甘いものを食べすぎるとうつ病になりやすい?~砂糖の摂取量と精神疾患発症の関連性について~

 砂糖の摂取量増加は、うつ病の発症増加に関連しているという研究がいくつか報告されています。[1]~[5] 砂糖だけでなくファストフードの摂取量増加もうつ病リスクに関連していると報告した研究もあります。[6]砂糖が含まれる食品・飲料はは身近にあふれているだけに、こうした研究結果は、なかなか衝撃的です。

 しかしながら、これらの報告はいずれも観察研究の結果であり、あくまで相関関係が示唆されると言うことであって、因果関係を決定づけるデータではありません。こうした研究データが示す関連性には逆の因果‘reverse causation’の可能性があります。つまり、精神的にあまり調子が良くない人では甘いものやファストフードを好んで食べているために、見かけ上こうした関連性が観察されただけであって、砂糖を含んでいる食品・飲料の摂取が、直接的にうつ病を引き起こしているわけではないということです。

 とはいえ、習慣的な砂糖摂取とそれに続くうつ病発症のリスクとの関連について、いくつかの生物学的説明があります。

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