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【マッチレビュー・ブログ】試合の締め方に見えた進歩 2019年J1リーグ第26節 川崎フロンターレ×ジュビロ磐田

syuです。
今節も振り返りやっていきます。
※磐田の32番の選手が中村と表記されてますが、正しくは中山選手です。失礼致しました。

前節の振り返りはコチラ

【スタメン】

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【前半】切り替えの差が分かれ目

4-4-2同士の対戦は、お互いに強度の高い守備で相手の自由を奪いに行く。
開始3分の磐田の中村のシュートは高い位置からプレスをかけてミスを誘発させたところから始まった。勿論、ルキアンのキープ力あってこそなんだけど。先制のジャブを食わらせた磐田は、SBから内に絞ったSHや降りてくるFWに当ててビルドアップを試みる。そこは川崎の中盤ラインのスライドとSBの援護射撃で封じてカウンターへと移行。
磐田の高いDFラインの裏を川崎が狙い続けた事もあり、ボールの往来が激しい試合の立ち上がりとなった。

磐田攻①

時間の経過と共に川崎がボールを持つ時間が長くなる。というのも、川崎の攻撃→守備の切り替えが速く、磐田はボールを回収してもすぐに奪われて押し込まれ続けてしまったから。ボールホルダーと近い周辺の選手を囲んで、磐田の落ち着く時間を奪い、前に蹴りだすか無理に縦に仕掛けてきたところを待ち構えてボールを奪い返すことで、川崎は相手陣地でのプレー時間を確保していた。
そして川崎のボール保持だが、いつもは大外で受ける左SH長谷川は多くの時間で内側に立っていた。そこから磐田のSH-CH間に降りたり、そこを通るパスを磐田DFの前で受けて、トップの小林に当てて裏に走ったり、車屋に預けてサイド流れるなどボールを散らすなどして攻撃の起点になっていた。

川崎攻①

磐田のSH-CH間にスペースが出来やすかったのは、CHが執拗に人についていってしまうことが要因だったと思う。
下図は極端な例だが、磐田CHはマークする相手が決まっているわけではなく、目の前に現れる敵についていきがちだった為、下図のようにバイタルエリアに広大なスペースを作ってしまっていた。
また、左SHのアダイウトンがボールサイドに絞らなかった事もスペースを広げてしまう原因だったと思う。
このように2CHを動かすことで中盤ラインの中央にスペースを作り、サイドに流れて攻撃を組み立て、下田や守田のミドルシュートでゴールを狙う場面はよく見られたが枠にシュートが飛ぶことは無かった。
アダイウトンとムサエフが必死でコースに飛び込んでプレッシャー掛けていたのもあったのかな。

川崎攻②

繰り返しになるが磐田がボール回収した後に前へ運べなかったのは、川崎の攻守の切替の速さもあるけど中盤と2トップの距離間が長くなっていたことも要因だと思う。
下図は一例だが、中盤ラインを越えてボールを運ばれることが多い為に、全体的にラインが下がらざるを得ずにボールの回収位置が低くなってしまう。(磐田の守備でというよりは川崎のミスで攻守が入れ替わることが多かったのもあると思う)折角ボールを手に入れても、前線との距離が遠く(ボールホルダーと前線の距離も遠いし、そのほかの選手と前線の距離も遠い)攻撃に転じる為のハードルが上がってしまっていた。
1点目は川崎のカウンターの流れではあったけれど、磐田は戻った選手と前線の距離が開いており、守田がカットして脇坂に預けてミドルシュートを打ったことで先制に成功した。

川崎ネガトラ

川崎の先制後、磐田にボールを持つ時間が序盤よりは与えられるがチャンスらしいチャンスを作れない。
それどころか、またも守備から攻撃の切替が原因で失点してしまう。
今回はCKの流れでカウンターに移行しようと前にベクトルを向けたところで逆を突かれてのゴールだった。馬渡がクロスを上げた時、エリア内は川崎3人磐田2人で1人少ない状況になっていた。川崎の残っていた3人は今日のスタメンでセットプレーに強いベスト3の谷口山村小林だったので、決めなきゃダメな場面でもあった。

磐田は気合入りすぎてから回ってしまったのか、川崎に穴を突かれ続けた前半といった印象だった。そして川崎はその穴を利用して崩せていたかというとそれも微妙なところ。網目が大きく、自分たち主導で磐田の網目を広げることは出来ていたけど、その先はどうなの?といった感じ。2点リードしてるからいいんだけど、最初の中村のシュートが決まっていたら磐田も違ったような気がする。。というモヤモヤの前半だった。

【後半】作れない攻撃の形

磐田は後半開始からSHを2枚替え。
変わった松本・山本に出来てアダイウトン・荒木に出来ない事っていうのは感じなかったけど、はっきり変わったのは左SHも内よりに立ってSB宮崎が高い位置に入るシーンが増えたことだったと思う。

川崎は鬼木さんのハーフタイムコメントの通りであれば、相手陣地に押し込んでプレーする意図を持って後半送り出しており(※DAZN中継内より)その手立てがまずは磐田CHにボールを入れさせないように守り、SBに出たら縦と横を切ることで前進を阻止。焦れて蹴ってきたらボール回収って感じだったのかなと。

川崎守①

対して磐田は川崎の守備をおびき出すべくCHが降りる機会が増えた印象だった。GKも交えて下図のように菱形を作り前に出てきた川崎をいなして前進。少ないタッチで逆を突きサイドから突破を成功。というのが下の図。まあ、そんなに多くはなかったんだけど。

磐田攻①_2

上図以外だと、左右に揺さぶって川崎のスライドが間に合わないところをサイドから前にボールを進める。高い位置に持ち込んでからはSB→FWに斜めに楔が入るパターンが多く、ルキアンが体の強さを活かして時間を作るか、ターンして自らシュートに持ち込むなど攻撃を牽引したが、そこからどうする?が見えなかったことに関して磐田が上手くいっていない現状を感じさせられた。

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ただ、川崎もカウンターから長谷川が、左サイド突破から車屋→小林やこぼれ球が小林に!っていうシーンが続き3点目を決めるチャンスは複数あり、ここで決めていれば早々に試合を決することが出来ただけに悔やまれるところだった。

小林の後半2回目の決定機が外れたところで川崎が2枚替え。脇坂→知念と長谷川→登里の交代で前線を純粋な2トップに変更。
カウンターは出せていても自分たちでボールを持つ時間は作れていない中で、相手の高いラインを下げさせる為に知念で深さをとって、間でもボールを受けられる登里を入れたのだと思っているが、その通りのプレーは見ることができなかった。自分の考えが違うのかもね!

展開を変えられない川崎は憲剛を入れて再びボールを持って動かすことを狙ったが、憲剛投入で起きた変化といえば、守備時に前のめりになったことだと思う。
川崎の攻撃に変化が起きず、両チーム共にチャンスは作れず作らせずで試合は終了。川崎は6試合ぶりの勝利で優勝戦線にギリギリのところで踏み止まることが出来た。

最後に

まずは磐田。
J1生き残り戦線において後がないという状況が続く中で、新監督という新しい血が入ったけれどその効果を発揮することが出来ていないのは苦しいところ。
同じ局面で同じようなシチュエーションでも上手くいく時といかない時があるのは、新監督の浸透度によるものなんだろうけど、シーズン途中に大きく舵を取り直すのって難しいんだな。っていう当たり前の感想を抱いてしまった。
個人的に好きなチームで、昨年の最終節でプレーオフに陥落した姿を目の当たりにしたこともあり、復調を期待したいが率直に間に合わなそうと思ってしまう。
残り8試合ほぼ負けられない中でどうなることか。

続いて川崎。
6試合勝ちなしのトンネルを抜けたことは素直に嬉しいし、ルヴァン杯、今節とコンペティションが違うとはいえホームで連勝したことでチームを上昇させる効果が出ることに期待したい。

決められなかった3点目は、本当に決めるだけ!ってところなので言えることはないから置いておいて、試合の締め方は今季のここまでと違ったのは新鮮だった。

── 後半の35分ごろに、ケンゴ(中村憲剛)選手を出した意図を教えてください。
鬼木監督「少し劣勢になっていたところがありました。スタジアムの雰囲気を変えられる選手、
そして単純にボールをしっかり動かせるところ、
またゲームの流れの中でしっかりと前からプレッシャーをかけに行ける、
相手に自由を与えないということを体現できる選手なので起用しました。」
参照:川崎フロンターレ公式HP

上記は鬼木監督の試合後コメントだが、ラストの10分程で憲剛が守備のスイッチを入れてプレスをかけることでスタジアムが湧いたのと、最終盤に磐田にシュートを打たせなかったことを考えれば憲剛投入の意図の半分以上は実現出来た事になる。
今季は、後ろを固めて逃げ切ろう!が失敗して多くの勝ち点を失ってきたという積み重ねがあるので、攻撃的に守って終えられたのはポジティブポイントなはず。他にも山村とか脇坂とか下田とか守田とかあるけどね!
川崎の強みは相手陣地での守備だと思う。というのは振り返りで何度も書いてきたことだけど、90分間の中で限定的にその強みを活かして試合を締められたのは良かった!

多摩川クラシコの時にも書いた気がするけど、その強みが通用しない時にどうするか?って課題は残ったままなので、これ、解決したいよね。
何はともあれ、ホームで勝つって嬉しいー
今回はこの辺で。それでは。

全然関係ないけど、記事のメインビジュアルをスマホアプリで作って試してみてます。
今回使ったのはcanvaというアプリ。
デザイン的なセンスは置いておいて笑
twitterの画像サイズに合わせて作っているのでツイートしたときのサムネイルとしていいかなと。
色々試してしっくりくるのを使ってみようと思いますー


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