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小説家はAIに駆逐されるかもしれない


この21世紀、つとに囁かれるようになったこととして「AIに職を奪われる」なんてものがある

具体的な職種はともかく、単純な作業や計算を介した労働はむこう数十年のうちにAIに淘汰されるらしい

一方でその確率が低いのは芸術系などの創造的な活動だとか

へえ、ふーん

つまり、僕ら小説家(志望)には関係ないようですね

なんて・・・・・・

本当にそうだろうか?

「売れる」には再現性がある


そもそも芸術活動は答えのない分野であるので、どんなにAIが優秀であっても、そもそも「完璧」を生み出せない

たとえすべての言語によるすべての可能な文字列がシュミレートできたとして、その中にカフカやドストエフスキーと全く同じ文字の羅列が生まれたとして、そんなパターンから人間は意味のある文字列を拾い上げられない

だから少なくとも小説家にとっては、AIは商売敵ではない

なんてことにはならないだろう

たしかにAIは「小説家」にはなれないと思う

しかし、そもそもAIは「小説家」になる必要なんてない

なぜなら「小説家」は金を生み出さないからだ

金を生み出すのは、あくまで小説である

まとまりを持った文字の羅列である

妙な話だが、小説を売るのに「小説家」は必ずしも必要ではないのだ

売れる文字の羅列体さえあれば良くて、今の所それを生み出す専門の技術に秀でたものが小説家と定義されているにすぎない

きめ細やかな情緒を感じ取り、繊細な表現に書き起こす――それこそ「小説家」の仕事だと思いたいけれど、べつに売れりゃ何だっていいのである。資本主義の世界では

そしてAIは「売れる」を察知する能力は凄まじい

どんなジャンルが売れるのか? どんな表現が好まれるのか? どんなキャラクター造形がヒットに繋がるか?

この辺りの分析は、人間ではすでにAIに敵わない

あとは適当な人間がAIのはじき出した要点に沿って文章にまとめれば、たぶん「売れる」

言語と表現を愛する「小説家」は不在のままで小説は作れる


小説家はサラリーマンになるのか

まあそんな事を言っても、今すぐAIが小説家を駆逐するわけじゃないだろう

ただ、自分の感性よりもAIのデータを基に小説を書くほうが売れる時代はきっとくると思う

もしかすると小説家は企業に雇用されてAIの言われたとおりに文字を組み上げることが仕事のサラリーマンになるかもしれない

AIと編集に命じられたとおりのものを書く日々

なんていうのはSF好きが主張しすぎているだろうか……

仮にそんな時が来たとして、自分は小説を書き続けられるだろうか

これは一種の思考実験かもしれない

あなたは小説を書きたいのか? それとも小説を売りたいのか?

僕はどっちの側につこうか

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