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cheer for "SELECTION PROJECT" #16 セレプロアニメ第12話「あなたに届けたい想い」感想

「俺が果たせなかった分も、彼女たちの夢にエールを送ってあげられるように」

路上での活動が認められて「SELECTION PROJECT」に復帰した「9-tie」。
最終審査の突破条件は200万エールを獲得すること。
プロデビューを賭けたファイナルライブの幕が上がる。

ということでセレプロアニメ第12話の感想です。

※記事中の画像はSELECTION PROJECT公式サイトより引用しています。
※ややこしくならないよう劇中のオーディションは「SELECTION PROJECT」、現実のコンテンツ全般は「セレプロ」表記にしています。

お品書き

1.第12話の見どころ

①許されたスミパンダ先輩
②実際のライブでもMC長いとダレるよね
③鈴音ー!!!!はやくきてくれーっ!!!!

2.独りじゃない

ついに迎えたファイナルライブ当日の朝。9人は各々調整を行っていた。
海辺をランニングしていた玲那は発声練習をしている鈴音を見つける。
二人の服装は既に秋物になっているが、第10話で玲那が「9-tie」に復帰したのが10月3日だったので、おそらく10月中旬以降にはなっているだろう。

まるで全力疾走でもしたかのような鈴音の汗

挨拶がてら早朝の雑談をする二人だったが鈴音の様子がおかしい。激しい運動をしたわけでもないのに大量の汗とふらつき。玲那は心配そうな表情で部屋に戻る鈴音を見送る。

「GAPsCAPs」の三人はスタイリストに改めて協力をお願いしていた。1次予選や2次予選で彼女たちがプロ並みのビジュアルでライブを行えたのも裏方のスタッフの力が相当に大きかったのだろう。
詩は母親に持たせられたというお土産(仙台銘菓のアレ)を差し出す。ここで驚きなのはスタイリストたちも詩のことを「先生」と呼んでいたことだ。スミパンダやサニーさん以外のスタッフとのやり取りはほとんど描写されていないが、きっとスタッフとも良好な関係を築いていたと思われる。

「Splasoda°」のうるさい方広海と凪咲はここに至るまでの想いを打ち明ける。軽口を交わす互いの表情はまさしく戦友のそれだ。特に1次審査では方向性の違いから激しくぶつかった二人なだけに、こうして気が置けない関係になっているのは感慨深いものがある。
片やうるさくない方逢生と野土香は例によって間食タイムである。住んでいる土地も年齢もバラバラな9人が出会った偶然について話す二人。細かい描写だが、普段真っ先に食べ物を口に運ぶ野土香がまずは逢生にお菓子を渡している。もう他人ではない仲間だから自然にそういった気配りをするようになったのだろう。

ライブを楽しむ余裕すら感じさせる逢生と野土香

メイクルーム入りのスケジュールが決まっているにも関わらず集合するのが待ちきれない様子の逢生。それを見ていた玲那も珍しくそわそわとした様子で鈴音の部屋を訪れる。
が、外から声をかけても返事は無い。不審に思いドアを開けると、そこには苦しそうな表情で倒れている鈴音の姿が――!(ここの迫真すぎるBGMはサントラDISC2のTr28「Emergency」)

©2012, 2020 SANRIO CO., LTD.  SHOWBYROCK!!製作委員会M

音楽アニメの主人公はファイナルライブ前に倒れなきゃならない不文律でもあるのか…?

救急車で運ばれる鈴音は朦朧とした意識の中で歌いたいと訴えているが、とてもそんな状態ではない。玲那は鈴音に付き添うことをサニーさんに直訴し救急車に同乗する。

当然この出来事は他の7人にもすぐさま伝えられた。鈴音の心臓移植の件を知っている彼女たちに広がる動揺。

鈴音の容態を心配する広海と凪咲

セレクションスタジオにいるジュンは病院に着いたサニーさん(社長)と連絡を取り合っていた。鈴音が倒れたのは過労が原因らしく、命に関わるようなことではなかったようだ。ジュンの声にも少しだけ安堵の色が混じっていた。
しかし深刻な問題としてライブの開演時間が目前に迫っている。ジュンは延期を提案するが、サニーさんは鈴音の歌いたいという望みを尊重したい旨を話す。
とはいえ意識を失った鈴音がライブ前に目を覚ます保証は無い。弱気になるサニーさんを力強い言葉で励ますジュン。この二人もなかなか付き合いが長そうというか、お互いの立場について理解し合えている関係のようだ。
ひとまず「Suzu☆Rena」抜きでのスケジュール開始を告げるジュン。鈴音は間に合うのだろうか?

スタッフからライブ前の説明を受ける「GAPsCAPs」

3.タイムアップ

鈴音が運び込まれた病院の廊下で話し込む玲那と鈴音の母。鈴音の母が言うには「鈴音はブレーキのかけ方を知らない」とのことだが、玲那にも思い当たるところがあるらしい。

鈴音の病室に残るサニーさんは鈴音に何やら語りかけているようだ。玲那はその真意を尋ねる。
玲那にとっては初めて聞く事実だが、サニーさんは自らが「PRODUCTION SELECT」の社長であることを明かす。

しかも、サニーさんは天沢灯のプロデューサーだったというのである。灯が事故に遭った日、自宅まで送らなかったことをずっと悔やんでいて、それが社長業の傍らにセレクションスタジオの女将を務める動機になっていた。アイドルを目指す少女たちを一番近くで見守るために――。
2次審査の時に話していたおしるこジュンの追っかけというのも嘘と言うわけではなく、偶然いまの形に収まったということなのだろう。

鈴音にライブ開始のアラームは聞こえているのか

一方、ライブスタジオでは「Splasoda°」のライブが始まった。ここからはMCで時間稼ぎをしつつ鈴音の帰還を待つ作戦である。
自分たちが一度オーディションを辞退したことについて謝罪しつつ、野土香のネタ振りで好きな食べ物は何かというベタ過ぎる会話を始める4人。ここで逢生の暴露により凪咲の好きなものがカツ丼や牛丼などのガッツリ系であることが判明する

続いて「GAPsCAPs」のライブとMC。話題は詩が子役としてデビューした映画について。まこも内心相当に焦りがあるはずだが、それを全く表に出さない度胸はさすがのマーマといったところか。
そして話題はお互いの生い立ちなどに移っていくが、ついにその時は訪れた。

玲那は、亡き姉に鈴音の力になってほしいと祈る。

しかし、時間切れ、である。

4.足あと

ステージには「Suzu☆Rena」を除く7人が立っていた。これ以上はMCで場をつなぐことができないため、「9-tie」のリーダーである広海が視聴者へ状況を説明する手はずになっていた。
はずだった。

しかしそこで響き渡るスミパンダの声。きぐるみを着ていないため影ナレ状態になっているが、彼はなんとメンバーにも知らせず秘蔵映像を用意していたのだ。
その内容とはこれまでのオーディションの裏側を収めたもの。というかオーディションどころか10代少女たちの寮生活まで録画されてしまっているが、ここでまさかのリアリティー要素復活である。

寮で過ごす初めての夜。その日初めて会った自分以外の候補者とのぎこちないやり取り。特に初期玲那のツンツン度合いが懐かしさを通り越して別人レベルである。

1次審査はライブの順番が決まっていなかったため最初は誰しもが尻込みしてしまうところだが、迷わず先陣を切った「Suzu☆Rena」。
2次審査では鈴音が抱えていた問題を解決するため自ら動いた玲那と、それを支えた「ライバルたち」。夜ふかしサミットなどで折り合いの悪そうだった凪咲でさえ「玲那ちゃん大好き!」と抱き着くほど仲が深まっていた。

いまステージにいる7人にとって鈴音と玲那の存在はとても大きいものだった。
「Splasoda°」が仲たがいしそうになっていた時には鈴音が、「GAPsCAPs」が迷っていた時には玲那が、それとなく助けになっていたというのもある。

何より9人の誰も欠けてほしくないという想いが「9-tie」をここまで導いてきたのだ。
7人は画面の向こうにいる鈴音に呼びかける。
まだ誰も、諦めていない――!

EDにて白い花を後ろ手に持ち海辺に佇む少女。
彼女が向かった先は自分の想いを継いだ者の夢枕。
天沢灯が、鈴音に届ける言葉とは。

山鹿家の馬は風雲再起か何か?