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「#保育士さんありがとう」に見るTwitter拡散の構造について

こんばんは。金清(@KYP_1223)です。

連日、相変わらず交通事故関連のニュースがネットに、TVに飛び交う日々だが、大津市の事故に関して、どうしても取り上げて向き合いたいことがあり、このnoteを書いている。

事故が発生したのは2019/5/8 午前11時頃(当時のニュース)、このニュースの翌日、イラストエッセイストである犬山紙子さんのTwitterアカウントから以下のような投稿がなされた。

この投稿はもちろん、この動きをマキシマムホルモンのTwitter公式アカウントNPO法人フローレンス代表 駒崎弘樹氏のアカウントが共感し、ハッシュタグ付の投稿を行う事で大きく拡散していた。

この一連の流れは、人の共感の伝達とはどのようになされるのか?を考えるうえでしっかりと捉え、振り返らなければならない事例だと筆者は思う。なぜそう思うのか?その理由はこの事故についてリスニングして見た結果にある。

"#保育士さんありがとう"登場前にはバズらなかった当事故

まず、こちら本事故そのもののTweet volumeのグラフである。

Keywords: "大津園児事故" "大津園児" “大津事故" "#大津園児事故" "#大津園児" “#大津事故" "#保育士さんありがとう"
Total volume: 418,684

先述の通り、"#保育士さんありがとう"は5/9に投稿されたものなので、上記キーワードから抽出したグラフであることを踏まえ、当事故のソーシャル上の盛り上がりは、"#保育士さんありがとう"が大きなドライバーになった事が伺える。

5/8の事件発生直後に人々はこの事故の痛ましさ、やり切れなさを呟かなかったのか?そんな事はない。この事故に関して、そしてその日の昼に放送された会見の内容についての批判、嘆き、怒りなど様々な思いがTweetとして発信されている。

しかし、一部の投稿を除き、その思いは多くのユーザーに拡散されてはいない。これが5月8日時点での状況であった。この、あまり多くの人に拡散されず、世に大きく広まり切らなかった思いを集結し、あらゆる人々の広めたい、届けたいという思いに昇華させたハッシュタグが"#保育士さんありがとう"であったのだ、と筆者は考えている。

拡散する投稿とは、編集(キュレーション)された課題提起である。

ここで、投稿がリツイートされる(拡散される)とはなんなのか?について考えてみる。

共感、では無いと思う。共感をする、程度であれば"いいね!"という機能があり、その程度のモチベーションであれば"いいね!"は押されるが拡散をしてもっと色々な人々に届けたい、という思いには昇華しないであろう。

そこでリツイート(拡散)の意味であるが、こう考えるとポイントは"その言葉(ツイート)に、世の中に発信すべき新しい価値、発想、思想があるか"という点に行き着くのでは無いだろうか?

一見当たり前のように見えるが、これを実現できる人は、世の中に"How?(どうやって?)"を提示する人ではなく、"Why?(なぜ?)"を問う力のある人であると思う。まさに、書籍である"問い続ける力"が提唱するように。

世の中にデジタルが溢れ、様々な事象を定量的に整理し、筋道を作る事ができるようになった今、本当に世の中に必要とされ、支持され、広められる声や行動というのは、世の中の定義され尽くした課題に対して、新たな視点で課題を作ることなのではないだろうか?


毎日のように起こる事件、事故、そしてそれらに連なる思い、これらを思いのままに留めず、世の中の声にするにはTweetのひとつだけで良い。その一言が、世の中を少しでも変えていくための、新しい道筋を示す旗となる事が重要なのである。


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