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【マッチレビュー】2018年第33節 FC東京対川崎フロンターレ 多摩川クラシコ

さて、昨日行われた多摩川クラシコのレビューを書いてみたいと思います。

●スタメン

東京は予想通りのスタメン。前節とメンバー変わらずでした。
川崎はCHに田中碧、左SHに長谷川を起用。碧のスタメン予想は普通に出てたんですね(笑)まったく気づきませんでした。。
あと、東京の室屋がタイプミスで室田になってますが気にせずに進みます。
それでは試合内容に触れていきます。

●●前半
序盤はお互いにミドルサードでの戦い。
DFラインからビルドアップを図る川崎と前から圧力をかけてショートカウンターを狙う東京という構図となりました。
東京は4-4-2でプレスをかけてくるので、川崎はCB2人+CHは降りて3人で数的優位を作ってビルドアップを図ります。

この数的優位を活かして1列ずつ前に進んでいくのが川崎の形になるのですが、今節はCB→逆SBへの対角線のパスを用いていました。

両CBのパス精度も高く一気に前進することに成功する川崎。
SBがこのままニアゾーンへと侵入して速くて低いクロスをエリア内に供給していました。こういった形は今シーズンの川崎にはあまり見られませんでした。

こちらのプレビュー(?)記事でも書いたように中央を固めてくる相手への対応としてSBは相手DFを広げる為に外に開いていたのが今シーズンでした。
ですが今節では積極的に縦に仕掛けてクロスを供給してチャンスメイクしていました。

中央を固めてきた相手を制するには、やはりサイドからチャンスメイクをする必要があります。
相手が待ち構えている状態で中央にボールを入れても、相手からしたら予想通りというか練習通りの形で対応すればいいわけですからね。
そういう意味では今期の川崎の崩しは異端でした。
サイドを一切使わないわけではありませんが大外の選手の質的優位で殴るわけではなく、あくまで真ん中とのコンビネーションを駆使して相手を崩すことが攻撃に於いて最も多用する形でしたので。
今節でサイドにボールを飛ばして前進しようという形が見えたのは、未解消の課題をクリアしようという表れなんだと思います。

話を試合に戻します。
CBから精度の高いロングボールが出てくるので、東京は左SH大森を前に出して4-3-3に近い形で前から圧力をかけに行きます。
東京は川崎CHに入ったところでプロ初先発の田中と守田のコンビのところで捕まえてシュートに持ち込むなど、川崎の策にリアクションしつつ自分たちの考えうる形で試合に入れていたと思います。
川崎は田中に何度かボールを触らせるようにボールを回したり、家長・中村が近づいたりと試合に入れるように気を使ってる様子が見られました。
温かいですね。
後ろで詰まるシーンが多かったので、中村がDFラインまで下りてボール回しに参加することで落ち着きを取り戻せたように見えました。

●先制ゴール

落ち着きを取り戻した前半18分。プレスからパスミスを誘発し、知念のミドルシュートにより川崎が先制します。
①38番東→18番橋本と繋いだところで32番田中が圧力をかけます。
②橋本は前を向けず、東に返そうとするも16番長谷川がコースを切る。
③14番中村と田中で挟み、左は長谷川が抑えたことで右にボールを出すことしかできず、CH間に立っていた知念にボールが渡り、フリーでシュートを打つことに成功しました。
東京は周りが動く気配もなかったので橋本1人を責めることはできないですね。
東京2CHの米本・橋本はボールを捌くタイプというよりは、ハントするタイプの選手なので川崎はボール奪取の狙い目の1つとしていたのかもしれませんね。

●川崎のもう1つの課題
前述のとおり、今節の川崎は中央を固める相手への対応において、やり方を変えてきています。今季未解決の課題を全て解消してシーズンを終えようとしている感じなんですかね。
そういう意味では小林・大島の負傷もありましたが、2年目の田中・知念や出場機会の少なかった長谷川をスタメンで使ったことも、今季メンバーを固定しがちだった問題への解答のようにも感じられます。
そして、もう1つ。前節のセレッソ戦でのDFをクリアするチャンスも今節ででてきました。
※詳しくは、こちらの記事で。

4-4-2の2の1人がCHを抑えに来た時の対応も今節で見えた形でした。
下記のシーンだと、囲ったエリア内にSH/SB/CH/トップ下に加えて逆SH家長も加わり、数的同数を作り上げています。
家長がエリア内に加わったことで、中村に入ったときの逃げ道を作り出せていますよね。

CB谷口が少し前に出てもいいとは思いますが、その場合は奈良へのコースを消されながらディエゴがついてきてしまい、リスクが非常に高くなるのでそのような対応はしなかったと考えています。
このシーンではエリアに入ったところで潰されてしまいましたが、相手に後手を踏ませられたのは進歩だと思います。

川崎寄りの話ばかりで恐縮ですが、先制点以降は東京を自陣に押し込み川崎は試合の主導権を握っていました。
田中がミドルシュートを狙ったところを奪われてロングカウンターを浴びたシーンはありましたが、15分以降はその時のシュート1本のみに抑えており、川崎ペースで前半は終了しました。

●●後半
後半開始から東京は7番米本→11番永井に交代。
8番高萩がCHに降りて、永井は2トップの一角に入りました。

●後半開始早々の追加点
48分に川崎に追加点が入ります。
GKから6本のパスでシュートまで持ち込む素早いカウンターでした。
DAZNだと天吊りカメラのおかげで、躍動感たっぷりの映像で見ることが出来ました。ありがとうDAZN。めっちゃよかった。
特に解説するようなことはなく、こんな雑な画像よりも映像を見てもらえればって感じなのですが、この得点シーンのようにボールが進んだ要因の1つとしてはマークのついている選手に平気でボールをつけるってことが挙げられると思います。
守田に入った時点で39大森は18番エウシーニョのマークを開けているので、ここに出してもいいようなものですが。
あえて難易度の高い(本人からしたらそんなことはないのかも(笑))家長へフリックすることでエウシーニョがスピード乗った状態でボールを持て、カウンターのスピードが増しましたね。
止める蹴る外すを突き詰めた川崎だからこその技術力がなせるカウンターなんじゃないかと思います。贔屓目はありますがWカップみていじゃんって思いました。

2点ビハインドとなった東京は、追い付くべくボールを持ち攻撃を仕掛けていきます。ピックアップするシーンはこちら。

●太田のインナーラップ
シンプルな展開ではありますが、SBの高めのポジショニングで相手SBをつり出して、ワンツーから出来たスペースを自らが使いニアゾーンへと侵入していきました。
2ライン間に縦パスを入れてディエゴが奈良をピン止め。太田がボールを受けることでエウシーニョがあたりに来てSB-CB間にスペースを作り出していました。関与したのはディエゴと太田だけですが、永井とリンスがそこにいることで相手DFにスライドをさせなかったので良い形でした。
この後、太田はクロスを中央に入れるのですが川崎にクリアされてしまいました。クリアボールが跳ね返ってあわやオウンゴールってシーンだったのですが。

●東京のビルドアップと川崎のセットDF
ビルドアップ時、高萩がDFラインに降りて後ろで数的優位を作り出します。
両SBが高い位置をとり、両SHは中にポジショニングをしてライン間で待ち受ける形です。
この場面だと、川崎の両SHがやや開き気味にポジショニングをしており、東京はCB→SBというパスを出しづらくなっていました。
外に開く分、中央は開くのですがCHか4-4-2の2がコースを切ることで縦パスを警戒していたようにみえました。
画像のシーンだと左SBの位置の東にボールが渡るのですが、その間にSH+2CHが圧縮して立つことでコースを閉じていましたね。こういうシーンを見ると、鬼木さんに厳しく言われているのも本当なんだなと感じます。

後半残り30分間で東京は川崎以上のポゼッション率となり、10本のシュートを記録しました。プレーの大半が相手陣地内で、セットプレーなどからも猛攻を仕掛けましたがゴールは奪えず。
矢島の倒されたシーンは個人的にPKだとは思いますが。苦笑
そこは最終節に谷口が出場停止とならずに安心。東京からしたらちょっと待ってよって話ではあると思いますが。すみません。
ともかく、川崎は後半は効果的に守りながら奪ったらサイドからボールを前進させてじっくり時間を使うなどのマネジメント面での成長も感じられました。
前節ではチーム全体の意思統一が出来てなかったのが敗戦の大きな要因でしたので、特に気を付けていたのかもしれませんね。
無事、鬼木体制初の多摩川クラシコ勝利となりました。

ちょっとフワっとした感じで試合が終わりましたが。。(笑)
今季苦手としていた中央固めからの強力カウンターというチームを相手に完勝することができました。
しかも、今季未解消の課題を克服したうえでの勝利というのが素晴らしいですね。鬼木さんはめちゃくちゃ負けず嫌いな人なんだろうなと想像できました。
私はレビュー記事の前半後半でボリュームが変わるという課題を克服できておりませんが、来週で今季のJ1も終了。
J2との入れ替えとか天皇杯とか諸々ありはしますがね。
Jリーグがシーズンオフの間は、リーガ・プレミアを中心に記事を上げていこうと思いますので、是非時間があったら宜しくお願い致します。
それでは。

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