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【プレミアリーグ】19-20シーズン レスターシティ研究 シーズン序盤編

syuです。
今回は川崎でも無ければJリーグでもなく、イングランドはプレミアリーグからレスターのサッカーについての記事になります。
参考にしたのは、ウォルバーハンプトン戦、ボーンマス戦の2試合。
この2試合を参考に、レスターのボール保持と非保持の動きを抜粋した。
それではスタート!(本当はチェルシー戦も入れたかったんだな)

【case1.ボール保持局面】

図の文章の通りだが、レスターはGK、CBといった最後列から一列ずつパスをつないで前進していくのが主なやり方。
その時に、相手が2トップであってもアンカーの選手がCB間に降りることはあまりしないのも特徴の1つだろう。
主なルートはサイドからで、SB.SH.IHの3人がポジションを入れ替えながらボールを前進させていく。左右ともに旋回をするのだが、IHのキャラクターによって移動するポジションが異なっていた。

保持旋回

この2試合でティーレマンスが入った右IHは、高い位置でプレーをされることが多かったので、図の通りSHが降りてSBが斜め内側に入っていくシーンが多く見られた。
左IHは、ウルブス戦で出たチョーザリーはSBの位置に降りてビルドアップに参加することが多く、ボーンマス戦で出たマジソンはチョーザリーのように1列降りるわけではないけれど、ティーレマンスのようにサイドに抜けるというよりは、中央に入っていく動きが良く見られた。。
では、ここからは実際の試合で起きたシーンを振り返っていこう。

【1-1.左サイド】

こちらはウルブス戦。ウルブスはIHがSBにアプローチに出るやり方であった為、チョーザリーが1列降りてSB化をして、相手の守備の基準点をズラす。
浮いたSBにはWBが前に出て対応するので、裏にスペースが出来てそこを内寄りに入ったSHが斜めに外に抜けていく動く。
右サイドとは違う流れで旋回をしてサイドから前進をする流れだった。

画像12

【1-2.右サイド

図はボーンマス戦のシーンだが、SBが寄せてきた相手SHの裏でワンツーを受けて前進に成功する。
相手のCHがIHについていかなければそこを目掛けて裏に放り込む、図のように着いていけばフリーでFWへのパスコースを確保できる状態を作れていた。

画像11

開幕戦のウルブス戦では上記のように3人での旋回ではなく、SHとSBの縦関係で前進しようという動きが見られたが、この攻撃は殆ど成功することはなくカウンターを受けるシーンが頻出していた。

攻①_右_1

この試合で行われた修正も紹介しておくと、
SHに楔を入れたところを狙われていたレスターは、アンカー脇のスペースを使うやり方に修正。
その前の工程としてSBの立ち位置を高くし、アンカーと逆サイドのIHを低い位置に降ろしてリスク管理もするようになっていたと思う。
で、高い位置のSBからアンカー脇に立つIHへパスを通して第3レイヤー(DFと中盤の間)への侵入を成功させる。これはSBが高い位置に入ったことでIHへのパスを届けられる角度を作れたことと、SHがWBをピン留して、味方のSBが高い位置でスペースを確保するのを助けていたからだと思う。

攻①_右_2

ボーンマス戦とやり方が違うのは、左IHにチョーザリーという守備寄りの選手を起用していたことが要因1つだと思う。
ボーンマス戦での右サイドのビルドアップ後の展開は、下図のようにFWが横にスライドして楔を受けた時に左IHのマジソンが最前線へと移動してゴール前に入っていくので、フィニッシュワークでの攻撃力を鑑みてのことだと思われる。

画像12

下の画像(SofaScoreより引用。)は、2試合で先発したIHのヒートマップ。
上で説明したIHのキャラクターとその動きとマッチする内容になってると思う。なってるよね?(笑)

IHヒートマップ

【1-3.ボール保持まとめ】

ここでは、主にIHと地上戦でボールを前進させる動きを振り返ったが、ボールを持たされているわけではなく、主体的にボールを持ちボールと人を動かして守備に穴を作ろうとしているようだった。
ボールを第3レイヤー(中盤とDFの間)までボールを運ぶと、スピードを上げてゴール前に向かって行くことが多くやり直しも少なかった為、相手を押し込んだ状態でのプレーを見ることが出来なかった。
狭いブロックを崩す術は身に付けていないのかどうかは分からないが、今のレスターにとってはやり直さずにそのまま押し切っちゃえ!がゴールする確率が高いと考えてのことなのかもしれない。現段階ではだけど。

【case2.ボール非保持局面】

続いてはボール非保持での局面を見ていく。
主にプレスをかけてビルドアップを妨害する局面と、ブロックを形成して相手の攻撃を受けるリトリート時の局面の2つに分けて切り取ってみた。

【2-1.ビルドアップ妨害】

この局面では、ボールホルダーの周辺の相手選手を捕まえて、近い距離間の選択肢を奪い、近場でのパス交換を諦めさせて蹴りださせることでボール回収を狙っていた。
ウルブス戦とボーンマス戦で効果に違いは見えたのだが、共通していたのはアンカーの脇や裏に蹴られた時にDFラインが上がらず、パスを通してしまうことだった。

守①

特にプレスがハマらなかったのがボーンマス戦。
4バック+2CHでボールを回す相手に対して基本は前線5人で制限をかけに行く。ただし、CHのポジションによってアンカーを引き出されてしまうことがあり、第3レイヤーを広げられてそこにパスを出されて疑似カウンターじゃないけど、チーム全体でベクトルの逆を突かれるような場面は散見された。
ミドルレンジのパスを得意とするCBが居るチーム相手の場合、このスペースを与えてしまうと状況をひっくり返されてピンチを迎えやすくなる。

守①_2

ボーンマスのCH.CBが足元で上手に繋ぐことが出来たのもプレスがハマらなかった要因であったと思う。
これはアンカー脇や裏のスペースではないのだが、下図のようにFWと逆サイドのCBにはSHが寄せに行きも、CHを経由してSBに通されたり、SHの裏にスパっとパスを通されることも多く、前から制限をかけるのが難しい相手だったかもしれない。

守①_3

【2-2.リトリート時】

リトリートした場合の立ち位置も基本は4-1-4-1の並びになるが、ボールがあるレイヤーによってアンカーの役割が変化して、5-4-1へと並びが変わる。

最初~第2レイヤーにボールがあるときは、第3レイヤーに立つ相手の前線へのパスを狙う。4選手全てのコースを警戒することは当然できないので、2列目の4人が制限をかけてアンカーがパスを狩れる環境を整える守備をしていた。アンカーのいる並びを採用すると、気になるのがそのアンカーの脇のスペースになるのだが、あえてそれを誘発させてボールを奪取するような守り方になっていたと思う。
ここで狩れた時は1トップのバーディ目掛けての裏へのパスか、両SH。
両サイドと中央の3ラインからのカウンターで相手ゴールに迫る。

守②_1

そして第3レイヤーに侵入されると、アンカーはDFラインに降りることが多く、5バックのような並びに変化する。
特にサイドにボールがあるときはDFラインをスライドさせることで2CBを中央から移動させない為に、SBが大外に出たスペースをカバーする。
大柄の選手が少ないレスターにおいては大きい部類に入る身長180㎝以上のソユンク、エバンスのCBコンビとアンカーのエンディディの3人を中央に置いておきたかったのだと思う。
アンカーが降りた後の2列目のラインを下げる動きもスムーズに見えてシステマティックに動けている印象を持った。

守②_2

【2-3.ボール非保持まとめ】

アンカーの選手がメインの話になってしまったが、フリーマンではないけれどDFラインの前に1人守備能力の高い選手を置くことで2列目を下げすぎずに済む為、カウンターの強度が高くなるという印象だった。勿論、前線の選手の能力もあるけれど。
中盤とDFラインの間に1人置くことで出来てしまうスペースもあり、それをカバーしきれていないのがプレス時であり、逆手にとれているのがリトリート時であった。参考にした2試合では、前線に強力なタレントを揃えるチームではなかったので、今後そのようなチームと戦った時にどうするのかも見てみたいところ。ここからトップ6が続くね!

最後に

今回、レスターの攻守の局面での動きを見ていったのだがどうだったろうか。
上述した2試合を見返して見つけたパーツをまとめたに過ぎないので、書いたことがレスターの全てなんて言うつもりは毛頭ない。
継続的に見ているチームと違い、ここってこうじゃね?っていう発見が多くあったのでそれ自体が新鮮で楽しく書くことが出来た。というのは書いてみての感想。
プレミアリーグ自体まだまだ勉強不足知識不足の為、レスターを見てTOP6崩せるよ!なのかどうかは分からないけど、今夜のマンチェスターU戦から始まる昨年の上位チームとのゲームが一つの試金石になりそうだ。

今後のレスターの記事は、このような形ではなく川崎で書いているような1試合単位のレビューを気になった試合のみ行っていく予定。
気が向いた時で構わないのでまた読みに来てくれたら嬉しい限り。
今回はこの辺で。それでは。

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