想像よりも、人生はかんたんに変わる


人生が、目まぐるしく変わっていく。

高校を卒業して入った学校は、介護の専門学校だった。介護士として8年勤めたあと建築士になり、退職をして現在はフリーライターになっている。

方向転換が急すぎる。
高校生のころはもちろん、1年前でさえ、いまの自分は見えていなかった。
「きっと 想像した以上に 騒がしい未来が僕を待ってる」と歌っていたのはスピッツだけど、いくらなんでも騒がしすぎるんじゃないかと思う。


「運も実力のうち」という言葉を信じるなら、わたしはものすごい実力の持ち主である。「ちから」も「かしこさ」もひくいのに、「うんのよさ」だけが異様に高い。こういうステータスのやつ、どっかにいるなと思ったらドラクエの「遊び人」だった。まったく、本質を見抜かれている。
いま、わたしがこうして生きているのは、数多くの偶然と、いい出会いに恵まれたからだ。

2017年の秋にブログを始めた。
ブログを始めたきっかけは、前年にあるイベントで出会った友人との出会いだ。
「私ライターになりたいんスよ」なんて言っていたOLさんは、年末にメディアで賞を取り、半年後には会社を辞めてフリーライターとして活躍していた。

当時のわたしははブラックな中小企業で働く会社員。彼女に、特別なにかをしてもらったわけじゃない。
でも、もっと「たのしいこと」「おもしろいこと」をしたい。書きたい。
そういう気持ちが芽生えてきたのは、まちがいなく彼女の姿を見たからだ。
やりたいことをやって、生き生きとしている姿はカッコよかった。

ただ、30歳をとうに過ぎ、夢を見る時間は終わっている。
現実的になかなか時間も取れないなかで、ほんとうにそんなことができるのだろうか?
そんな自分を納得させるために、1年の時間を要した。


翌年。いざ書き始めると、たまたま有名サイトの投稿コーナーに続けて載ったことで、CRAZY STUDY(クレスタ)に声をかけてもらった。

そこからサンポーをはじめ、多くのメディアの方々からお声をかけていただいた。あたらしい媒体で書くことで、そこで見つけていただいて次のお仕事が決まっていく。
友達のライターの担当編集さんが、「なんかへんなやつがいるな」と気付いてくれたこともあれば、ほかの媒体に推薦していただけることもあった。

人生を変えた出会いが多すぎる。
「どうやったらライターになれますか?」なんてたまに聞かれるけども、そんなことを言われてもわからない。
ほんとうに、いいご縁に恵まれたのと、ただ運がよかったからだ。
きっと、だれかひとりにでも出会わなかったなら、ライターとしてやっていくことはできなかっただろう。


ただ、実力以上に評価をいただいているなぁ、と感じることがある。
周囲のライターさんの文章や、時にはnoteを読んで「うわ、こんなん書けねぇよ……」と、ため息を漏らすこともある。
わたしよりも実力のある人が、ごろごろいるのだ。

「本来ここにいるべきなのは自分ではなく、この人なのかもしれない」なんて、そんなことを思う。出会いに恵まれただけの、「うんのよさ」だけで生きてきた自分が、急に恥ずかしくなってしまう。
壁に当たって、「もう二度と文章なんか書けないかもしれない」と思うときもある。用意されたステージに、実力が追い付いていない。

他の方みたいな、人の心を揺さぶる、魂に訴えかけるような文章が、わたしには書けているのだろうか。そんなことを思うと、不安で胸がいっぱいになってしまう。


でも、「人生を変えた出会い」って大きなものではなくても、もっとたくさんあるはずだ。
たとえば、誰かの書いたnoteを見て「今晩は餃子にしようかな」なんておもうことが、あるでしょう。
わたしの夕食はその人によって変わったのだ。あのnoteを見なければ、この夜、あのおいしい餃子に出会うことはなかったはずだ。
今晩の夕食だって、わたしの人生の一部のはずだろう。たとえ規模はちいさくたって、これだって「人生を変えた出会い」なんじゃないか。

ついつい不安になったとき。
そんなことを思い出しながら、わたしは今日も文章を書いている。

大それたことは望んでいない。でも、自分の文章を読んでくれたひとの人生が、ちょっとだけたのしく、いい方向に転がってくれたらいいな、なんて。

たとえ魂を揺さぶることができなくたって。
ひとの人生はほんのちいさなことで、かんたんに変わっていくものなのだから。

わたしにだって、あなたにだって。きっとだれかの人生はちょっとだけ、いい方向に動かせるはずなんだ。


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