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【マッチレビュー】2019年J1リーグ第3節 横浜Fマリノス×川崎フロンターレ 神奈川ダービー

みなさんこんにちは。
今節は神奈川ダービー。横浜Fマリノス×川崎フロンターレを振り返ります。
試合結果は2-2のドロー。
前半4分に川崎が先制するも、前半のうちに横浜が取り返して1-1で折り返し。後半は終盤に選手交代が集中し88分に川崎が勝ち越し、ロスタイムのラストプレーで横浜が取り返した結果の2-2ドローでした。
選手交代によって試合の様相に変化がありゴールにも影響を与えました。
両サポ―ターではなくても楽しめた試合だったと思います。

今回の目次はコチラ。

■スタメン
■前半
●横浜のビルドアップ×川崎のビルドアップ妨害→ポジトラ
●川崎のボール保持
■後半
●突かれた家長の裏
●小林の役割
■まとめ

■スタメン

●横浜Fマリノス(青)
<GK>21飯倉
<DF>18広瀬、13チアゴ、44畠中、5ティーラトン
<MF>8喜田、10天野、7大津、
<FW>9マルコス、23仲川、30エジガル
●川崎フロンターレ(白)
<GK>1チョンソンリョン
<DF>17馬渡、3奈良、5谷口、7車屋
<MF>25田中、6守田、41家長、2登里
<FW>9ダミアン、20知念

横浜の並びは去年から変わらず4-3-3。
ボール保持時はSBとIHが列を上げて2-3-2-3のような状態でセットします。
ただ川崎が2トップと2CBで数的同数になるため、アンカーが1列降りることもありました。詳しくは後程。
非保持は前に出るときは天野を上げて4-4-2。
ミドルゾーン~後ろでセットするときは4-1-4-1です。
川崎は去年もたまにやっていた4-4-2。
憲剛やCHのどちらかが不在の時に知念小林の2トップにして使ってました。ダミアンと知念の2トップをやってるって話は聞いたことなかったので意外でした。
保持時の変化は両SHが中に絞ってSBが高い位置に上がります。
並びは2-4-2-2(2-2-4-2?)のような形になっていました。
非保持は4-4-2。

・マリノス保持×フロンターレ非保持

・マリノス非保持×フロンターレ保持

■前半

●横浜ビルドアップ×川崎ビルドアップ妨害→ポジトラ

川崎は2トップで2CBに当たるというよりは、44畠中と8喜田を2トップで見る形にして13チアゴがボールを持つように誘導します。チアゴが持ち上がってもSHは当たりにはいかずに後ろへのパスコースを警戒。FWは寄っていくけど強くは当たらないので、チアゴがボールを持つことは許容している印象でした。8喜田が列を降りていない時はFWではなくCHが前に出て当たりに行くシーンもあり、ビルドアップの入口を潰しに行きます。
川崎の先制ゴールのシーンはGK→8喜田へと繋ごうとしたところに2CHは当たりに行ったところでボールをカットしてダミアンにパスを送れた形でした。
18広瀬と2IHは川崎の中盤ラインの裏(第3レイヤー)に立つことが多く、3-1-3-3のような並びにもなります。間に1人いましたが3(DFライン)と3(2IH+SB)の間のスペースが広がる状況がしばしば見られました。
また、マリノスの最終ラインは高い位置を取るため裏のスペースも広がっている状況でもありました。

※イメージ図

川崎がボール奪取後に使いたいエリアはココだったと思います。
チアゴの裏に直で入れるか、DFライン前に楔を入れてFWに一度食いつかせてから裏を狙うシーンが何度かありました。
家長がGKと1対1になったシーンも同様の形だったと思います。

・ストロングサイドは左
川崎はマリノスの右サイドの攻撃に対してはWGに入ったときはSB+SHで挟み込んでボールを奪うなど、ある程度は守れていたと思います。
失点シーンはサイドを抉られた末のものではありましたが、折り返した仲川が凄かった。。
逆サイドのマリノスの左ではビルドアップ能力めちゃ高い畠中が居る為、対チアゴのように守るわけにもいきません。川崎2トップのケアが間に合わない場合はSHの家長が前に出て当たります。その時の形が2パターン見れたので分けて書いていきます。

①裏を使う
こっちの形はシンプルですが脅威でした。
41家長が44畠中に当たり、9マルコスが降りると17馬渡が追いかけます。
17馬渡が出たことで出来たスペースに10天野が走り込み、そこに44畠中から正確なパスが出て一気に最後のレイヤーへと侵入する。
前半は2回(かな?)見れた形でした。

※イメージ図

②アンカーを使う
相手が動いて出来たスペースに近くの選手が入ってズレを起こし続けて44畠中→8喜田へと繋ぐシーンがありました。
喜田を経由して中央突破することに固執してるといってもおかしくないくらいに中でズラして喜田を空けるための動きをしていました。
ビルドアップ能力の高い選手を活かす為なので当然なのかもしれませんが。
前半10分過ぎくらいのシーンです。画像で流れを書き出しましたが、視聴環境のある方は是非ご覧になってください。

※イメージ図①

※イメージ図②

川崎は横浜右サイドへ誘導して前進してきたところで奪ってカウンターを仕掛けたい。横浜は左サイドから喜田を経由するか裏を突いて前進したいという思惑があったとは思います。
図は作りませんでしたが、自陣深くからビルドアップするときに畠中から第3レイヤーにロングパスを通して落としを第2レイヤーで受けて(レイオフ)前進する形など、幾つかのパターンが見られました。
その中で横浜のゴールが右サイドから生まれたのは面白いなーと思いました。横浜も右サイドから攻めたくなかったわけではなかったでしょうし、仲川もいつもの相棒三好が居ない中で奮闘していましたので。
前半の横浜の攻撃を見ていてチアゴが持ち上がってから逆サイドのWGへ対角線パスされたら嫌だったなーと思いました。
また、これもチアゴが持ち上がった時ですが、喜田が降りて空いた場所に広瀬やIHが降りるとかして敢えて寄ってみたらどうなったか見てみたかったなーと思いました。
先月のレアルベティス×アトレティコマドリードに影響されてます(笑)
もし良かったらこっちの記事も読んでみてください(笑)

●川崎のボール保持

川崎は前半序盤は後ろから1列ずつ前進していくというよりは、レイヤーをスキップして前に速くボールを送る攻撃がメインだったと思います。
前項で書いた第3レイヤーと最後のレイヤーを素早く突く為だったと思います。
前半の30分ごろまでは川崎がゆっくりボールを持つ場面は多くなかったはずです。
ボール保持と言うよりはトランジションのフェーズでのプレーが目立った印象でした。
いつもの川崎だと、後方から2トップや高い位置に上がったSBにあててから横や後ろに戻して、ゆっくりとボールを繋ぐところを、
この試合だと後方からの縦パスを受けてからさらに縦や斜め前へとボールを供給していたので、ボールの動かし方やテンポが速い印象でした。

・川崎両SHの役割の違い
川崎はどの試合でも両SBが幅を取り、SHは中にポジションを取ります。
今節も例外なくその形で動いていました。
ただ家長と登里でキャラクターの違う両SHなので役割は違いました。
※イメージ図

登里は組み立ての段階でボールを持つ時間は短く、受けてもすぐにはたきます。出し手というより受け手としての振る舞いをしていました。チャンネルにはいったり、裏を取る動きを見せていだと思います。逆サイドまで行くことはありませんが同サイド内では囮の動きからフィニッシュの1個前のプレーまでするので良く動きます。
家長は左右どちらがボールサイドでも組み立てに参加します。
どちらのサイドでもSB-CBとSH-IHの中間ポジションでボールを持つ機会が多く、自分のサイドだと周りに知念・守田・大外に馬渡を置いて崩しに行きます。
逆サイドでも中間ポジションに入り、登里・守田・大外は車屋を配置。崩しの局面に限れば家長のプレーエリア自体はこの中間ポジションから大きく動くことは少ないので、同じSHでも登里の動きとは異なりました。
ざっくりとしたイメージですが、登里は相手SH-CHとSB-CB間を縦に移動する。家長は第3レイヤーを横に移動する。といった違いがあったと思います。

・前半の終盤
前半の30分までは第2・第3レイヤーに入ったら早めに第3・最後のレイヤーへとボールを送っていましたが、30分以降はボールの進め方に変化がありました。ボールを下げる場面が増えてきます。
※イメージ図

最初のレイヤー→第3レイヤー→第2→最初→第3・・・
といったようにボールを上下動させます。
前半の最初に見せた速いテンポでスペースをつくリズムから、一手二手多くかけるリズムにして変化をつけていました。
このことで相手のレイヤーを広げようとしていたと思います。
横浜はボールに対してタイトについてくる守備をしていたので、食い付かせることでスペースを得ようという感じだった気がします。
とは言ったものの、時間帯的にも強度を落としてもおかしくはないので、気のせいということもあります。。

前半は1-1で折り返し。ミドルゾーンでの攻防が激しく、両チームのプレーエリアは48%(※1)がそのミドルゾーンで行われていました。
ポゼッションは横浜51%×川崎49%(※2)と五分五分。
(※1・※2ともにDAZN中継での情報より)
ボールを持って主導権を握るサッカーをする両チームの主導権争いはスコア通り45分間ではイーブン。

■後半

前半同様にトランジション合戦で時間が進む後半。
横浜は前半で失点に直結した21飯倉→8喜田やIHへのルートを再び使用するようになり前進を計ります。川崎はそこに対してCHが前に出て潰しにいって対応。潰せる場面もあり抜けられる場面もありといった感じでしたが、ややリスキーな対応だったようにも感じます。
川崎は後半10分頃から少しづつ疲れが出てきたのかパスのズレが増えていき、ゴール前に戻らされる場面も散見されました。

●突かれた家長の裏

※イメージ図

横浜はSBの動きを左右チェンジしていたと思います。
前半は右SB広瀬が前に出るシーンが多くありましたが、後半はティーラトンが前に出るようになります。おそらく家長の空けたスペースを使うことを狙いとしていたんだろうかなと。
ティーラトンが前に出ることで25田中は天野とティーラトン2人を見る状況を作り出されてました。横浜のボール保持は左サイドを中心に行われていたような印象を受けました。
家長は開幕以降全試合でフル出場しておりミッドウィークのACLでも同様です。体に負担がかかっている中でも、憲剛大島の2人がいない試合で攻撃を牽引してくれてました。コンディションの上がっていない印象も受けましたし、ブロックを崩さないように動き続けることを求めるのは酷だったかと思います。イエローカードを貰っているのもあり後半21分に小林と交代することになりました。

●小林の役割

その交代で入った小林は家長同様に今季の主戦場である右SHの位置に入ります。前線にはダミアンと知念がいる中での小林の役割は攻撃については逆サイドからのクロスに合わせるようにエリアに入っていくこと。守備面では前項で上げた横浜の修正への対処だったと思っています。小林の動きを各エリアで分けて確認しました。

①相手陣内の場合
※イメージ図

横浜のビルドアップ時は、相手CBの44畠中がボールを持つときは前に出てケアをします。ホルダーに当たりに行くというよりは間の高さをキープしているように見えました。中を切るのは基本なのですが外への意識をほぼ感じなかったので、ケアしたかったのは9マルコス以外のパスコースだったと思いました。

②自陣内の場合
※イメージ図

上図はブロックの高さが違います。
2枚目の方がブロックの位置が低い状況です。
自陣内の時は、4-4のブロックを作りますが小林もそこに入ります。その中でも目の前のティーラトンを意識していたと思います。外よりも中を意識するもティーラトンがサイドに流れるとついていくので自陣内ではティーラトン番だったのかなと感じました。
小林の役割については自信をもってこうだったと言えるほどのポイントを見つけられなかったのですが、小林の投入以降は川崎がボールをもつ時間が増えました。小林投入直後の長谷川がポジトラ時に空く場面もあり、そこから攻めに転じることが出来ていました。

■まとめ

試合の方は川崎のスタミナ切れの影響もあり、横浜が押し込む時間が長くなりました。その中でもトランジションから知念→憲剛(30分→守田)→長谷川と繋いでファーにクロス→小林折り返しをダミアンという流れで88分に勝ち越します。
この得点シーンの前に何度か長谷川が左からクロスorカットインシュートというシーンがあり、狙った形でのゴールだったと思いますし、交代で入った3人が絡んだゴールだったので選手交代が実りました。
その後のロスタイム含めて6分間を守り切れなかったのはACLからの流れからしてショックな勝ち点の失い方ですが、トランジションの強い川崎という部分は随所に見ることが出来たかなと思います。
速い攻撃で相手ゴールに迫り守備時は相手へ強く当たりにく守備は強度が高く、ミッドウィークの海外アウェイ後の試合にしてはフィジカル的に思い切った選択だったと感じます。
相手が横浜じゃなければボールキープしながら休むってことも出来たと思うので、対戦相手から受ける影響もありますが。。
試合の中でそういう時間をもう少し長く作ることが出来ると終盤のスタミナ切れを抑制できたように感じます。
終盤にダミアンが前に当たれ!ってジェスチャーで指示を出している場面もあったので、そこで行ききる力を残せるような90分間でのマネジメントが見れるといいですね。
神奈川ダービー後はACL・リーグ戦共にホーム開催が続くので移動疲れもなく済みますし、コンディション調整がうまくいくと良いなと思います。
今回はこの辺で。それでは。

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