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キミとの、はじめての


デートの定義が、わからない。

いや、わかっている。最愛のひととふたりで出掛けること、であろう。
わたしは異性愛者なので、必然的にお付き合いをしている女性との外出を指す。じゃあ、付き合っていない場合はどうなる?

女性の友人と一緒に出かけて、「わーい、デート~!」と軽く言うようなひともいる。わたしにはちょっと、理解ができない。
いや、それがわるいと言うつもりもなければ、非難をしているわけでもない。ただ、理解ができないのだ。


わたしは友達に、区別を設けていない。性別も年齢も、いっさい興味がない。男性であれ、女性であれ、ひととしてすきなひとは、みんなすきだし、たいせつにしたいとおもう。

青年期において、ジェンダーに悩む友人がいた、とか、バイセクシュアルの友人が身近にいた、というのも大きいかもしれない。
そして、これは今後書くつもりでいるが、わたしは二十歳のころ、女友達と同居をしていた時期がある。
もちろん、関係を持つことはなかったし、同居人に性的な興奮を抱くことすらなかった。ただ、お互いがお互いをひととしてすきだったことと、相手に恋愛感情を抱くことがないと理解していたこと、現実的な利益が一致したから住んでいただけだ。
この認識は確実に一般的な理解が得られないであろう、ということはわかっていたので、あえて周囲に言うことはしなかったが、わたしにとっては「ふつう」のことだった。

こんな次第であるから、男友達とふたりで出掛けることもあれば、相手が女友達のこともある。そこに差を、見い出せない。だれか、ちがいをおしえてくれ。そりゃあ恋愛もへたくそだというものだ。

なので初デート、と言っていいのかわからないが、初めて女性とふたりで出掛けたのは、高2の冬だったかとおもう。


合コンというつもりはなかったが、わたしと友人3名と、ひとつ年下の後輩女子、その友人3名の、男女8名でカラオケに行ったことがあった。
そこで出会った後輩の中学時代の友達の子と、とても気が合ったのだ。すきなバンドや曲、マンガから、テンションのたかさまで一緒だった。
後輩からは「先輩、ぜったいあの子と気が合いますよ」と言われていた。そのとおりだった。

メルアド(!)を交換し、その後もよく授業中にメールをしていた。うれしいことに、彼女からよくメールが来たのだ。授業がだるい、バイトがめんどい、テストが憂鬱……そんなどうでもいいことばかりをやりとりしていた。

ある日、「すきなアニメのOPを歌っているバンド」のチケットが手に入った。2人まで無料で入れるやつだ。このアニメは、たしかあの子もすきだったはず。誘うのには、すこしだけ勇気がいった気がする。返事は、OKだった。


はじめての「デート」はたのしかった。たしか、クリスマスの時期だったとおもう。
会場がお台場のzepp東京だったこと、ライブ前に会場そばのゲームセンターで遊んだこと、「プリクラを撮ろうよ!」と言われて2人で撮ったこと、クレープを食べたこと、観覧車に乗ろうと誘われて、なんか恥ずかしくてやめたことを覚えている。
社会人になって、引越しの荷造りをしていたときに、ふとこのときのプリクラが出てきた。あの子がちょっとだけ、がんばっておしゃれをしてきていたことに気付いたのは、そのときだった。

ライブはたのしかった。盛り上がったし、2人で「来てよかったー!」とさんざん話した。そのまま、帰りに夕食を食べよう、という話になったが、お台場の地理がわからず、新宿で食べることにした。


まだスマホのない時代、ケータイから、ようやくインターネットにつながるようになったころだ。高校生が行ったことのない場所に、なにがあるのかを知るのはむずかしかった。
新宿に行けば、なにかあるだろうと軽くかんがえていたわたしはおどろいた。新宿って、こんなになにもないところだっけ?だんだん時間も遅くなり、焦るわたしの前に現れたのは、とある牛丼チェーンだった。地元の友達と、よく行った、安心の味。

「ここでいいかな?」そう言って、入るわたし。ついてくる彼女。あそこでなにを話したのかは、ふしぎなほどまったく覚えていない。

「先輩、だめだよー!」次の日、学校で後輩におこられた。
その子とは、その後も遊ぶ機会があったが、わたしの記憶にある彼女のかっこうは、あの日とはちがっていた気がする。結局、わたしと彼女は友達のまま、いつのまにか縁が途切れていた。

あの日、もう少し「デート」だとおもって行動していたら、もしかしたら、もうすこしちがった未来があったのかもしれない。そんなことを、このタグを見て思い出したのだ。
ほんと、わたしはつくづく、恋愛には向いていない。


#エッセイ #日記 #コミュニケーション #人間関係 #ファーストデートの思い出

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