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【マッチレビュー・ブログ】心臓を穿て 19-20PremierLeague#6 レスター×トッテナム

syuです。
今回はレスター対トッテナムの振り返りをしていきます。

レスターの前回の振り返りはコチラ

【スタメン】

スタメン

【前半】圧力のかけ合い

ミッドウィークにCLがあったトッテナムと、しっかりばっちり1週間休んで今節を迎えたレスター。トッテナムはCLから6人を入れ替えるなど、コンディション面にバラつきのある試合は、両チーム共に強度の高い立ち上がり。
五分五分のボールの競り合いや前線のキープ力の高さを生かしたトッテナムがボールを持つ時間を作る。
トッテナムは基本の立ち位置が4-3-1-2から相手陣地に攻め入ると両SBを上げて2-3-3-2のような並びに変化する。
3CHがレスターの中盤4人の前でボールを持ち攻撃の機会を伺う。パスを受けた3CHにはレスターはIHがアプローチに出る為、前に出て生まれたスペースを通して降りる2トップやトップ下に楔を入れて守備ブロックに侵入していく狙いだったと思う。
レスターのSHに大外とアンカー脇どっち?って選択をせまっているようにも見えたけど、比較的絞ってるSHがカットするかスペースを埋めることはできていたと思う。

L守②

レスターは後ろからボールを繋いで前進していく傾向にあるが、序盤のトッテナムは高い位置に出てビルドアップを妨害する。
4-3-1-2の1-2がCB+アンカーに。3はレスターのIH+SBの4人を見る。ボールサイドにスライドして逆サイドのSB以外の3人を捕まえるような感じだった。

T守①

対してレスターはSHへのロングボールでプレスを回避するのだけど、トッテナムのSBがエアバトルを制してサイドから少ないタッチで前進し、前線がキープという流れでレスターを自陣に押し込めていた。

10分を過ぎてレスターの時間帯に。
キッカケはレスターの攻守の切り替えだったと思う。カウンター気味にトッテナム陣内に入ったレスターは攻撃失敗後の守備の切り替えを速くし奪い返してマジソンの個人技でシュート。
勿論、時間も少し経ったし落ち着こう!ってのもあったと思うけど、レスターが後ろからボールを繋ぐことが増え、下図のようにSH.SB.IH3人が絡むお馴染みのやり方で前進するシーンも見られるようになった。

L攻①

上図の流れで得たCKから一時は先制ゴールを決めたレスターだったがVARの助言によりオフサイドが確認された為にノーゴールになるものの、さっきのお返しとばかりに前線からプレスをかけてボールを回収し相手が前に出たところを逆をついてカウンター気味にゴールに迫ったり、中盤でカットしてショートカウンターを発動するなど、レスター優勢に試合が進んでいった。

L守①

終盤に差し掛かる前半もレスターが主導権を握っていたが、先制したのはトッテナム。
前からプレスをかける為最終ラインも高く、CBも前に出てプレーすることが多いレスターの裏をついたケインとラメラ、ソンフンミンの3人でカウンターを完結させた。
最後はケインの執念的なところもあったとは思うが、その前のケインが降りる動きをしたことでソユンクを引っ張り出したところがカウンターの起点になったと思う。
その後、勢いを取り戻したトッテナムはレスターの攻撃のスイッチになっていたSHをSBの執拗なマークで防ぎショートカウンターからチャンスを作る。追加点は生まれなかったが、勢いを取り戻したトッテナムが優勢な状態で前半を終えた。

【後半】攻め筋は3列目にあり

後半序盤もデュエルの強度が高くてバチバチな両チーム。
トッテナムは前半同様にレスターのアンカー脇を使ってチャンスを作り出す。IHを前に引っ張りだして、アンカー脇に入って起点となったり、サイドから前進して斜めに楔を入れてバイタルで前を向くなど、ラストパスやシュートまでの経由地として使っていたトッテナム。
前半も同様だが、そこに良く入っていたのがケインとラメラ。↓の画像は1枚目がケイン・2枚目がラメラのボールタッチの分布図(whoscored.com参照)で、レスターアンカーの脇にあたる画像左半分のハーフレーン付近に点が集まっている。

ケインタッチ

ラメラタッチ

バイタルエリアに入られるシーンが多く、ラインが下がる事が多かったレスターだが、そこはカウンターや中盤省略作戦で応戦。ロングキックでひっくり返したりエアバトルを制してカウンターを仕掛けるレスターは、バーディが裏に抜け出してシュートを打つシーンもあり、トッテナムに主導権を渡さない。トッテナムもカウンターを防いでから、カウンターを発動させるシーンもありトランジションな展開で序盤は推移した。

話は逸れるが、レスターが中盤を省略することになった理由はトッテナムの守備にあると思っていて、4-3-1-2で守る際の3がボールサイドに大きくスライドしてビルドアップの出口にしたいSBとIHを捕まえることで足元で繋ぐことを妨害している。とは言え、サイドチェンジされてしまうと逆サイドは前進し放題なのでCB→CBorSBのパスルートを塞いでGKに戻させて中盤が中央に戻る時間を作っていたんだと思う。わかんないけど。

T守①_2

そんな中、トッテナムは力こそパワー!で左サイドの攻防をシソコが制し、ソンフンミンの抜け出しから最終的にオーリエのシュートがゴールに入るも、VARの介入によりノーゴール。そのソンフンミンが抜け出した時に、ちょっと肩出てるわ。ってことでオフサイド。取らなくても咎められないような事象ではあるけど、出てるか出てないかで言えば出てる。ということでトッテナムは追加点ならず。

判定の直後にシソコに代えてワニャマを投入。その代わって入ったワニャマの縦パスが狩られたところからRペレイラのゴールが決まるとはなんとも。更に、入ったばかりで失点するだけじゃなく、直後にイエローカードまでもらう始末のワニャマはこの日絶対に星座占い最下位だったと思う。同点にしたこともありレスターが主導権を握るかと思いきや、トッテナムも踏ん張り一進一退。

終盤、互いに攻撃的な選手の交代をしたのは、どう奪うかより攻めきるぞって色が強かったと思う。両チーム共に受けずに攻める試合は最後にマディソンのゴールでレスターが勝ち越し。
トランジション合戦の中で、戻りきれなかったトッテナムの3CHの間を突いてのゴールだった。執拗にアンカー脇を狙い続けたトッテナムが、このゴールが決勝点となりレスターが勝利を収めた。

【まとめ】それぞれの課題

・安定を欠く3列目
選手の組み合わせによって並びの変化の多いトッテナムの4-3-1-2は3CHの負担が大きく、終盤のウィンクス、エンドンベレはスタミナ的にしんどそうだった。おそらくリードした状態であればここの2人の内最低でも1人を代えて・・・と思ったけど、ベンチには3列目はおらず。。ベンチメンバーの中で唯一の3列目ワニャマも途中出場で2失点に絡むなど厳しい結果に。取り消されたオーリエのゴールが認められていれば違う展開にはなったんだろうけど。
攻撃面では、レスターの2IHに対して3人で優位を持とうという狙いがあったのかもしれないし、ポゼッションにおいてそれは効果があったように感じる。
ただし守備時においては、前からハメに行くときはスライドの統制は取れていたようにも見えたけど、押し込まれた時や攻守の切替時では3人のチェーンが切れてしまっていたような印象だった。事実、2失点はCHのところが原因となっていた。
他の組み合わせを見れていないので何とも言えないが、試合によって全体の並びやCHの組み合わせがよく変わるようなので安定したセットを作りたいところ。今節のような働きを3列目に求めるのであれば、ベンチメンバーを含めて底上げが必要なのかなと感じた。

・アンカー脇をどう守るか
今季のレスターのストロングポイントは、自陣~ミドルゾーンでのポゼッションからの素早い攻撃やハイプレスからのショートカウンターになるだろう。攻守の切替についても前線での強さは感じられたし、同点ゴールはその強さが出たところもあったと思う。気になるのは今節執拗に狙われ続けたアンカー脇のスペース。
下の図はイメージだが、トッテナムは中央のエリアにあからさまに人数をかけてスペースを突いてきてチャンスを作られていた。

中央の人数差

前述したとおり、SHが内に絞ってパスカットをする動きも見せたり、CBが前目に出て守備をするシーンも見せていたけど、防ぐ数よりも使われる数の方が多い印象だった。トッテナムの先制点は前に出るCBの逆を突かれてのものだったし。
このアンカー脇をどう守るかは、今後どの戦いにおいても突き付けられるものだと思うので、その変化を追っていけたらと思う。

今回はこの辺で。それでは。




 

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