23歳の夏、フランスで無職になりました。 ③

スケボー仲間の一言を改めて考えていました。
『自分の好きなことはなんだろう』

そんな時です。

お母さんから「 Aくんが亡くなったよ」

(え、、、、、、?)

Aくんとは昔からお世話になっているおじさんです。(くんだけど、おじさんです)
おしゃべり好きで、めちゃくちゃ元気。
だけど、長年ガンの闘病生活をしていました。

そんなAくんですが、料理にドハマリしており、退院の機会があれば、わたしの家に来て、ご飯を作りデザートも作ってくれる。それがとっても美味しい

私はAくんから教わったことがたくさんあります。

「親は好き嫌いをせずに食べなさいとか言うよね?どうしてお母さんやお父さんはなんでも食べれると思う?」

「そりゃあ、大人になれば、なんでも食べれるんだよ!」

「違うんだよ。お母さんは自分の嫌いなものを食卓に出さないからだよ。」

(えーーーーーーーーーっ!大人ずるっ!!)

子供ながらに大人のあくどさを知った瞬間でした。

そんなある日、Aくんが イチゴのババロアを作ってくれました。
私は生粋のいちご嫌い。
Aくんが食べてみ?と言うのです。
恐る恐る食べました。

めちゃくちゃうまいやん!!

初めてイチゴを食べられた瞬間でした。

そんなAくんの突然のお知らせに、私は硬直しました。

お母さんが、これAくんからと、渡してくれたものがあります。

『分厚いファイル三冊』

そこには、Aくんの手書きでたくさんのレシピが書いてありました。しょうゆが結婚したらと残してくれたそうです。

自分は管でしか食べれなかったAくん、一番食べたいと願っていたのではないでしょうか。
それでも、人を喜ばせるAくんの姿がかっこいい。

食の大切さと人のために生きるかっこよさ

を教えてもらった気がします。

昔からお菓子が大好きなこともあり、誕生日には家族にケーキを作っていました。
小学校のときに書いた将来の夢。

『お菓子で人を笑顔にしたい』

Aくんのように、人のためにお菓子を作りたい。
お菓子をもっと本格的に学びたい。

そうして私は『パティシエを目指そう』と心に決めたのです。(続く、、、)

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