死にたい気持ちとどう向き合うか

「死にたい」と思う事は、きっと誰でもあると思います。薬剤師という立場において、業務上でもこうした価値観と向き合う機会は少なからずあるでしょう。

この記事は2016年12月2日 広島県広島市で開催された広島県精神科病院協会薬剤師部会学術講演会で、僕がお話しした『精神科領域における薬剤師の役割 ~論文情報をもとに”薬が効く”という意味について考える~』(※)をもとに作成しています。この講演の最後でお話しした「精神科領域における薬剤師の役割」というセクションを言語化したものです。

僕は精神科臨床の現場で仕事をしているわけではありませんし、精神科薬物療法の専門的なトレーニングを受けたわけではありません。僕が言えるのは、僕自身が経験したこと、そして臨床医学に関わる論文情報を引用したうえでの「基本的な考え方」というのがせいぜいのところです。ですから、専門的な勉強をされている方にとっては、まったく参考にならないかもしれません。

とはいえ、非専門医療者の立場で「死にたいという思い」をどう扱って良いかわからないことは多いと思います。このような困難さに対して、この記事がなにがしかのヒントとなってくれればうれしいです。

自殺に至って初めて「この人はこんなにつらかったのか」というようなことをごく自然な振る舞いとして身に着けた人々が多数いるという社会こそ悪ではないかと僕は思います。

使い古された言葉かもしれませんが、「良いときもあれば悪いときもある」という言葉には、たくさんの希望を孕んでいるように思います。

※本講演は薬剤師を対象にしたものですが、記事作成にあたっては、特に専門知識の無い一般の方でも読めるよう配慮してあります。
【目次】
・自殺のリスクを通じて
・自殺を予防することは正義なのか
・自殺に対する価値観の連続性
・死にたいという価値観と向き合う
・より現実的な決断をすること

・参考図書
※2017年2月13日:参考図書を参考情報として加筆しました。

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