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言ってしまえ。

例えばSNSで「あ〜〜、一億円落ちてないかな〜」とか「南の島に行って何も考えずにダラダラした〜〜い」なんてことを書いている人を見ることがある。
なぜだか、そうすることを自らに禁止していた。そうやって規格外の願望をネット上に吐き出すと、それは"絶対起こらないこと"になってしまうのではないか、なんて考えていたからだ。
そもそもそんなアホみたいな欲望を吐露したところで得るものは(おそらく)無いし、「こいつは毎秒こんなアホなことを考え、そのアホなことをネット上に垂れ流すような残念なアホ思考を持つ救いようのないアホなのであろうな」なんてことをフォロワー各位に思われるのではないか、という不安もある。
やはりアホとは思われたくない。出来ることなら賢く、聡明な人間だと思われたい。本質的にそうでなくとも、ネット上でくらいは自分をそう演出することが可能なのではないか。『能ある鷹は爪を隠す』と言うが、『能ない鷹も爪を隠す』という技があるかもしれない。
誰も傷つけず、自分も傷つかないような、そんな誰にも踏み込ませない、踏み込みもしない絶対領域を確保することで取り繕うことが出来るのではないかと。

しかし、欲望というのもひとつの自己表現なのではないか、と考えてみた。
「一億円欲しい」なんていうアホ丸出しのセンテンスは、「ははぁ。この御仁はとにかくお金を欲しているのだな」という認識を与えることが出来る。
じゃあ例えばそいつがなにか特別な才能を持っていて、そこに対価を支払える環境があったとしたら、そして自分がそこに対価を支払いたいという意志があるとしたら。
迷わずお金を支払うだろう。一億円は無理だとしても。出来る限りの貢献をしたいと思うものなのだ。

インターネットがとてつもない情報量と可能性を秘めたものになった近年、こういう言動や行動がむしろ必要なのかもしれない。
大声で自分の欲を吐き出すことは、何かにつながるかもしれない、とふと思ったのである。そしてその"つながり"は、「こいつはアホであるなあ」と誰かに思われることなんてどうでも良くなるくらい素晴らしいものになるのかもしれない。

だから能もないし鷹でもない自分なりに、爪を露わにしてしまおうと思う。


あーー、一億円落ちてないかな〜。

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