PubMedを使わずに医学論文を探してみよう!~楽しみながら論文を検索する方法~

最近では臨床医学論文の読み方を解説した書籍やWEBページも多くなりました。EBMを学び始めのころは、英語の論文にはなかなか抵抗があるもしれません。しかしながら、コツをつかめばわりと簡単に読めるということは少し勉強してみれば、十分に実感できると思います。

ところが論文はある程度、読めるけれども、実際に論文をどのように見つけてくれば良いのか、という問題は未解決のままです。文献検索というとPubMedを思い浮かべる人も多いでしょう。確かにPubMedは文献検索ツールとして非常に有用ですが、全て英語表記であること、また実際に使ってみても、なんだかうまく論文検索できない、ということは多々あると思います。

EBMワークショップや講演などでお話をしていて、よく質問されるのが「文献検索はどのようにおこなっているのですか?」という質問です。これについては、PubMedの”Clinical Queries”を使うと比較的簡単に検索できますよ、なんて答えることが多かったのですが、それでも検索がうまくいかないことは多々あります。

(図1)PubMedのClinical Queriesトップ画面

Clinical Queriesで検索されてくる論文は、発表年が新しい順に並んでくるため、検索ワードによっては膨大な数の論文が検索されてしまい、数年前に報告された重要論文が最新論文に埋もれてしまうことがあります。この場合、論文の発掘作業に多少手間がかかります。また臨床的に重要と考えられるような論文がClinical Queriesの検索から漏れてしまうこともあります。これはシステム上の問題でもあり、検索する側で解決するのもなかなか困難です。

膨大に論文が検索されてしまった場合、フィルター機能などを使えば、ある程度検索を絞り込むことができますが、そうした機能を駆使するのは、PubMedになれていない初心者にとってかなりヘビーな作業であり、若干(あるいはそれ以上の)苦痛が伴います。

EBMの実践で要求される文献検索スキルはシステマティックレビューを行う際に必要なスキルレベルではありません。EBMの実践ではむしろ、臨床上の前景疑問に対して、「活用できそうなエビデンス」を手軽に入手することが求められています。得られた情報に対して付け加えるべき情報がある、という前提で文献を検索するので、網羅的な情報収集は求められていないのです。

論文検索は通勤時間や休憩時間などの隙間時間に”サクッ”とできるような作業であるべきです。さらにその過程において、自分の知らない世界が次々と現れるというような、ある種の興奮のような感覚を得ることが大切です。

論文検索は効率よく検索できるだけでなく、なるべくストレスが無く、そして何よりも「わくわく」する作業でなければいけません。

今回は、PubMedを使わずに論文検索をする方法をまとめます。検索エンジンに使うのは、なんとグーグルです!

この記事では主に薬剤師を読者の対象として、薬剤の有効性、安全性に関する臨床医学論文の検索方法を解説しています。従いまして、基礎研究論文や、薬学領域以外の論文情報に関しては対象外となります。とはいえ、この方法を使えば、薬剤師ではない一般の方でも薬剤効果に関する論文情報を無料で入手することが容易になると思われます。

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