が心証の事実を包摂している関係にあるから既に主張立証されていたと見ることができる、第二要件あたるも例外要件に該当し、訴因変更不要とした。不利益にならないことのあてはめとして、刑法63条も引用しました。)
設問3△(最後の最後で6分しかなかった。いきなり公訴事実の同一性ってなんだよ、ふざけるなと思った。とにかく時間がないので、事実に共通性があるかだけあてはめして公訴事実同一性ありとした、三段論法を崩したのでほとんど点は入らないと予想)
●感想
訴因変更の要否はみんな書けるだろうなと思いましたが、意外と判断基準を導く設問1(1)で識別機能告知機能の説明をしっかりできていない人がいるのではないかと感じた。
縮小認定もしっかりかけたので、設問1、2はA、設問3は可否の判断基準を書けなかったのでD、配点が1:1:1と考え、総合評価はBとした。

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